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現実世界の話#5

世界平和なんて大それた理想を持つ生まれながらの理想主義者。みんな幸せで、好きなことができて、自然とともにのんびりと生きることができたなら……そう思わずにはいられない。
確かに助けられる目の前の人に、私は救いの手をさしのべてきたつもりだ。もちろん、相手がおせっかいだと感じていた可能性もある。
私は偽善者か?
自分のエゴのために動いたのか?
違うだろう。
いや、ここで私が否定しないで誰が否定してくれる。
私は今まで私がしてきたことを決して間違いだとは思っていない。失敗もあったが、私の行動を、思想を、正解にするために生きている。正解を探すんじゃなくて、私の選択は数ある選択の中で正解だったと思うために生きている。

だから、私は戦うことが怖くなかった。自己犠牲は苦痛ではなかった。そんなことするな、と言ってくれる人がいなかったから。私よりも皆を優先したかったから。

でも、今は怖い。
自分が傷ついて再起不能になるのが怖い。
生きる意味を見失うのが怖い。
そうやって怯えて、前に踏み出せない自分が憎たらしい。
なんで動かないんだ!
嫌だ!傷つきたくない!
ずっと、ずっとずっと二人の私が言い争っている。終わる気配はない。どうして、どうして戦わないの。戦うことで、私は大切な人を救えるのに。どこかで苦しい思いをしている人を助けられるのに。それこそが私の使命だと思ってきたはずなのに。

本当はただ不器用なだけなのかもしれない。自分が傷つく以外に他人を救える方法を私は知らない。私は他人の幸せを願っている。それはもう変えることのできないどうしようもないことだ。昔からそうなのだから今さら変えられない。

ずっと探している。
私をこのしがらみから解放してくれる何かを。
私に救いの手をさしのべてくれる誰かを。

静かな夜に紡ぐ私の葛藤。
どうかここまで読んでくださったあなたが、あなたの人生をあなたなりの正解にできますように。


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