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JPHACKS2023優勝した話-HackDay②-


そして深夜開発へ

1日目は無事に終わったものの、まだまだやることは多い
我々は深夜開発になる可能性も見込んで神戸に宿を取った
とりあえずデータ取りはできるようになったので、仮説に基づいての検証を進めることにした
TokuさんにKITTOからの撤収時に革靴を履いてもらっていたので、それを脱ぐついでに外気と靴内の温湿度を見比べてみた

結果として
・靴の中の温度は27℃くらい、湿度は100%近く
・外気温は25℃くらいで湿度は60%くらい
確実に顕著な差が出ていた
内心ガッツポーズである

再度Tokuさんに革靴を履いてもらって夕食に出かけ、1時間程度外出してから宿に戻った後は「革靴を履いた時間によって乾燥時間は変わるのか」の検証に入った
Tokuさんに革靴を片方だけ脱いでもらって、外気と靴内の温湿度データを取りながら1時間放置し、それが終わったらもう片方の革靴を脱いでもらって再度計測を行った
つまり、Tokuさんは丸1時間片足だけ革靴を履いたまま玄関に幽閉され、ただただ待つという苦行に耐える必要があった

宿の玄関での計測

玄関と客室は地続きであるとはいえ、地味に辛いだろうことは想像がつく
風呂に入るわけにもいかないし、ベッドに寝転がることもできない
このようなTokuさんの献身により、「革靴を履いて1時間と2時間では自然乾燥にかかる時間が違う」ということが明らかになった

靴を履いた時間による自然乾燥の経過の違い

そしてここから「ファンを取り付けると自然乾燥の時に比べて乾燥時間は短縮できるのか」の検証に入った
これに伴ってTokuさんには再び両足に革靴を履いてもらって蒸れた革靴を作ってもらった
このプロダクトは実験のために蒸れた革靴を手に入れるまでが大変なのだ
この時はTokuさんしか革靴を履いていなかったために負担を集中させることになってしまった
ただ、そのおかげでファンを取り付けた方が自然乾燥よりも素早く湿気を取り除くことができる、という期待通りの結果を得られた

ファンの効果確認実験結果

そしてこのやりとりの裏でMottyさんが着実にサーバーサイドを整えてくれ、深夜にはLINE通知が出るようになっていた
さらにTokuさんは徹夜して審査対象のGit HubやReadmeなんかを整えてくれた
深夜開発こそハッカソンの醍醐味だねーと口々に言う我々は異様だったに違いあるまい

余談だが、宿のサービスで貰った近所の温泉(クアハウス)の入浴券を使って入った午前6時の温泉が最高だった
当日初めて会った人と同じ宿に泊まって翌日一緒に温泉行くことなんて今後一生ないだろう

愛と憎

深夜開発のおかげでHackDay2日目はファンの作動条件の閾値決めを実験ベースでやったり、発表資料作りに当てることができた
この時点での我々のプロダクト概要は次のとおり


HackDay成果物の最終実験中、逆光がすぎる…
  1. M5Stack Core2に接続された温湿度センサは2個で、片方を土台に固定、もう片方を靴内に入れる用として準備されている

  2. M5Stack Core2に接続されたモータドライバを土台に固定しておき、ファンが接続された状態にある

  3. ファンは針金で作られた構造材で靴の上に置けるように加工してあり、ユーザーが靴を脱いで温湿度センサを靴内にセットした後に靴の開口部に置く形でセットする

  4. 外気との温度差、湿度差がファン作動の閾値を超えた場合にファンが駆動し、LINEでユーザーに乾燥が開始されたことが通知される

  5. ファン駆動の結果、靴内と外気の温湿度の差が閾値を下回ったらファン駆動を止めてLINEでユーザーに乾燥完了を通知する

  6. ユーザーは乾燥完了通知を受け取ったら革靴にシューキーパーを入れる

最初に考えていた構想とはほぼ別物だし見た目もバラックだけど、なんか妙な満足感があった
これぞハッカソン!

そんな中でMottyさんがドリルを片手に隣チームに乗り込んでいく事件が起きる
あとで聞いた話によると「一晩経ったのに“設計ミスで箱にセンサーが入らない“状態が解決しておらず、頭を抱える隣チームを見ていられなかった」とのこと
男女コンビチームのキラキラ感に対する抵抗感も困り果てた人を助けたいという義侠心には勝てないらしい

Mottyさんはそれはもう懇切丁寧に隣チーム開発品の箱の穴を拡張し、センサーとデータ処理基板が収まるよう修正を加えていた
話は前後するが、この隣チームこそ今大会の神戸会場でBest Hack Day Awardを獲得するチーム「ねこみみハリケーン」である
ちなみにそれが発表された時の我々の反応は「爆笑」であった
だって敵に塩送りまくりなんだものw
Mottyさんサイコーw
隣のチームに手を貸してそこが優勝する、可愛さ余って憎さ100倍的な感じ
これぞハッカソン?

90秒で靴が乾くわけないじゃん

さて、HackDay最後の大イベントはなんと言ってもプロダクト発表だろう
1チーム持ち時間は90秒
参加者は他のチームの発表を聞いて、自チーム以外の良かったと思うプロダクトに投票する
参加者は1人1票、審査員は1人3票の持ち票があり、最多得票チームがBest Hack Day Awardを受賞する

さて問題は90秒で革靴が乾くか?である
もちろん答えは「否」である
実験では大体1時間履いた靴が乾燥するまで10分程度かかることがわかっていた
90秒という短い時間で自分たちの作ったものを全て披露するデモは難しい
とはいえせっかく作ったのだから魅力を全面にアピールしたい
90秒のアピール動画を作ることも考えたが、そこは自分のトーク力を過信してみることにして、デモを30秒にまとめた動画だけ作ってあとは口頭でベラベラ喋ることにした
あと関西人的にどうしても1笑い欲しくなって寸劇も入れてみた

発表のイメージは下記の通りである

発表者:俺
寸劇担当:Tokuさん
準備補助:Mottyさん

  1. 最初に軽く自分たちのやりたいことの紹介

  2. Tokuさんによる家に帰ってくる寸劇(とても元気よく)

  3. 靴乾燥デモ動画を再生しながら、一方でTokuさんは家でくつろぐ寸劇

  4. 締めの挨拶をしながら、Tokuさんはシューズキーパーを入れる寸劇

結局、デモ動画で凝ったものを作成する時間はなく、また発表練習にあまり時間もとれなかったが、90秒の発表としては比較的うまく行った
特にMottyさん、Tokuさんがうまく発表の構成を理解してくれたおかげである
本当に感謝したい

HackDayの結果として幸運なことにサントリー様から企業賞をいただくことができた
その場で妻に
「副賞、サントリー製品1ケースらしいけど何がいい?」
と送って
「香るエールで」
と速攻で返ってきたので
よしよし、丸2日家を空けた分はこれで埋まったぞ!
とちっちゃくガッツポーズして、我々のJPHACKS2023はここで終わる…筈だった

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