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青春は、一度だけ

 5月も半ばを過ぎて。

とある予備校生:「インハイ予選の情報が発表されたよ!」
わたし:「へぇ。」
とある予備校生:「どうなったと思う?」
わたし:「何が?」
とある予備校生:「生井金太郎、どうなったと思う?」
わたし:「え?そりゃ…」
とある予備校生:「入っとったんよ~!!」
わたし:「え?団体メンバー?」
とある予備校生:「そう、団体メンバー!奪い返したらしい!」
わたし:「へ~!そうなん、そりゃよかったねぇ……?」
(となると、木下(仮)くんは……。う~ん。
 と、今年はそんなに関係ないのに、同時に二人の顔が頭に浮かぶ。)
わたし:「そんな情報、どこからもらってくるん?」
とある予備校生:「まあ、いろいろとね ♪」


 生井くん、あきらめずにがんばった甲斐があったね😊と、内心、めったに思わない、先生らしいことを思ってしまう。










 ところが、数日後……。











 帰宅後、インスタグラムをチェックしていたとある予備校生が、
「うわっ、まじかこれ。」
と、つぶやいた。

「なに、どうしたん?」
「…っやー、生井金太郎、怪我したんて。
 『試合前にケガって 運悪すぎ』
 って上げとる。」
「あらら……。」









「なんでかねぇ?
 練習しすぎたとか、そういうのもあるんかねぇ?」
と、とある予備校生。
「かもねぇ…。」
と、わたし。
「どうなるんやろ、まじで。出れんのかねぇ?」
と、とある予備校生。
「まぁ…うぅ~ん………さぁ…。」
と、わたし…。









 そして、先週の日曜日。
 予備校から帰ってきた、とある予備校生が、重たいリュックを床の上にごろん、と寝かせながら言う。

とある予備校生:
 「今日さぁ、また、古いほうの勤務校のソフテニに会ったよ。」
わたし:「へー……、また! あんたたち、よく会うねぇ?」
とある予備校生:
 「また、練習試合やったらしい。でも今週はそれほど強くないところとやったらしいよ。過激発言のソフテニ部前衛くん、めちゃくちゃ絶好調らしい。ほとんど点を相手に与えんかったらしいよ。」
わたし:「へー、やるねぇ。」
とある予備校生:
 「今年のインハイ予選、どこが勝つと思う?まあ、でも、優勝は✕✕工業やろうな。あっこには古いほうの勤務校もよっぽどのことがないと勝てんからな。いくら過激発言くんが覚醒しとってもな!
 新しいほうの勤務校(=とある予備校生の母校)は、今年はどこまで行けるかな~。オレらの一個下の代は……、」

 「過激発言のソフテニ部前衛くん」とは、去年教えていたワイルド科の、授業中の突然の過激な発言でわたし(とクラスメート)を「…………。」にさせる少年である。
 県内ではよく知られた、全国大会常連選手で、とある予備校生にとっては、年下でも雲の上の選手。でも、試合の時会うだけなわりに、なぜかとある予備校生のことを気に入っていて、いつも出会うと「からんで」来るらしい。もしかしたら、不思議な彼は、わたしと、とある予備校生との関係には、気づいていないのかも。


わたし:
 「あの過激発言くんがねぇ。へぇ~。ああ見えて、ほんとに強いんやね。最近髪型も変わったよね。」
(自主的に、会話に置いて行かれているわたし。)








とある予備校生:「生井金太郎もおったよ。」
わたし:「へぇ。」
とある予備校生:「腕に何かストッキングみたいなもの巻いとった。試合には出てないっぽかったよ。」

わたし:「へぇ…。」

とある予備校生:「……オレ、『よう!』とは言ったけど、気の毒すぎて話しかけれんかったヮ…。」











おしまい。

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