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朝の風景

 朝ご飯が終わって、洗い物。
 それぞれの水筒を組み立てて、お茶を入れる。
(水筒のゴムの部品とか、蓋とか、きちんと閉め損なうと、
 大変なことになる。)
 背中を向けてやっていると、後ろで、とある者たちが、それぞれの学校へ行く準備をしている。
 アレだ、コレだ、と騒いで、リュックの中身を入れ替えていたとある若者、急に気づく。
「あ!マッシュルームがめちゃくちゃデカくなっとる!」

 振り向くと、とある少女が
(あ~、めんどくさい人に見つかってしまった。)
というような顔をして、兄を見ている。
お構いなしにたたみかける、とある若者。
「これ、食べんの?
 とある少女ちゃん、これ食べるん?
 これ、もう大きくなりすぎじゃね??」
「……。(うるさいなあ、わたしのだよ?)」
見ると、たしかに、昨日より足が長くなって大人びている。
母:「たぶん、まだぜんぜん大丈夫と思うよ?    ………食べる?」
少女:「え~……。」
母:「まだとっとく?」
少女「う~ん……。」
若者:「もったいないぞ。早く食べんと食べられんくなるぞ。」
少女:「え~、別にいいよねぇ。」
母:「ちょっとどうなるか、見たいよねぇ😊。」
(1号さんは食べられなくて済みそう……)
案外、簡単に納得するとある若者。昔からそれ以上は言わない。


 行ったり来たりした挙げ句、とある若者は「チューターに怒られる~」とか言いながら、バタバタと出掛けていった。
とある少女は、時間を見て、すーーーっと、玄関へ。
いってらっしゃい、と二人を見送る。

 静かになった食卓に戻ると、朝ご飯のベビーチーズの包み紙や、昨日買ったバレーボールシューズの値札、などが、そのまま置かれている。
 そして下、それぞれの椅子の横の床には、脱いだねまきが、ぐにゃっと置かれている。ねまきのズボンなんか、脱いだ形そのまま、無限大(∞)の形で(上から見た図。2つの穴にそれぞれ両足が入ってた感じって、伝わるかな?)。


 わ~、写真に撮りたいような ∞ 2つ!
 学校に行くこと「だけ」に全集中の、子どもらしい一生懸命の形。





 でも、写真に撮っても、言葉にしても、いつかはなくなっていくものなんだろうね?
と、1号さんに話しかける。



「だね。」と答える、
「食べられるものなら、食べてみろ。」な、1号さん。

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