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#読書の秋2022 日本の黒い霧(上)/松本清張

-下山国鉄総裁謀殺論-
400ページ程の文庫本の約100ページ分。

いわゆる下山事件について、清張氏から見えた事件の内容が
書かれているものである。

昭和24年7月6日。
遺体となって発見された初代国鉄総裁下山定則氏の死亡前、死亡後の異常な様が細かく書かれている。

読み終えるまでに時間を要した。
何とも言えない感情が取り巻き、ページを捲るのが
億劫になる時があったのだ。
また、清張氏の文章のパワーに圧倒されて
倒れそうになるのだ。
休み休み読むので精一杯だった。
読み終えた後の余韻もまたエネルギーに満ちているのである。こんなにもエネルギッシュな作家の本が読める事に感謝したい。

謀殺。

何と恐ろしい言葉であろうか。
戦争中はもとより
戦争後の恐ろしさを感じられずにはいられない。

事件は下山氏の自殺と結論付けられているようだが、
作者は謀殺されたとみている。
数々の証拠がそれを物語っていると言うのである。
何のために殺されたのか、
そしてその事によって誰が得をし、誰が悲しんだのか
そんな事も書かれてある。

様々な角度から事件現場を見る。
そんな清張氏の背中を追いかけて一緒になって
真実を追究したくなる、そんな作品だ。

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