感想『「うつ」の効用 生まれ直しの科学』しきの読書記録

「しきの読書記録」第二弾。
読んだ本を「私」の頭で理解し、再編集してお届けしています。あくまでも「私」というフィルターを通しているということを念頭にお読みください。

「うつ」の効用 生まれ直しの科学
泉谷閑示 著
幻冬舎新書
※『クスリに頼らなくても「うつ」は治る』を加筆修正したもの

大まかな内容

 「うつ」は誰でもなりうる病気でありながら、対症療法が中心であり、中には休職や休学を繰り返すケースも多い。再発の恐れのない治癒に導くには、「頭=すべき」よりも「心と身体=したい」を優先するべきだと説く本。

何故この本を買ったか

 実際に私も「うつ」を発症しており、もらった薬をただ飲むだけでは、治療には不十分だと考えているから。

印象に残ったところ

頭vs.心と身体

「頭」:理性の場 must, should
「心」:感情・欲求 want to, like
「身体」:感覚(直観)の場
心と身体は繋がっており、「心=身体」と考えてよい。

「うつ」は、圧政を敷いている「頭」に対して、「心=身体」がストライキを起こした状態。
理想(頭)と現実(心と身体)との乖離。
⇒「心=身体」の声に耳を傾けよう


「早く復学・復職しなきゃ(焦)」というのは、頭の支配から抜けきっていない証拠(めっちゃ思い当たる)


抑えられて出られずにいる感情は、「怒」→「哀」→「喜」→「楽」の順で溜まっている。「怒」が最初に出やすい。(著者が臨床的に観察した結果)
⇒「イライラ」は「感情解放の初期段階」
 イライラを無理に抑えようとするのではなく、処理をする。心の吐き出しノートを作るのがおすすめ。(やってたわこれ)

努力と熱中


努力した人が成功する ⇒ 誤解


ニーチェ『ツァラトゥストラ』「三様の変化」
人間の変化成熟のプロセス。


ラクダは「汝成すべし!」と命ずる巨大な龍にしたがっている。
ある時、ラクダは獅子に変身し、「われ欲す!」と叫んで龍を倒す。
その後、獅子は小児に変身する。


ラクダは「努力しなきゃ」と思っている状態。小児の状態になると、熱中することができる。「努力しないと怠け者になっちゃうんじゃないの?」というのは、龍の策略にはまっている状態。一時的に何もしたくない状態になっても、人間は、ずっと何もしないでい続けることはできない

リハビリについて

段階的に負荷をかけるリハビリテーション(試し出社など)
(私が今しようと考えているやつ)
 → 整形外科的リハビリ・モデル

「うつ」=「心と身体が拒否反応を起こした状態」であるならば、アレルギー反応に近いのでは?
⇒「うつ」が何に対する拒否反応なのか?分析することが必要
※もちろん、分析後は段階的に負荷を増やすべき

恵まれているのに……


 著者曰く、時代の流れによる価値観の移り変わりは、大まかにいえば「マズローの欲求段階説」の低次から高次へ向かう向きである。
「なぜ生きるのか?」という問いは、自己実現の欲求から発せられるものなので、「食べるに困らんからいいだろう」とか「組織のため」「認められるため」というのは答えにならない。
「こんなに恵まれているのにこんなことで悩んでいる……」ではなくて、「恵まれているからこそ」その悩みが生まれた。


「生きる意味」を求める生き方
⇒「心=身体」を自身の中心とし、「今・ここ」を感じながら生きること。
(「頭」は未来を予測し、過去を処理する⇒現在は扱えない)

「将来に備える」という考え → 仏教的に見れば「執着」
一見合理的に見えるが、「今・ここ」を犠牲にしてしまう側面がある

「うつ」が治る

「うつ」が治る = 新しく生まれ直す
頭の支配体制を脱する
→「他力」の現れとして、自然な意欲が湧き上がってくる。

読み終えて、感想

私について

 今のまま、自分が何に対して拒否反応を示しているのか、明らかにせぬまま負荷を増やしても(勉強を始めても)、良くはならないのかもしれない。
→ 自分のこれまでについて分析してみようかな

 しんどい時、「何もしない時間が欲しい」と思っていたのは自然なことだったのかもしれない。この本における精神力の強い人、うつになった人の傾向にあてはまっていた。今、少し元気になってきて、「何かしなくちゃ」と思っている部分がある。けれど、ちょっと立ち止まって何もしない時間を過ごそうかな。心の声を聴くために。

 努力ではなくて、熱中できるものを探したい。今までは、別に好きでも何でもないことを(得意だから)あえてしようとしてきたところがあるから。紙に書き出してみるか?

大学受験のために高校時代の青春を犠牲にして、
就職のために大学生活を犠牲にして、
今度は老後のために社会人の「これから」を犠牲にするのか。

そう思うと絶望しかなかったのを思い出した。

この本について

 クスリを利用しつつも、それ以外のことも大切だよ、という内容だった。以前のタイトルだと、「スピリチュアルか?」と疑って読まなかったろうな。「科学はダメ!おかしい!!」ではなくて、科学を道具として利用しつつ、そればかりに頼るのではなく、他の見方もしようという話。
 そのためか、科学的な根拠はあまりみられず、(そもそもうつ病が科学的によく分かっていないのもあるが)例えばなしを交えた説明が多かった。(個人的に分かりやすい話は疑わしく思ってしまう。「頭」の働きだろう)この本に限らず、距離をとりつつ読むのがちょうどいいだろう。

おわりに

 面白かった、というかためになった。休学期間の過ごし方に活かしていきたいと思う。

 繰り返しますが、この記事は本を読んで私が自分なりにまとめ直したものです。実際の本の構成とは異なります。興味がある方は、よんでみてくださいね。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

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