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大麻の真面目な話

これは今から18年前、2005年8月の話。
振り返ってみれば僕の人生というのはわりとドラマティックなもので、《人生ドラマ以上》という、ややニトリ風なキャッチフレーズがぴったりだ。今からする話も普段普通に生きていると、なかなか体験できない貴重な経験談のひとつ。


東京に住んでいた頃、妻と滋賀のとある大麻農家の収穫体験ワークショップに行った。もちろん免許を持っている麻農家に。
様々な事が起きた、いろんな事を学んだ、とても濃厚な二日間だった。



山深く入っていったところに麻畑はあった。一反の畑に予想を超えるほど高く成長した大麻。
最長4mの成長ぶりには驚かされた。それをみんなで収穫し、葉や枝を取り除き束ね、茎だけにし釜で煮て乾燥させる。そして後日乾燥した茎から繊維を採るというわけである。
夕立に会いながらも連日に渡る農作業。本当にみんな熱心に作業した。

収穫した大麻。麻薬成分THCを含まない品種だが、葉や穂を敷地外に持ち出してはいけない。



大麻という植物は陰と陽が同居する不思議な植物だ。
茎は衣類や紙、建材などに。種や実は食料に。穂は薬として。直に触れてみて良く分る。これは地球の植物じゃない。宇宙から来た植物だ。
神様はもしかして人間を試してるんじゃないだろうか。環境破壊の地球を救う素材として利用するか、もしくは快楽に溺れるか。大麻が地球を救うんじゃない。それを使う人間の手にすべてはかかっている。


二日目、草むらから現れたマムシを叩いた時に災いは起こった。
嘘のようなほんとの話。場にそぐわない大きなバンが突然やってきた。厚生労働省麻薬取締官一行が来たのである。容疑は麻農家の方に対する麻薬取締法違反。家宅捜査のため、びっくりした僕たちは主催者が所有する、まだ改築中の茅葺き屋根の家へと移動させられた。

裁判所から出た捜査令状を見せられ、ひとりひとり取り調べ。
奴らはこうやって大麻=スモーカーの構図でつぶしていく。麻農家が絶滅の危機に瀕しているというのに。
テレビドラマなどで見る、番号の書いた紙を持たされ、写真を撮られ手荷物検査。しかし参加者全員真面目な目的で勉強しに来ている人たちばかり。もちろん全員クリーン。マトリの麻薬パーティーなる妄想はもちろんあるわけが無い。麻畑に移動して畑の調査をし、捜査は終了した。『作業の邪魔してごめんな』サングラスをかけた、ヤ◯ザみたいな風貌をした偉いさんが一瞬笑顔を見せて帰って行った。間違いなくこの中で1番怪しいのはあんただ。

大麻と筆者(2005年当時)


農業をして逮捕される。そんな馬鹿な話があるだろうか。今、日本は狂ってる。
戦後のGHQ以前の日本人たちは大麻とうまく付き合ってきたはずだ。
伝統の織物産業として。そして天皇家とも関わりが深い。いわば日本人の心の植物なはずだ。
アメリカ批判をしてもしょうがないが、日本人は麻という心をアメリカに売ってしまったのだろう。近代化、欧米化を夢見た日本は日本人の心を無くしてしまっている。

話は変わるが、《氣》という漢字も戦後《気》に変えられたという。日本人としての精神性、四方八方に広がっていくエナジー《米》を、閉じ込める《〆》ブラックマジックだ。大麻禁止も、おそらくその日本人の精神性を弱らせるひとつの手段だろう。


添加物に溢れた食料品、スーパーに並ぶ季節感のない野菜や魚。国が推進した工業廃棄物から作られた化学肥料や一年で終わりの品種改良された種、農薬。大量生産、効率のよさ、便利さ。そんな死んだ土から出来た見た目ばかりの野菜。もうそれは農作物とは言えない。工業製品と化してしまっている。あんなにたくさんの食料品で溢れているスーパーもラベルの裏を見ると添加物だらけ。安心して食べられるものなんてほとんど無い。服は化学繊維、機械で編んだ製品。そんな命のないものに囲まれて人間が人間らしく生きれるだろうか。今の子どもの現状を見るとあきらかだ。完全に日本は病んでしまった。でも、もう一度、やり直せるんじゃないだろうか。

収穫後、茎を煮てから乾燥・発酵させる


今までいつも大事な判断を誰かに預けてきた僕たち日本人。これからは自分で、生の目で判断しよう。誰かが言ってるとか、テレビで言ってたとかじゃなく、自分の目で、耳で、鼻で、純粋な心でものごとを判断しよう。

学名Cannabis sativa


嗜好品としての大麻はまた別の話だ。現状の日本の法律《大麻取締法》で規制されているからにはそこからは逃げられない。それを守るしかないのだ。いくら大麻が危険性がないからと声高く訴えたところで、日本にいる限りは所持しただけで犯罪になってしまうのである。家族や社会に与える影響は計り知れない。

法律という高い壁はあるものの、生活の資源として、医療の助けとして、大麻が広く世に広まることを強く願う。そして、国や厚生労働省、マスコミが作り出した大麻のネガティヴキャンペーンの間違いにどうか人々が気付きますように。



※当時のブログにアップした記事を加筆・修正しました

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