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ソバーキュリアスな生活

うつ病になって4年半、お酒は一滴も口にしていない。
発症前はワインやらビールやら毎日のように飲んでいたが、うつになって絶不調に陥ると、アルコールは見るのも嫌なほど受けつけなくなった。

症状が落ちついてからはアルコールに対する拒絶感はなくなって、時々、ワインを少し飲みたいと思うことはあったが、絶対というわけではなかったので、飲まずに今日まで来た。

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お酒は飲めるけど、あえて飲まないという生活スタイルを「ソバーキュリアス」というらしい。そうか、私も一応「ソバーキュリアン」ということになるのだな。

ほんの時たま、ノンアルコールビールを飲みたくなる。
味は正直、すごくおいしいとまでは思わないけど(メーカー様、すみません)、スカっとして気分転換になる。
おつまみはあってもなくてもOKだが、今日は最近はまっている「香ばし蜂蜜バタピー」を食べながら飲んでいる。

たまにはお行儀よくお皿に盛ってみる


ちなみにグラスは8月に浅草で作った江戸切子で、↓の記事で「最初に飲むのは何にしよう。レモンスカッシュにしようか」なんて書いたけれど、使うのがもったいなくて(洗う時に割ってしまったらどうしようとか心配で)インテリアとして部屋に飾ったままだった。

今回、ついにノンアルビールで初使用。普段のグラスの時よりおいしく感じる。


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アルコールフリーの生活に変わって良かったこと、そうでもないこと、両方ある。

良かったこと

1. 体調がいい
うつによる重だるさはあれど、なんとなく体が軽くすっきりしてきた。
体重は変わっていないが、内臓への負荷が減って、あちこちの器官から「休ませてくれてありがとう!」という声が聞こえてくるような気がする。

2. 酩酊による時間の浪費がなくなった
酔って帰宅して、ほんの10分休憩のつもりでソファーに倒れ込んだが最後、目が覚めると夜中の2時や3時。
「あぁ寝ちゃった!メークも落としてないから顔が脂ギトギト。今からシャワー浴びるのしんどい。でも明日も仕事だから浴びないと~」という、あの時間のロスがなくなった。

とはいえ、やはりうつの症状がある身、ぼーっとしている時間は多く、断酒したからといってキビキビと時間を有効に使えるようになったわけでもないのだけど。

3. お金の節約
断酒前は月2~4回ぐらい外で飲んでいた。1回あたり4、5千円。
2軒目、3軒目もとなればもっとかかるし、家飲み分も合わせると月に2、3万使っていたのかな。
それがなくなり、経済的に少し余裕ができた。

良くないこと

1. 人との交流が減った
飲みに行くことがなくなって、人間関係が変化した。うつとかコロナ禍とか、いろんな要素が重なってそうなったわけだが、人と会って飲んで食べて、わいわいおしゃべりしてという時間が人生から消えたのは、ちょっと寂しい。
とはいえ、親しい友人とはランチやお茶で十分楽しんでいるので特に問題はない。友人未満のゆるいつながりの人たちとの交流が減ったという感じ。

2. 酒場に行かなくなった
繁華街を歩いていて、お店の中から飲んで盛り上がっている笑い声が聞こえてくると、うつになる前の元気だった頃を思い出して少し切なくなる。
酒場の雰囲気は好きだった。いろんな出来事を思い出す。

赤羽の居酒屋では、隣のテーブルのおじいちゃんグループの1人が突然、「お前、オレのことバカにしてるだろう?お前は昔からオレをバカにしてんだよなぁ~」と、ご友人に絡み始めた。
よくあることなのか、ご友人は「してねえよぉ。んなわけねえだろうよぉ」といたって落ち着いた様子(笑)
「いんや、バカにしている」と執拗に繰り返す声はどんどん大きくなってきて、あわや乱闘かとハラハラしたが、次第に落ち着いて「ワハハ、ワハハ」と元通りになってホッとした。
あのおじいちゃんたち、今も元気で一緒に飲んでいるかな。

吉祥寺での定例女子会では、ひとしきり盛り上がった後、最後までお皿に残った料理を皆がチラ見して、私を見る。よく食べる人と認知されていた私に「さぁ、エリンギちゃんの出番よ!」と毎回、声がかかった。
「え~、いいんですか~」と遠慮気味のそぶりを見せつつ、食べ残し防止係として活躍したものだ。

◆◆◆

「お酒は百害あって一利なし。今すぐやめて生産性の高い人生を送りましょう」とか聞いたりするけれど、私はお酒=悪とは思っていない。

酒飲みでも健康そのものの人もいるし、個人的には楽しい時間を過ごすための1つのツールだと思う。(酒席が嫌いな飲まない人にとっては苦痛以外の何物でもないだろうけれど・・・)

ともあれ、今の私は飲まない生活が合っているし、今後の自分の人生のためでもあると思う。
楽しかった飲み会をなつかしみながら、ソバーキュリアスな日々を心穏やかに充実させていきたい。

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