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【ドラマ感想】『ゼイチョー』1話見た

 菊池風磨くん主演の『ゼイチョー』を見た。GP帯初主演への想いをブログで熱く語ってくれたので、「これはファンとしてリアタイしないわけにはいかない」と思い、最近は専らTver派な私も『1億3000万人のSHOWチャンネル』からテレビをつけて見始めていた。
 
 最初のカットは回想から始まる。菊池風磨くん演じる饗庭蒼一郎は髪型がオールバック…。オールバック好きのオタクとしては非常に助かる。
 ただ、現在の饗庭は前髪あり。こちらもビジュアルは文句なしだ。しかし、ドラマ上では徴税課は役所内でも敬遠されがちで人気がないという設定。徴税吏員も市役所勤めで十分立派だが、以前は財務省の官僚というスーパーエリートだった。そのことを強調するためにオールバックだったのだろう。オールバックって何となく仕事のできる人間といったイメージが持てるから。まあ風磨くんの風貌から既に”仕事できる感”が出てしまってはいるが。

 そこから山田杏奈演じる新人徴税吏員の百目鬼華子の新人研修にカットが移る。徴税吏員が財産を差し押さえるシーン、なんかデジャブ...?と思ったら前クールで中島健人くんが出演していた『シッコウ!』に出てくる執行員が財産を差し押さえるシーンとまるっきり同じではないか。そんなとこまでシンメかよ。てかチョゼってるってなんだよ。

 しかし、執行官は裁判所職員だし財産を差し押さえる動産執行ができても不思議はないが、市役所職員でもこんな強引なことできちゃうの…?という疑問が沸いた。調べてみると、市役所で徴税事務を行う職員は、地方税法の規定により、税の賦課徴収にかかる検査及び調査又は延滞金の徴収等について市長の職務権限を委任された徴税吏員となり、法令に基づく滞納処分を自らの判断で執行することができる…らしい(愛知県 春日井市ホームページより)。

 それにしても菊池風磨、本当に七変化が過ぎる。何なんだその変顔。それでいてエリート感も崩さない。世界一表情筋が柔らかい男だ…。
 そんな饗庭のキュートな変顔からすっかりコメディドラマと勘違いして見進めていたが、住民税を滞納していた和菓子屋の主人が納付後に自殺未遂。首を吊ったシーンが衝撃的で、そこから一気に暗いムードが立ち込める。

 税金の問題は難しい。私のような大した額を納めていない者はともかく、土地や資産はあるのに資金繰りが厳しい者は税金に大変苦しめられているだろう。しかし、税金が無ければ救急車も有料だし、子どもを育てるのなんて今の何倍もお金がかかってしまうことになる。国民同士の助け合いで成り立っている日本において、税金を無くせというには無理がある。払えるのに滞納してる者がいることを考えると、徴税吏員の仕事は必要不可欠だなと思った。

 饗庭の仕事ぶりは実に理想的だ。滞納者一人ひとりの気持ちを汲んで行動し、「自分たちの給料は税金から出ているから」と新人に残業をさせないところは公務員の鑑ではないか(まあ和菓子屋の取引先である料亭を終業後にわざわざ見に行っているところはグレーだが)。
そして、チョゼるが段々癖になってきた.…これは流行語大賞も夢ではないのでは?使用例を一つ考えてみた。
「いや金借りたの1週間前じゃん、もう返せとかチョゼりすぎだっつーの」
 クズの使い道しか思い浮かばなかった。

1話のクライマックスとも言える料亭「なべしま」を家宅捜索するシーンは痛快だった。「あれれ〜?」があまりにもコナンすぎたけど、日テレ系ドラマなので何ら問題はない。
 そして「払えばいいんだろ!」と怒鳴り散らして財布から金をばら撒いた料亭の当主である鍋島に放った「公務員、ナメないでくださいね」で綺麗にタイトル回収。と思いきや、最後にダメ押しで百目鬼の泉に対して語りかける。
「お金のために死なないでください。苦しい時は助けてと言って下さい。勝手に死ぬ方が迷惑です。私たちに仕事をさせて下さい。そう簡単に死なせません。泉さん、公務員なめないでください」
 饗庭と同じ台詞なのに、籠っている感情が違う。怒りではなく、相手の人生に寄り添いたいという真摯な想いだった。2人は正反対に見えて、根本が同じなのだなと思う。

 モヤモヤが残らない綺麗な作品で、税金がテーマなのに小難しくなくて見やすい。
 それぞれの登場人物の過去にも注目して見たい作品だ。


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