見出し画像

自動車産業のこれから:転職先としての将来

日本で就労している人の13人に1人は何らかの形で自動車産業に関わっていると言われています。これほど多くの人が就労先として、または関連して働いている産業は他にはありません。

私が社会人になってから10年余りは、日本車が世界を席巻していました。私が出張で行ったアフリカの国の多くで、走っているのは日本車ばかり。南アフリカ共和国、エジプト、ガーナ、セネガルあたりでは、8割がトヨタ車だったような気がします。

今は当時の勢いはないものの、2021年の世界の販売数ランキングでは、トヨタが2位、スズキが7位、ホンダが10位にランクインしています。
連結ベースでのランキングなので、ルノーと日産が別にカウントされていますが、合わせるとベスト10に入ります。

自動車産業は大きな転換期です。ガソリンか軽油のエンジン車は、そのうち無くなるしょう。今のところハイブリッド車までが消滅するかどうかはわかりませんが、化石燃料単体のエンジンが無くなることは間違いありません。

もうひとつの大きな変化は、自動運転です。本当の自動運転(免許のない人だけで乗って、一切運転にかかわらない)になるのは、いつになるかはわかりませんが、いっとき自動運転と自分で運転する車が同じ道路を走る時期があるにせよ、遠からず自動運転の車だけの社会になるでしょう。そうじゃなきゃ事故のリスクは減らないし。

となると、自動車産業は技術革新の波をかなり広範囲に受ける業界と言えます。
では、自動車の部品の全てが技術革新で更新されるかというと、そうでもなさそうです。
自動車のパワートレインが全く別ものになっても、どんなに自動運転が進んでも、自動車が鉄でできている限り、多くの自動車部品が鉄製、そして鉄でできている限り、亜鉛メッキは必須です。

亜鉛メッキは非常に歴史のある金属加工技術です。今の電気メッキも、日本では江戸時代末期から行われていました。
自動車に使われている鉄製部品のほぼ全ては、この亜鉛メッキを施されているか、塗装されています。そうでないと錆が出ることになり、自動車などの部品としては使えません。ステンレスなどの合金はコスト面で全ての部品に置き換えるのは現実的ではないし、亜鉛メッキの技術は今後も続くと思われます。

現在、標準的な亜鉛メッキの加工にかかる時間は90分だそうです。メッキの溶剤の強さによってこの時間は短縮できるものの、環境負荷を考えると、この90分が一番バランスがいいと聞きます。
このあたり、技術革新がありそうですが、メッキそのものが不要になるわけではない。

そういう安定した技術の加工会社などは、AIによる変化にもさほど影響を受けずに存続するのではないでしょうか。
実は、今月から自動車部品の加工会社の採用のお手伝いをしていて、その中で考えたことです。

あなたが仕事に求めるものが何か、その価値観によっては、こういう安定している企業は派手さはないし、キラキラした会社とは対極にあるかもしれないけど、魅力はあると思います。

もし、完全な自動運転の車になったら、車は個人所有のものではなくなるでしょう。そうなるとかなり大きな社会変革がおこります。自動車の運転手、という職業はなくなるし、自動車販売という形態の事業もなくなります。自動車保険も大きく形を変えるでしょう。金融も影響を受けますね。

運転に免許が不要となると、自動車教習所はじめ、多くの産業が不要になるはずですが、運転免許試験場や、交通安全協会は警察にとって最大の天下り先で、既得権の塊なので、時間がかかりそうではありますが。。。
これを断行できるリーダーが日本にいるのかな?

そんな中でも、自動車部品の加工メーカーは、そんなに形を変えずに存続するのかな、と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?