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妻へのありがとうが難しい

「タオル取って。」「え、ん、うん。」「うん。」
 もともと他人のはずなのに、知らぬ間に感謝を言わないことが普通になっていた。ありがとうと最後に言われたのは、言ったのはいつだろう。相手が言わないから自分も言わない。お互いそう思っているのだろう。いつからかそれが我が夫婦の当たり前になってしまった。
 その結果、些細な喧嘩は絶えず、お互いにイライラしていることが多い。
 このままでは駄目と思い、寝る前にノートに妻への感謝を書くというのが日課になった。家事や子育てなど、何も感謝することが無い日というのはない。ただ、妻に隠れて書いているし、1年経つが生活にあまり変化はみられていない。
 マヨネーズを取ってくれた時、ティッシュ箱を渡してくれたとき、チャンスはゴロゴロしている。
今日こそ言う。ありがとうと僕から言う。決めた。


実はこの文章、2024年の「読売KODOMO新聞の400字で言わせて」に入賞したものです。

入選したことと、図書カード一万円分と賞状を頂けたことはとても嬉しかったです。


ただ、実際の新聞を見てちょっと凹みました。


めっちゃ省略されている。

いや、分かる。

分かるのよ。

子供が読む新聞だし、内容が内容だけに省略されても仕方ない。


ただ何か切ない。

せっかくなので全文あげておきました。

ちなみに、今だに妻に直接ありがとうがほとんど言えていません。

日常会話として普通にさらっと言えるようになりたいのに。

周りの上手くやっている夫婦に話を聞くと、いつもお互い感謝言い合っているよって。
やっぱり、そこ大事よなーって思いながら。

ん〰それが難しい。

妻へのありがとうが難しい。


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