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タバコモザイク病について

タバコモザイク病(Tobacco mosaic virus: TMV)は、最もよく知られる植物のウイルス病の一つで、特にタバコに感染して葉にモザイク状の模様を生じることからこの名が付けられました。このウイルスは多くの植物に感染することができ、感染した植物は成長が遅くなることがあります。

TMVはウイルスの研究史において重要な役割を果たしてきました。初めて純粋な形態で結晶化されたウイルスとして知られており、ウイルス研究の基礎を築いたウイルスとしても知られています。


1. 特徴と症状: TMVに感染したタバコの葉には、黄色と緑色のモザイク状の模様が現れます。これは、ウイルスが葉の細胞内で増殖することにより、光合成の能力が低下するためです。また、葉がねじれることや、成長が抑制されることもあります。


2. 分布: TMVは世界中に広がっています。多くの野菜や装飾用の植物に感染することが知られており、感染するホストの範囲は広いです。


3. 伝播: TMVは、感染した植物の部分が健康な植物に触れることで伝播します。さらに、農作業機器や人の手を介して伝播することもあります。


4. 抵抗性: 一度TMVに感染すると、感染した植物はウイルスに対する耐性を持ちません。しかし、いくつかの植物品種はTMVに対する耐性を持っており、これを利用してTMVの感染を予防することができます。


5. **研究の歴史**: TMVは1900年代初頭に発見され、植物ウイルス研究の先駆けとなりました。1935年に、アメリカの生化学者ウェンデル・メリル・スタンリーによって、初めてウイルスが純粋な形態で結晶化されることが示されたのもTMVでした。これにより、ウイルスがタンパク質と核酸から構成されることが明らかになり、ウイルス研究が大きく進展しました。


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