夏ドラマ/番外編「アンという名の少女」
アンという名の少女。
題名からしていいですよね。
原作「赤毛のアン」…ではありますが、だいぶ手が加えられていて、ほぼ別物です。
カナダ発のドラマで、原題は「Anne with an "E"」。
アンは原作でも名前に「E」が付くことを主張していますし、これもいい題名だなと思います。
夏ドラマではありませんが、NHKでシーズン2が再放送されていて「やった!」と思い、全話録画しました。
シーズン1ではアンがまだ幼く、情緒がぶっ飛んでいるのでちょっと「無邪気な子ども」アレルギー持ちとしては辛い部分があります。
シーズン3ではアンがだいぶ大人になってきて、色恋沙汰が生々しい感じになってきます。夢見る少女時代の終焉を感じさせるあれこれ。
ということで、シーズン2がベストなのです(わたし調べ)。
ある事件が起きてトレードマークのおさげ髪からショートカットになるのも非常にお似合いだし(これは原作通り)。
ドラマオリジナルキャラクターも登場しますし、いじめっ子たちの悪質ぶりにも磨きがかかり、差別問題もかなりシビアに描かれます。
わたしは女の子として生を受けたのに「小公女セーラ」も「若草物語」も「セーラームーン」も知らずに生きてきました。
「赤毛のアン」も読んだことがありませんでしたが「アンという名の少女」を観て、これは原作も読むべきだろうかと思い村岡花子版の本を買ってきたという体たらくです。
だから原作に思い入れは無い。のでわたしとしては問題ないのですが、原作ファンは無事だろうか?と思うほど、ドラマ版に大きく手が加わっていることは確かです。
ただ、原作ファンはともかくとして、アンが実在する女の子だったなら、この改変に目を輝かせて「素敵!」と言うと思うのですよね。
想像ですけど。
アンはたぶん、フェミニスト。
孤児院育ちであることからの差別も、本に書かれている以上に受けただろうし、有色人種に会う機会があったなら、きっとシーズン2のあの反応をしたのではないか。
と思ってしまうほど、たぶん赤毛のアンをこよなく愛し、深く深く読み込んだ人たちが集まって、この作品を丁寧に紡いだのだろうと思われます。
シーズン2で登場するオリジナルキャラクターのコールが、とにかく素晴らしい。芸術家で繊細で、悩めるコール。
わたしはコールと友だちになりたいし、傷付いたコールを抱きしめたい。
いつだってアンの味方のマシュウも
アンと共に生きることで価値観が大きく変わってリンド夫人と激しく喧嘩するマリラも
登場シーンから好きになってしまわざるを得ないステイシー先生も
もちろん、アンもダイアナもギルバートも
みんな、悩み迷い失敗し、変わったり変わらなかったり。
ドラマの中に息づいている、という表現がピッタリの愛おしい登場人物たちを、ただ見ているだけで嬉しくて切ない、アンという名の少女/シーズン2なのです。