ほろ苦い反芻
ここのところ、眠りが浅いのです。
年齢的なものなのかもしれないのですが
カフェインが殊に沁みます。
若い頃から、様々な成分の効用がてきめんに出がちなわたしの体。
夜眠れなくなるのでカフェイン入りの飲み物は16時以降控えるように心掛けていましたが、最近は昼過ぎに飲んだコーヒーが夜になっても抜けなくなってしまいました。
エスプレッソなんて、朝飲んだのが夜まで効いています。
カフェイン、もはや摂取しない方がいいのかな。
でも、コーヒーも紅茶も豆乳飲料/麦芽コーヒーも美味しいし、お昼明けシャキッとするから1日1杯くらいは飲みたい。
理性と欲望のせめぎ合いです。
眠りが浅くなってみると
深い眠りが恋しいのです。
そういうことってよくありますよね。
普段、どうということもなく得ている諸々が、無くなってみて初めて身に沁みる、ということ。
でも、享受しているときはそれが恩恵であったことに気付かなかったりするものです。
例えば中学生の頃は、学校と習い事と塾と部活を掛け持ちして慌ただしく、早く解放されたいと思っていました。
高校生の頃は日々の授業が退屈で、時間が早く過ぎればいいのに、と思っていました。
大学生の頃は夏休みが長すぎて、暇を持て余していました。
あの感じ、もう1回味わってみたいなと思うものの、過ぎてしまった今となってはそう簡単に手に入れられるものではありません。
時は戻せない
し、例えば、何か手を尽くしてあの頃と同じ環境を今整えたとしても、たぶん当時の感覚とはどこか異なるものになるでしょう。
ああ、恋しいなあ、あの頃はあんなにたくさんの恵みを疑いもなく、半ば面倒に感じながら受け取っていたなあ、と思うけれども、それは牛の反芻のようなもので、一瞬戻ってきてもしばらくモグモグした後にまた飲み込まれます。
やっぱり、今がいいな。
戻りたくは、ないなと。
あと、本当に過去に帰ってしまったらたぶん、マイナス面も目についてしまうと思うし。
でもそういう、たまに口の中に戻す、ちょっと胃液でほろ苦いような思い出が色々あると、ああ大人になったなという感じがします。
平均寿命くらいまで生きた場合
人生は大人になってからの方が長い。
楽しいのは子どもの内(若い内)だけよとか
大人になったらそんな甘いこと言っていられなくなるんだぞとか
結婚は地獄だとか
今まで数々の大人から様々な呪いをかけられてきたけれど、今のところ十分に年齢としては「大人」となったわたしの実感としては、ぜーんぜん、そんなことありません。
おばさんだけど毎日楽しいし
若い頃のほうがよっぽど地獄だったし
今も逃げられるものからは逃げてるし。
色々あるけど大人って楽しいよ、と言える大人でいられるように生きていきたいなと思います。