不倫と、そうじゃないやつ

不倫は、関わった人全員を不幸にする。
だから不倫をしてはダメ。
ダメ、ぜったい。

確かにそうです。
不倫は、大切な人を裏切る行為。

全てが詳らかになったとき、
少なくともパートナーを傷付けるのは自明です。

どうしてそれが分かっていて
行動してしまったのでしょう。

…

と言いつつも、わたしはわたしの夫以外の、知り合いなり有名人なりの不倫を知っても、またそれが如何にクリーンなイメージの人であったとしても、裏切られたような気持ちにはなりません。

知らない内に惹かれてしまって
気付いたときにはどうしようもなかった
家族を苦しめることが分かっていても
止めることが出来なかった

という理屈は、擁護はしないまでも
そんなこともあるかもなぁ、とも思うからです。

そうか、あの人も聖人君子ではなく
只人だったのだなぁ、と思うだけ。

ただ、世の中には
不倫と
そうじゃないやつが
あると思っています。

例えば、後輩に相手を用意させて
一晩限りの関係をとっかえひっかえ持つとか

自分の性欲を満たすだけのために
都合のいい相手を呼び出して
性交だけして別れることを繰り返すとか。

わたしは、これらは
不倫ではない、と思います。

だってそこには
お相手に対しての
敬意が無い。
尊重が無い。
配慮が無い。

不倫相手を自分と対等な「人」として重んじていたら、そんなことは出来ない、と思うからです。

不倫と、そうじゃないやつ。

もし自分が配偶者の立場だったならば、どちらも辛いだろうけれども、強いて言えばどちらがより一層嫌だろう…と考えたときに、わたしは「そうじゃないやつ」の方が飲み込めない気がします。

だってそれは

自分には優しく接している人が
人を人とも思わない行動をしていた

今、わたしに微笑みかけたその裏で
蔑む顔を誰かに向けている

はっきりと差別している

ということの証明だと思うから。

自分さえ大切に扱われれば、他の人にどう振る舞おうが別に知ったこっちゃない、という考え方もあると思います。
それはそれで、一つの意見だと思います。

でもわたしは、
好き嫌いがあってもいいし
心の中で拭いきれない
嫌悪感が存在するのは仕方ない

ただ、人を見下してそれを臆面もなく行動に移し、そのことで同じ人として相手がどう感じるかなどお構いなしで、慮ることすらしない言動を、断じて受け入れられないのです。

…

体の関係だけなら構わない
心の関係になるのは許せない

という、まことしやかに囁かれてきた言説、
わたしは、本当にそうだろうかと思うのです。

心の関係は、出来れば控えてほしいけれど
あり得るかもしれない。

でも、人を使い捨てにするように
体の関係だけを持つような人非人は許せない。

あくまでも、わたしは。