見出し画像

言った気になっていないで

kittyは彼女の不在を感じているようで、
僕が帰宅しても、
玄関のドアの近くをくんくんと歩き回っているときがあります。
Where is my mum?
そのように。
ですから、僕はkittyをそっと抱き上げ、
いつも彼女がするように、
You are so cute
と、頬の辺りを撫でております。
彼女がいつもkittyを、
cute
そう言葉をかけておりますので、
僕は普段それを聞いているだけで、
言うことはあまりありません。
ですが、
彼女がいないと、
cute
その言葉を聞くことはありませんので、
僕は無意識のうちにkittyに、
cute
連呼しているようでございます。
また言ったな
口から出ていった瞬間に。
普段は彼女が言っているのを、
僕も言っている気になっているのでしょうかね。
これを機に、
言っている気になっていないで、
言葉にしていこうと思います。
彼女がいつも、
He is the cutest cat in the world
He is the cutest cat I have ever seen
そう言ったあと、
僕に同意を求める視線を向けてきていたのですが、
その理由がなんとなく分かったような気がいたします。
彼女がkittyに言葉をかけるのを、
僕は、うんうん、と賛同しながら聞いているのですが、
彼女の耳には何も届いていませんからね。
そういうことなのでしょう。
お見送りに行った空港で、
外国の方が、手荷物のことで、
なにかしらの言い争いを、
空港のスタッフとしておりまして、
僕たちは少し離れたところで列に並びながら、
They have been talking so long
なんて、見るでもなく見ておりました。
そして、十分ほど経ってから、
They have sorted it out. She is smiling
彼女が言いましたので、
僕は彼らのほうをちらと見ましたが、
外国の方が何かを説明しているのを、
スタッフの方が、
はい、はい。分かります。でも、
とでも言いたげな仕事の笑顔を浮かべているようにしか見えませんでした。
案の定、その後も、
五分、十分と何かを話しておりましたので、
彼女は、
I still cannot understand Japanese smiles
と、その笑顔の曖昧さにお手上げといった様子でございました。
そんなことを思い出しながら、
言葉にする大切さを、改めて実感します、
kittyとの二人暮らし二日目でございました。

少しでも良いなと感じていただけたなら幸いです。 Instagram : clemandhiro こちらもどうぞよろしくお願いいたします。