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青ネギ親子

青ネギへの執着心は、
お空を飛びます鳥たちへのそれと同等なようでございます。
いや、それ以上かもしれません。
先日、晩ご飯を作ろうと、
長い長い青ネギを含めたいくつかの食材を、
冷蔵庫から取り出したのですが、
なにか短編映画でも観ながら作りたいな、
そのような気持ちになりまして、
スマホでなにかを探しておりました。
すると、
kittyが足元でなにやら、
みゃおみゃお
控えめなボリュームながら、
絶え間なく鳴き始めましたので、
What?
尋ねながらkittyに目をやりますと、
机から先っぽが少しだけはみ出しておりました、
長い長い青ネギに、
今にも飛びかからんとする構えを見せておりました。
You found a new toy, didn’t you
スマホから青ネギに持ち替えまして、
kittyの手の届くところに持っていくと、
激しくパンチパンチ。
サンドバックのように揺れる青ネギ。
特に僕が動かすことをせずとも、
絶え間なく身体を伸ばして、
パンチを繰り出し続けておりましたので、
It’s a good exercise, my boy
しばし揺れる青ネギ片手に眺めておりました。
ですが、
いつまで経っても止める気配がありませんでしたので、
終わりを決めてあげるのも僕の役目かな、
そう思いまして、
青ネギを水で洗って、
切っていくことにいたしました。
ところが、
青ネギへの熱はまだ身体に宿していたようで、
kittyの目線からは見えないであろう、
まな板の上に横たわる青ネギを、
どうにかパンチしようと、
身体を懸命に伸ばしてきましたので、
kittyを抱き上げまして、
青ネギを鼻に近づけて、
その臭いを嗅がせてみました。
臭いには関心はないようで、
ぼーと無表情。
僕も久しぶりに青ネギを嗅いでみましたが、
kittyの表情も頷ける臭い。
Let’s play with the toy later
kittyにお伝えしまして、
青ネギをとんとんとんと刻んでいきました。
上を見上げながら足元から離れないkittyでしたので、
まだまだ青ネギへの想いは残っているようでございましたが、
kittyの愛するママのためにも、
料理に取りかからないといけませんでしたので、
鼻をぴとっとタッチして、
我慢していただくことにいたしました。
少しすると、
kittyは外を眺めるために、
違う部屋にそろそろ歩いて行きました。
料理も終盤に差し掛かる頃、
刻んでおいた件の青ネギを、
ぱらぱらと振りかけながら、
ふと、たこ焼きにこれでもかというくらいに青ネギを盛る彼女を思い出しまして、
どうしてそんなところが似るのだろうか、
と、青ネギを愛する彼女とkitty親子に、
ふふと笑わずにはいられませんでした。
親と子というものは不思議なものですね。
それは人間と猫であったとしても。

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