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告白

日本と欧米では、
告白するかどうか、
そこに明確な違いがありますが、
僕は彼女に、
いわゆる’’付き合ってください’’というような告白はしませんでした。
デートも順調に重ねていましたし、
彼女の姉カップルにもお会いしましたし、
告白の必要性を感じていなかったからでしょうね。
デートを始めて半年ほどが過ぎた段階で、
僕の兄夫婦と会う機会がありました。
英語、日本語を交えながら、
たわいもない話で盛り上がっておりましたが、
兄が唐突に、
で、2人は付き合ってるん?
僕は、
うん、
という気持ちで彼女のほうを見たのですが、
彼女は困惑の表情で僕と兄を交互に見ているのみ。
えっ
と漏らしたあと、兄、義姉は爆笑。
彼女はますます困惑。
もう一度言ってもらえますか?
と、彼女が尋ねましたので、
Are you dating?
と、兄。
Ah yes. 付き合ってる、付き合ってる、付き合ってる。あー、付き合ってる。
付き合っている、の意味を反芻するように何度も繰り返したのち、
兄の質問の意味がようやく分かったようでした。
赤面。
僕はその表情を見て、安堵。
助け舟を出すべきだったのでしょうが、
彼女の日本語の理解力を知らなかったのと、
まだNoなのかもしれないな、
という気持ちを抱かせるに充分な困惑顔でしたので、
安易に言葉を発せず。
兄はフランス語を第二言語として話しますが、
英語もそれなりに話しますし、
その質問をするまでは英語で話しておりましたので、
いきなり日本語で聞いてきたことに対して、
いきなり日本語は困惑するね
と彼女。
そこで初めて、
お互いが’’付き合っている’’という認識を言葉で共有できましたので、
兄のおかげで、
すっきりしたと言えばすっきりしましたが、
彼女を除いた3人の間に流れたぎこちない空気に、
彼女以上に困惑していたように感じます。
日本式に日本語で’’付き合ってください’’と、
彼女に告白していれば、
このようなことは起こらなかったのかもしれないな、
なんて思いましたが、
そんな予測を誰が立てられるでしょう。
今となっては、彼女は、
彼女が質問を理解していない間の、
僕たち3人の少し動揺した表情で、
いたずらな思い出し笑いをしております。
忘れることのない笑い話でございます。

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