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起業までのステップ その5 「攻め・守り編」事業計画を立てる

早いもので8月も終わりですね。
2024年も6割が過ぎ去り、暦では立秋も経過しました。

年齢を重ねていくと「毎年あっという間…!」なんて言いますが、転職や結婚、地方移住、起業など毎年変化のある生活を送っているとそんなに早いかな〜?って感じもするような。

人生は予測できる平坦な道より変化に富んだ道を歩んだ方が楽しいですね!

さて、前回までの記事はマガジンに登録しています。
この記事から見ている方はぜひ最初からご覧いただければ幸いです。

今回は、起業までのステップその5として「事業計画を立てる」を解説します。

重要なポイントは、結局はやってみるまで分からないので100点満点の計画など存在しない。でも全ての項目に根拠を持って記載しようです。

この記事からは具体的な内容になってくるので、まだふわっと将来起業したい〜みたいな人には分かりづらいかもしれません。
でも事業計画書を作成する段階になれば、きっと役に立つ内容だと思う。

それでは解説していきます!

事業計画の作成方法

事業計画は必要??

そもそも事業計画って絶対必要なの?と聞かれれば、
僕は経営の拠り所になるという点で絶対必要だと思います。

対外的に事業計画書が必要な場面は、主に融資や補助金を受けるときです。
なので自己資金で事業を始める場合には、どこかに事業計画を提出する必要はありません。そのため事業計画書はなくても起業はできます。

でも事業計画を作成することで、実際に費用はどの程度かかるのか?
売り上げがどのくらいになるのか?それを踏まえて原価率はどのくらいがいいのか?などを現実的に考えることが可能となります。

また、創業後にも中小事業者向けに国や都道府県の補助金・支援金制度はたくさんあることに気がつくと思います。
事業を始めた後から大手企業も含めて世の中の会社・個人事業主はたくさんの制度を活用しながら設備投資をしている事実に気がつくんですね。

そんな制度を自分も活用しようと思った時は、事業計画はマストです。
創業時に苦労しながら計画を作成して、慣れておくのが良いと思う!

だからぜひ事業計画作成にトライしてみてほしい!

使える補助制度を探してテンプレから埋めていく

さて、事業計画を作成するといっても何の項目が必要なのか?何を書いていいか?が分からないと思う。

なので、まずはじめにすることは、自分が利用しようとしている補助制度などの申請書類をチェックしてみよう。

ん?補助制度…??事業計画の話じゃないんか…??
って思うよね、まあちょっと待ってくれ。

実は創業時って国や都道府県、地方自治体の何かしらの補助制度を利用できる場合が多い。

事業に回せるキャッシュは多ければ多いほどいいので、
みんなも自分が利用できそうな補助制度を検討してほしい。

さて、そんな制度では多くの場合申請書類の様式が決まっている
その中に様式として事業計画書があるってわけだね!

だからまずは自分が利用したい制度の様式に沿って事業計画を埋めていこう。

"計画作成"のうち、8割は根拠集め

事業計画の様式を見つけて、じゃあ項目を埋めていこう!
となると、なんとなく机に向かってポチポチやっていくイメージがあると思いますが、実際には根拠集めの活動が必要となってきます。

どういうことかというと、

この売り上げってあなたの感想ですよね?これだけ売れる根拠は何ですか?
本当にこの仕入れ値で食材を仕入れられるんですか?
仕入れ業者は本当にあなたと取引をしてくれると言ってるんですか?
工事費ってなんでこの金額になるんですか?

融資や補助制度を利用する場合には、こういう客観的な質問・指摘に耐えられる計画書を作成する必要があります。
当たり前だけど"思い込み"や"なんとなく"、"だいたいそれくらい"での算出ではダメです。

どこかの機関に提出しない場合でも、実際にその計画が使えないと作成する意味はないのできちんと数字的な根拠を収集する必要があります。

例えば飲食店なら…、

  • 食材の仕入れ業者を探す→(営業活動を行う)→見積もりをもらう

  • 内装工事業者と打ち合わせを重ねる→見積もりをもらう

  • テーブルなどの什器をリストアップする→費用を見積もる

  • キッチンの設備を決める→業者を探す→見積もりをもらう。

といった具体的な行動が必要になります。
そのため、ただ"計画を作成する"といっても、その裏で"現実的な数字を考えるための見積もり集め"が必要となります。

さて、ここで一気に行動量が増えるのでハードルが上がる気がするよね!事業計画は自分の頭の中をアウトプットするだけでは作成はできないんですね。
色々な業者に問い合わせをしたり、打ち合わせに行ったり、場合によっては営業したりする必要があります。
また、見積もりも同じ内容でも複数業者から取得し、比較する必要があるので同じ労力を何社にもかけなければなりません。

この行動量をこなせるかは熱量が大切です。
だから自分が本当に人生を賭けてやりたいことじゃなきゃ続けられないんですね。
そこまでやる気になれないなら、またステップ1に戻りやりたいことを見つければいいだけだよ!

ちなみに、この"根拠を集める行動"を始める時期からは、かなり忙しくなります。
僕の経験からは、本業との両立が難しくなるので腹を括って創業に踏み切るか、両立が可能なくらい時間をかけてゆっくりと創業を進めるかの2択になると思います。
(次回の記事「覚悟を決めて実行する」で解説します)

あと、個人で業者に問い合わせしてもいいの…?
って僕も最初は思ってたけど、業者からしたらただの販売・営業なので全然問題なし!
僕も一部の業者には適当にあしらわれましたが、地域密着の業者さんだったり、ある程度大きな業者はきちんと対応してくれるので安心して問い合わせをしてみてほしい。

売上は厳しめに想定する

上述の通り実際に取引先となる業者から見積もりを得れば、色々な費用や原価などを算出することができます。

計画上難しいのは売上の想定です。

色々なやり方はあると思いますが、フェルミ推定などをうまく活用し、厳しめに想定することが重要となります。
(僕は"事業計画の作成の仕方"は誰にも教わらなかったのであくまでも自己流になります)

想定や推定には本当に様々なやり方があると思うので、あくまでも参考の一例として僕のケースをお伝えします。
僕の場合は以下の2パターンで売り上げ想定を行いました。

パターン①製造量から売上を考える
当初は固定費削減の観点から従業員は雇わずに夫婦だけで経営することを考えていました。
既製品を使用せずに全て手づくりで商品をつくるとなると当然限界の製造量は決まってきます。
そこで想定する最大の製造量を順調売上とし、1日数組しか来店しない状況を悲観売上と設定して考えることにしました。
計画上は、順調売上と悲観売上の中間にあたる数字を事業計画の売上根拠としていました。
ここでのポイントはかなり悲観売上を厳しめに見積もることです。
普通に1日あたり来客0のお店とか世の中にたくさんあるからね。

パターン②フェルミ推定で考える
僕はきちんとフェルミ推定を勉強したことはありません。
なんとなく言葉として知っている程度の理解でそれっぽく考えたので間違ってたらスイマセン。
僕の場合、うちの店の"メインターゲットであるお客様"は絶対好きであろうという雑誌に着目しました。
その雑誌の全国の発刊部数を日本の人口で割って、日本の人口のうち⚪︎%がその雑誌を好きな方だと想定しました。
その割合を、僕のお店の周辺市町村の人口に当てはめてメインターゲットが何人いるかを想定しました。
そして、そのメインターゲットが月に1度は来店した場合、売上はいくらになるか?といった算出方法です。
ここでのポイントは客単価を厳しめに設定することと、来店頻度を厳しめに設定することです。上記で月に1度と書きましたが3ヶ月に1度なども想定をしていました。

他にも売上の想定の仕方はいくらでもあると思いますが、要は他人に説明した時に根拠を持って売上を想定できていればOKです。
僕は上記2パターンを組み合わせて売上想定を算出していました。

この売上想定が全くの「あなたの希望・感想ですよね?」って感じで、これは創業後厳しそうやな〜って人は結構いる気がします。
売上想定をなるべく現実的に、かつ客観的に算出できるかがキモだと思う。

結局やってみないと分からない

売上想定の算出方法を一例として偉そうに解説しました。
でも僕も創業準備時期は、「小さな町で本当にそれだけ来客があるのか?」「客単価の設定は本当にそれでいいのか?」「席数が少ないんじゃないか」「営業日が少ないんじゃないか」とか人に言われる時期がありました。

当時から創業後の今も変わらないですが、僕から言えば所詮は想定、本当はどうなるかなんて分かりっこないです。

僕の場合、当初の事業計画で想定した単価・売上と大きく異なる結果を出しています。
だから計画段階で本当にそうなるか??を突き詰めて考える必要はなく、現実の方が想定より良くなるように想定は厳しめに設定して、じゃあどうすれば売り上げが立つのか?厳しめ想定でもどうすれば経営が成り立つか?を考える方が生産的です。

あるいは、守りの観点からは家計と一緒で「小さく暮らす」ようにそこまで売れなくてもしばらくは継続できる計画が必要だと思う。

さてさて、これで事業計画作成の中でも一番躓きそうな"数字部分の書き方"を解説したつもりです。
事業計画書を書こうと思ったことがない人にはイメージしづらかったかも知れないけど、いざ書こうと思った時にはぜひ参考にしてほしい。

あとは創業の理由とか実績とか、様式によっては地域・社会貢献になるか?事業の必要性は?とか書くことになると思う。
これは自分の心から出る想いをベースに、少しだけテクニカルな記載を心がければ大丈夫。
提出前に何度か他人に見て貰えばいいと思う!
もちろん僕も相談に乗ります!!

教訓:振り返ってみて、良かったこと・やっておけばよかったこと

上記で事業計画作成のやり方を解説した。
どう書いていいか分からないよ!という段階からは一歩進んで作成のイメージは持ってもらえたと思う。

ここからは僕の事業計画作成を振り返って、反省点などを記載したい。

様式には好きなだけ別紙を添付していい

上記で事業計画は様式を埋めるように記載していこうと伝えた。
でも様式だけを書くとずいぶんサラッとした計画書になると思う。
実際には、売り上げ根拠や費用算出の根拠、実績資料(これまでの活動写真の添付)など別紙を大量に作成する必要がある。
どこにも様式以外で提出してはいけないなんて記載はなく、とにかく事業計画書は細かく、分かりやすい方がいい。
僕は最初から別紙をつけまくっていたので、様式だけに記載している人よりわかりやすく、審査が通りやすかったと思う。

オープン直後の運転資金の見積もりが甘かった

「運転資金は重要です」
ってよくいうけど想定していたよりもオープン直後に費用がかかった。
お店を始めてから気がつく「アレも必要、コレも必要」とか、備品の購入なども最初は膨らむので平常時の運転資金に加えてオープン直後には多めに運転資金を見積もる必要があった。
次に事業展開や新規事業を行う場合は必ずオープン直後の予備費を確保しようと思うくらいなのよ、本当に。
余裕資金を持っていたから良かったものの、カツカツで始めていたらオープンした途端にキャッシュが回らなくなっていたかもしれない。

スタッフの必要性認識が甘かった

とにかく固定費削減を頭に創業を進めたので、夫婦でやりきる想定であった。
周辺の経営者にもオープン直後に忙しいからとスタッフを採用するとオープン特需が終わった後に人件費が重くのしかかると言われていたし、僕もそういう風に考えていた。

が、いざオープンしてみると予想以上にオペレーションに課題があり、すぐに人手が足りなくなった。
人件費がかかるとはいえ、人手が増えることでお客様をお待たせしなくなって顧客満足度も、回転率も上がって売り上げにつながる。
また、スタッフに協力してもらうことで、経営者にしかできないことをやる時間を増やすことに繋がる。
オープンして早々に固定費削減よりもスタッフの重要性を感じるようになった。これは計画段階では見えなかったことだった。
なので業種によるが人件費をある程度見積もったバージョンも作成しておくといいかもしれない。

ちなみにオープン特需に対する対策はかなり綿密に考えて実施したので、オープン時のマーケティング戦略みたいなものはまた別の記事にしたい。

資金を持っておくこと

創業時ってやっぱりめちゃめちゃお金がかかる。
開業資金がドッと出ていくと、どうしても運転資金とか見えにくい部分の費用見積がざっくりとされやすい。
大体の失敗するケースは開業までの資金を重要視して運転資金を軽視するパターンだと思う。

「起業・創業」だから自営業は初めての人が多いと思うけど、
資金面は相当余裕を見て準備しておいた方がいいぞ〜!
こんなことにお金かかるの!?みたいなことがあったりするし、独立後の国民健康保険は「どうにか払わない方法ないんかな〜」って半日くらい調べたくなる金額が迫ってくる。

僕は小さな暮らしをずっと実践していて、しかも固定費をめちゃくちゃ削減している、さらに補助制度などを駆使したので当初の想定的にも実際にも問題はなかった。

ただ、キャッシュはとにかく多い方がいい。多ければなんでもできる。
創業時って資金調達しやすいので自信がない人は借入しておいた方がいいと思うゾ。(やたらと借金を増やすことはオススメしないです)


はーい!今日はここまで!!
このあたりの準備になるとかなりタスクも多いし、必要な金額も見えてきてプレッシャーを感じたり、何か諦めなければいけないことが出てきたり…、苦しいこと・辛いことがどんどん増えていくよね。

ま!開業した人はみんな通った道で、なんとかなるから大丈夫だ!!
僕が伝えてきた"起業までのステップ"を踏んできた人なら、ストレスに打ち勝てさえすればきっと上手くいく。
ストレスや不安に押しつぶされそうな時にはいつでも飲みにいこう。そのための友達だからな!

次回は、そんなストレスを感じながらも不安を乗り越える「腹を切る、身銭を切る、覚悟を決めてやる」ということを解説します。
今までも書いてきたことだけどね!改めてまとめたいと思う。

それでは、次回もお楽しみに〜!

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