【短編】カーテンの向こう側
カーテンの隙間から漏れ入る日差しに僕は顔をしかめた。
ベッドの上、とても眩しい。
スマホを見るとアラームの鳴る十分前だった。
僕にとって最悪の目覚めだ。ムカつく。とても気分が害された。
僕は起き上がると、スマホを手に取った。少し重さを感じながら、窓際に佇むカーテンを睨みつけた。
こいつが油断したせいで、日が部屋の中に入ってきたんだ。
奥歯がギリギリと音を立てる。
「パリンッ」と続けて大きな音が部屋に轟いた。
数瞬して誰かが階段を駆け上る足音が次第に大きく近づいてきた。
「大丈夫!?」
僕の部屋のドアを勢いよく開け放って、母が飛び入って来た。その形相はとても心配そうで焦っているようだった。
「うん。大丈夫だよ」
平然と僕は答えた。
「そ、そう。それなら…、よかった。」
母はゆっくりとドアを閉めて出ていった。と同時に僕の方を柔らかな風が撫でていった。その元を辿ると、カーテンがパタパタと風に煽られ、小さくはためいていた。カーテンが揺れるたび、日の光は大きく部屋を照らす。
「またスマホ買わなきゃなー。窓も変えてもらわないと」
僕はベッドに倒れ込むと、ゆっくりと目を瞑った。少し眩しかったから布団にくるまった。
明日は目覚めが良いといいな。
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