【詩】宛先のない手紙
「お元気ですか」
だいぶ月日が経ちました
何度も手紙を書きました
あなたの住所が見つからなくて
書いては書いては捨てました
元気に暮らしているでしょう
暮らしていないと困ります
「私はなんとかやってます」
いつかどこかですれ違っても
きっとお互い気づかない
それだけ月日が経ちました
こんなに多くの人たちが
行き交う街で暮らすのだから
もう会うこともないでしょう
「お元気で」
ろくに挨拶交わしもせずに
思いは遠くに捨てたのに
はっきり思い出せないけれど
少し高めの声だった
けんかが嫌いな人だった
心(ここ)が勝手に揺れるのです
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