《記事小説》小川未明読書感想文通 2通目
私の文通相手、海ちゃんは私にとっても甘い。
本が読めない私は、インターネットの情報をうのみにしてしまう。
それが危ないことは重々承知してるのよ。
でも、頼りがそれしかない場合、どうしろっていうの。
気が狂いそうになりながら、いつも暮らしている。
そんな私は文通をしている。
海ちゃんという名前の素性もわからない誰かと文通している。
手紙に文字をしたためるっていう感覚。
なかなかに手間だけれども素敵な感覚。
大事にしたいと思っていたら、いつも分厚い手紙になる。
海ちゃんが全部読んでいるかは、わからない。
でも、海ちゃんなら読んでくれるってわかるから、送っちゃう。
昨日、海ちゃんから手紙が届いた。
私よりも短い手紙。
でも、ちゃんと便箋の二枚目から、約束した小川未明の小説の感想文だ。
小川未明の笑わなかった少年を読みました。
小田くんと北川くんは、いい友達になれると思いました。
二人とも、それぞれに家庭の事情がありながらも、尊重しあえる心があれば、仲良くなれるのだなと。
ショコさんも、僕と文通してくれて、ありがとうって思っています。
ショコさんみたいに、ちゃんとした感想文じゃないかもしれませんが、ショコさんは最後まで読んでくれるので、とてもうれしいです。
海ちゃんは、とてもいい子だ。
私と違って、素直で純粋で、混じりっけがないような。
海ちゃんと直接会ったことはない。
会えない方がいいことも、あるだろう。
私が海ちゃんの文通相手であればいい。
ショコのままでいい。
そう思えるだけで、私は幸せ者だ。
海ちゃんへのお返事を書かなければ。
そうだ。小川未明も読まないと。
次に読むのは、なんだったかしら?