《記事小説》小川未明読書感想文通 4通目
ときどき、文通をしていると海ちゃんがどういう人か、全くわからなくなるときがある。
でも、人ってそういうものよねと納得することもある。
私がわかるのは、海ちゃんは手紙を書くのにかなり時間をかけているのだということくらいだ。
海ちゃんの手紙は、いつもボールペンで書かれている。
そして、書き損じがないのだ。
きっと、海ちゃんは書き損じしないように、手紙の内容を別に考えた用紙を携えて、手紙を書いているのだろう。
そんな海ちゃんを健気で可愛いと思ってしまうくらいに、私は海ちゃんの手紙を心待ちにしている。
小川未明の笑わない娘を読みました。
世間知らずの子が世間を知るおはなしでした。
僕は似たようなはなしを昔話で見たことがある気がします。
なんだったかは忘れたけれど、ショコさんなら知っているかなと思いました。笑わない子が笑うようになるおはなしって、他になかったですか?
ショコさん、もしも知らなくてもお手紙書いてください。
僕はショコさんの手紙が読みたいです。答えは知らなくても、送るのはやめないでいただけると、ありがたいです。
送る。絶対に手紙を送るわ。
笑わない子が笑うようになる昔話は、確かに読んだ覚えがあるわね。
なんだったかしら? ちょっと検索してみましょう。
たぶん「笑わない王女」っていうロシアの民話みたいね。グリム童話の「黄金のガチョウ」も似たようなはなしがあるみたいだわ。
昔話は世界中にあるけど、似たようなおはなしも探すといっぱいあるのでしょうね。
みんな考えることは同じ。でも、小川未明は同じようにみせかけたおはなしをつくったのでしょうね。
たぶん、原形の昔話のオチが好きじゃあなかったんじゃないかしら。
だって、笑わない子が笑うようになったからって、まわりの環境が変わっても、笑わせつづけることがないと意味がないものね。
環境は変わるもの。いいようにも悪いようにも。
海ちゃんとの文通はもちろんいい環境の変化よ。手紙に正直に書ける自信はないけれどね。恥ずかしいもの。