《記事小説》小川未明読書感想文通 5通目
手紙を書くようになってから、驚いたのは、便箋と封筒が入った手紙セットの多さだ。
可愛さを追求すれば底がないかのように、手紙セットというものは、様々なものがある。
私は最初のうちは、どんなものでもいいと思って一番安くてシンプルな便箋と封筒で送っていたが、ショコさんは可愛らしい封筒と便箋で返信してくるので、私も手紙セットを選んで手紙を書くようになった。
さすがに可愛いすぎるものを買う勇気はないので、シンプルな絵柄で季節感を感じられるものと、季節の合間にぬって出せるように、季節感のないものをいくつか買い置きしている。
手紙セットにしてよかったことは、封筒から便箋の枚数を逆算して使用できることだった。私は下手すれば封筒ひとつに便箋一枚でも平気で投函してしまうから。
封筒ひとつと便箋一枚の手紙でも許してくれたショコさんは、とても懐が深いと思う。ショコさんは今まで出した私の手紙の千倍の枚数の便箋を書いているだろう。
そんなショコさんでも感想文には手を焼くみたいだ。
青い石とメダルを読んだわ。
勇ちゃんがクロを大事にしているはなしだったわね。
犬ころしなんて言葉、はじめて聞いたわ。しらなくても文脈から判断できるのは、小説のいいところよね。
大事にしていた青い石をクロのために手放すのは、とても尊い行動だと思ったわ。
命より尊いものはないという、あたり前のことだけど、忘れがちなことを思い出させてくれたわね。
私の青い石は、きっと海ちゃんからもらう手紙でしょうね。
今のところ一通も手放してはいないのだけど、海ちゃんはどうかしら。
ちょっとズルいことを聞いちゃったわね。忘れてちょうだい。
やっぱり感想文って難しいわね。書き方がこれでいいのか、いつも悩んでしまうわ。
いつも多めにみてくれる海ちゃんには、感謝しています。
感想文だから、感じたことをそのまま書けばいいと、私は思っている。
私はそう思って、感想文を書いているから、得手不得手は特に気にしたことはなかった。
気になる人は気になるのだとはと思う。
でも、私はそれよりも気になることがあった。
ショコさんの手紙を私は一つも捨てずに手元に残してある。
ショコさんに伝えるべきか迷うけど、伝えた方がいいのだろうか。
小川未明の感想を書いてから、考えよう。
私は悩みをいったんわきにおくことにした。