【毎週ショートショートnote】火星の別件逮捕
高嶺さんにプラネタリウムに行かないかとさそわれ、わたしは二つ返事で応じたのが昨日のことである。
なんでも、プラネタリウムの会員のみのプレミアム上映なのだとか。
期待に胸をふくらませ、待ちあわせにもなっているプラネタリウムへ行く。
『火星、なぜ、こんなことを』
『わからないのか地球よ』
わたしはなにを見せられているのだろうか。
隣に座る高嶺さんをチラ見すると、暗闇でもわかるほどに目をらんらんと輝かせている。
今、わたしと高嶺さんが見ているのは、火星の別件逮捕というストーリー仕立てのプログラムだ。
内容としては、新本格ミステリーで、ストーリーにいちいち星座がからんでくるというものだった。
火星の別件逮捕はプラネタリウムの天井すべてをつかって、映画のような映像をながしているのだ。
まるで、映画館デートみたいだな。
いやいや、意識しているのは、わたしだけだろう。
『俺はただ、星がみたかっただけなんだ』
わたしは星よりも高嶺さんをみたくて来た。