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記事の小説まとめ

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記事で書かれた小説をすべてまとめています。
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#不法侵入

【毎週ショートショートnote】 秘密警察を宣伝してみる

「お久しぶりです。お二人とも」

次に泊まる旅行中の家めざして歩いているさなか、見覚えのある人に声をかけられた。

相棒は、あきれ顔だ。

「また、あんたですか…」
「ふふ、いいじゃないですか。私はお二人に適正があるから、声をかけているんです」

この人は、秘密警察に務める人事部なのだそうだ。

「犯罪組織からヘッドハンティングって、普通、しないと思いますけど」
「だからですよ。優秀な人材であれば

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【毎週ショートショートnote】スナイパーの意外な使い方

人殺しなど、うんざりだ。
今の日常をつづけられるのが、最上であり、最高である。
この相方とともに、旅行中の家に無断で宿泊しつづける日々が。

「うっわ、汚なっ❗」
「そうじしてねえんだろうな」

今日、泊まるのは、ほぼゴミ屋敷の家だった。床の上には物が散乱し、足の踏み場がない。部屋の中で、くつろげるのはベッドがある寝室ぐらいだ。

「ゲームするより、片づけたいな」
「片づけたら、俺たちのことがバレ

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【毎週ショートショートnote】メガネ冠婚葬祭

眼鏡屋の二階は居住スペースになっている。
吸い寄せられるように一階のシャッターに手をかける相方を急いで止めた。

「俺から眼鏡を奪うな!」
「深夜にシャッターがらがら開けたら、目立つだろ。裏手に勝手口があるから、そっから入るぞ」

だだをこねる相方をひきずりながら、眼鏡屋の一階に入る。
相方が真っ先に入ろうとしたので止めた。

「なんで!」
「防犯センサー解除すんのが先だ」

さっさともろもろの防

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【毎週ショートショートnote】メガネ初恋

「なあなあ、あの子の眼鏡みたか?」
「みてねえよ」
「初恋した眼鏡に似てたよ」
「人をみろ」
「顔面と眼鏡のコントラストを論じてるのさ」
「知るか」

またか。
人ん家でもゲームをする相方は、眼鏡に目がない。
人ん家を漁るときは、パソコンとゲーム機の次に眼鏡を重視する。

「次に行く旅行中の家はどこなんだ?」
きたか、答えたくないが言うしかないだろう。
どうせ、家に着いてからテンションマックスで大

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【毎週ショートショートnote】外道一組

「また、ゲームしてるのかよ」
うるさいやつが帰ってきた。
「別にいいだろ。俺の勝手だし」
「よくねえよ。ブレーカーとんだら怒るじゃねえか」
「そら、そうだろ」
「納得すんな。ほら、飯にするからゲームやめろ」
うるさいやつだ。言われた通り俺はゲームをやめた。
「飯食ったら、ずらがるぞ」
「え? 明日まで大丈夫じゃなかったのか?」
「急な予定変更らしい」
「なら、しょうがないか」

俺は相棒が作った手

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