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なぜ外国語を学ぶの?と子どもに聞かれたら

外国語教育通信Part1

年度初めの授業で、「なぜ外国語を学ぶのだろう?」と子どもたちに問いかけてみました。すると、「外国人と話すため」「海外に行ったときに役立つから」などの解答がありました。確かにその通りだと思います。みなさんだったら、何と答えますか?私なりの考えですが、主に3つを子どもたちに伝えました。

①言葉の力をつけるため

コミュニケーションをとる際に、何を手段とすべきでしょうか。言葉は、その手段の一つです。人は言葉を使い、あらゆる課題を解決していきます。武力で課題解決しようとすると、それは戦争になります。武力ではなく、言葉で互いの思いや考えを伝え合い、折り合いをつけ、課題を解決していく人になってほしいと思っています。そのためには、言葉の力が必要です。

さて、この時の「言葉」とは、母語である「日本語」のことです。言い換えると、「母語の力をつけるために、外国語を学ぶ」ということです。なにやら矛盾しているようですが、具体例を挙げてみます。自分の故郷から他のまちに住んでみると、地元の良さに気づいたという経験はありませんか?私も他の地域に出て、「根室の回転寿司ってクオリティが高かったのか」と思ったものです。母語の力をつけるためには、それがどのような言語かを理解する必要があります。つまり、普段当たり前になっているものと全く異なるものとを比較することで、当たり前に思っていたものの特色や良さに気づくことができるということです。そのために、外国語の力を借りるという視点が必要ではないでしょうか。

②コミュニケーションの力を上げるため

子どもたちにスマホを持っているか尋ねると、高学年は半分以上持っていると答えました。スマホやiPadなどには、私の味方でもある翻訳機能も搭載されています。便利ですね。では、翻訳機能がある便利なスマホがあれば、外国語なんて学ばなくてよいのではないでしょうか。
私たち人間には感情があり、多様な考えをもっています。それを相手に分かってもらうには、あらゆる表現方法で伝えなければいけません。これからの時代、AIとの共存です。だからこそ、スマホでは伝わらない自分の感情や考えを大切に、相手とコミュニケーションをとってほしいと思います。慣れない言葉、英語で自分の気持ちや考えをなんとか伝えようとする経験が、よりよいコミュニケーションにつながっていくと思っています。

③日本と外国の文化を学ぶため

家に入るとき、日本では靴を脱ぎますが、家の中でも外靴のままで過ごす国が多いですよね。この違いは、どの国も合わせなければいけないものでしょうか。もちろんそんなことはありません。多様性に気づいた現代に、文化の違いを知り、受け入れていくことも大切な学びだと思います。

みなさんも、ぜひ考えてみてください。

参考文献:『なぜ、いま小学校で外国語を学ぶのか』直山木綿子

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