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滝とハンバーグ

滝を観に行った。私が滝を観に行くときは大概悩み事があるか、ストレスが溜まっている時。

今回は、両方が一気に押し寄せてきてどうしょうもなくなり、ひらめいたのが滝を見に行くこと。本当に、日々ひらめきと思い付きで行動している。
そんな人が悩みなんかあるの?って言われれば、「えぇ、あるんですよ」が答えです。どんなに幸せそうに見える人だって人には言えない悩みを抱えているものですよ。

そうと決まれば、山を目指して出発。滝を観に行くときは1人が多い。長い時間滞在する事もあるため同行者に迷惑はかけられないのだ。(最長で1時間。平均20分間)
色々な場所で滝を観てきたけれど、それぞれ大きさや高さが違っていてそれもまた良い。自分だけのお気に入りの滝を見つけるのも素敵だと思う。

そんなことを考えながら、アイスカフェラテを飲みたくなりセブンイレブンでLサイズのアイスカフェラテを購入して半分くらい飲んだところで、入り口に到着。

カップを手で持つと植物の写真が撮れなくて邪魔だと思い、リュックのサイドポケットに差し込んでアイスカフェラカップを収納。蓋もついてるし、ジャンプしながら歩かなければこぼれないはず…いざ出発!

森林浴をしながらの軽いハイキング。「ふわぁー気持ちいいー」ついつい独り言がもれる。小さい植物もかわいい。青紅葉は光に透けて青空に散りばめられた星の様であった。いつも四角い部屋の中にいるから、山の高低差による奥行も目が気持ち良い。感動しながら滝を目指した。

滝に到着して深呼吸。滝から細かい水しぶきがとんでいる。細かい水しぶき全部を体で受け止めるようにしてしばらく観ていた。ちょうど座れそうなところがあり、座ってぼーーっとまたしても滝を観る。

滝を観ている間はなぜか考え事をしない。悩み事があるとぐるぐる同じことを考えてしまいがちだけれど、滝は私がそれを考えることを許さない。次々と流れ落ちる水で思考をいっぱいにしてしまうからだ。

気持ちが静まってきたら、帰る合図。
「ありがとう。またくるね」と滝にお礼を言い、元来た道を引き返す。

歩いていると人とすれ違う。子供の頃に山で人と会ったら挨拶をすると教えられて育ってきたので「こんにちわ」と挨拶をするのだが、「こんにちわ」と挨拶を返してくれる人の声が素敵だなと思った。

見た目からは分からない優しい声だったり、ちょっと野太い声だったり、ほんの少しのコミュニケーションだけれど声が与えるインパクトって結構ある気がした。

ふと、自分の足を見るとズボンが濡れている…リュックに収納したアイスカフェラテがずれて蓋の上から漏れていた…リュックも濡れていた。

うん…ちょっとそういうこと自分がやると思っていたよ。と自分と対話し、カップの残りを飲み干して、ごみ袋に包んだ。飲み干す途中もしっかりTシャツにこぼして、自分の不器用さに笑ってしまった。

自宅に帰る前に精肉店に寄った。「こんにちは」店主が笑顔で迎えてくれて、たわいもないおしゃべりをしてくれた。お勧めの合い挽きや鶏肉を買い、「次来たときは、鶏肉もいい大きさに切ってあげるよ。切るの大変でしょう」と言われて嬉しかった。「親切にありがとうございます」と伝え、支払いを済ませ袋を受け取って店を出た。

悩んでいる時は心が弱っていて、店主にしてみたら何気ない接客だったかもしれないけれど、丁寧な接客に優しさが滲みでていて心に沁みた。

買った合い挽きを使ってハンバーグを作った。滝を観に行ったこと、アイスカフェラテをこぼした事、精肉店で買い物をしたことを思い出し、良い1日を過ごしたと思った。

とりあえず、悩みはほうっておこう。そう思えた。

思った通り、ハンバーグは美味しかった。





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