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ムーミンに出てくる憧れのキャラクター、トフスランとビフスラン。

ムーミンと言えば誰しもが白いカバみたいな生き物を思い浮かべるのではないだろうか。知らない人がいないくらいの人気者である。例えが悪いのは良いことではないな…。
作者はトーベ・ヤンソン。フィンランド人だ。

私も子どもの頃、学校の図書室に児童書として置いてあったムーミンシリーズを読んだ1人だ。それぞれ自由で強烈な個性をもったキャラクター達。ムーミン谷の世界観は、誰1人として、持っている個性を否定されることなく暮らしている事が描かれている。どんなひとでもそこにいていいのだ。

その中でも私が好きなキャラクターは、トフスランとビフスランである。
「たのしいムーミン一家」に出てくる。この2人はとっても小さくて、狭いところに隠れるのが大好き。モランから盗んだ「ルビーの王様」を自分たちのものだと言って、トランクの中にルビーの王様をしまっている。

2人は、あべこべの言葉を話す。「あべものが、たるよ」と言葉を入れ替えたしゃべり方。

この2人のどこが好きなのかというと、モランから盗んだルビーの王様の件で、2人は裁判にかけられることになる。そのときに、被告人席でトフスランとビフスランが口からサクランボをぷっと裁判官に飛ばしている挿絵がある。それがとてもカッコいいのだ。

たぶん、そういうことを1度やってみたいのだと思う。憧れは、それを出来ないからこその憧れだと思う。しかし、それは出来ないほうがいいことでもある。反逆者の様な、自分の想いだけをストレートに表す事への憧れだと思う。トフスランとビフスランの様に出来なくても、もう少し自分を隠さないで出してもいいのかもしれない。

自分のものと他人の物の区別があいまいな2人。最後、飛行おにが出てくるシーン。トフスランとビフスランは飛行おにが探していたルビーの王様は渡せないけれど、自分の好きなものは出せない飛行おにのために、ルビーの女王様をお願いする。これに飛行おには喜んで一件落着となる。

そもそも、トフスランとビフスランは泥棒なのだが、自分たちをそう思っていないところがなんとも憎めない。2人は悪いところばかりじゃないのが、話の内容としても救われる。何回読んでも好きだなと思ってしまう2人なのだ。

たまに、駅ナカなどにムーミンのポップアップショップがあるが、大きなぐりぐりの目の二人のモチーフのグッツは無い。まぁ、泥棒だしね…。人気のミィやムーミン、スナフキンが多い。

トフスランとビフスランのグッツは流石に無いだろうと思っていたら、ある日見つけた。「イッタラ」という食器メーカーがムーミンのキャラクターのマグカップを販売していたのだ。目を皿のようにして見ると、マイナーキャラクターであろうトフスランとビフスランのマグカップがメインキャラクター達と共に鎮座していた。

喜び勇んで、1つマグカップを購入した。マグカップの絵はルビーの王様の入っているトランクを2人が開けているシーンだった。赤く輝くルビーの王様。あの日から私は、マグカップを使わない日はないくらい愛用している。コーヒーや紅茶を淹れてね。

ムーミンシリーズを初めて読んだ小学生からもう随分大人になった。
私は、子供のころから少しずつ心や考え方が変化して、そうして大人になった。
ムーミンたちは、いつでも変わらないまま本の中で待っていてくれる。変わってしまった私はまた違った見方でムーミン達と心の触れ合いができる。
そんな時を楽しめる様になったのは、良いことだと思う。


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