見出し画像

”コロナ第10波襲来”止まらない、終わらない

今月上旬、私が働いている特別養護老人ホームで、何か月かぶりにコロナウイルス感染症が発生しました。ニュースで見ると第10波だそうです。症状的には初期の頃と比べて重症化はしていませんが、油断はできません。
コロナウイルス感染症の位置づけは、令和5年5月から季節性インフルエンザと同様の措置となる「5類感染症」に引き下がりました。世間だけでなく私が働く施設においても、昨年の5月はしたり顔で「5類に下がったんだから」と言う人が多く見られました。その言葉を聞くたびに「別にあなたが引き下げたわけでもないのに」とか、コロナウイルスが自分から「今日から5類に引き下がりまーす」とか言って弱くなった訳でもないのにと、冷ややかに聞いていました。
今回は、私が働く高齢者施設においてのコロナウイルス感染症対応と、介護現場の実情を書いてみます。

【認知症の方は発熱していても徘徊されます】
私の職場は3階建てで、2階と3階がご利用者の居住空間です。厳密に分かれてはいないですが、3階が認知症フロアで、今回のコロナは3階で発生しました。一人のご利用者に風邪のような症状が出ていたので、看護職員が念のため抗原検査をしてみたところコロナウイルス陽性でした。以前ならPCR検査も行っていたのですが、最近は抗原検査のみで、そこが5類に引き下がってから変わった点かと思います。一人の陽性者が出たこの時点で「久しぶりに出たな~」「やれやれ、またコロナ対応か」という気分でした。ちなみに私が働く施設は従来型特養と言われ相部屋が基本で、個室はワンフロアに4部屋です。
今回、陽性となった認知症のご利用者は個室の方ですが、38℃を超える熱が出ていても部屋からバンバン出てきます。出てくるたびに職員が「他の方にうつりますから部屋にいてください」とお願いしますが聞き入れてもらえません。部屋の鍵を閉めることもできますが、行動制限・身体拘束という虐待の観点から推奨されません。出てきたら「部屋にいてください」とただただお願いすることを繰り返すのみです。

【部屋を分けて、入室するときはガウンを着ます】
陽性者が出たらその部屋の入口に赤いシールを貼り、部屋に入る時職員はガウン、使い捨て手袋、ヘッドキャップ、マスク(二枚重ね)を装着し、部屋から出る時にすべて捨てます。コロナ初期の頃の対応と変わっていません。各施設により対応は異なると思いますが、感染を拡げたくないと考えると多くの施設はこの対応になるかと思います。
今回、陽性になった方は個室なので感染は広がりにくいと思ったのですが、部屋から出てくることが多かったため、他のご利用者に感染し、あらたに感染された方がフロアを歩き回ることで感染が連鎖していきました。
そしてご利用者のみならず数名の介護職員にも感染していきました。赤いシールの部屋が徐々に増えていくことにより、入退室の際の手間が増える中、職員にも感染者が出ることで人手がどんどん足りなくなっていきます。

【人が足りない…、連続夜勤】
2/20(火)この日は休日でした。家でのんびりとビールを飲んでいたらスマホの画面に施設の名前が、、、嫌なことが起きたに違いありません。
仕方なく電話に出てみると「今日夜勤の〇〇さんが勤務に入る直前の抗原検査で陽性になりました。夜勤者が足りません、どうしましょう」
夜勤は2フロアで80人のご利用者を3人の介護職員で対応します。
夜勤の勤務時間は17:40~翌10:30です。電話が着たのが17:50。この時間から代わりの夜勤者を手配するのは至難の業です。大したことはしていませんが、私は役職者なので「私が行きます」と言うしかありませんでした。
とりあえず冷静にグラスに残っていたビールを流し込んで、さてどうするかと考えます。なぜ考えたかというと、翌日も夜勤だからです。
つまり今から急いで行って業務を開始し、翌10:30に終了し、その7時間後にはまた夜勤を行わなければならないことになります。
それではさすがに体が持たないので、別の役職者に「悪いんですけど、明日5:30から勤務に入ってもらえますか」と連絡し、快く受けていただくことができました。すぐにシャワーを浴びて出勤し、20:30~翌5:30までの変則夜勤をやったのちに帰宅、12時間後の17:30~翌10:30までという連続夜勤を行いました。ニュースや新聞で介護職員が足りないと取り上げられることが多いですが、ホントにギリギリの人員で回しているのが実情です。

【終息?】
陽性者が1~2名だと個室対応(部屋から出てはきますが)で済みますが、それを超えるとコロナ該当フロア(今回は3階)のご利用者すべての方に部屋で過ごしていただきます。お風呂に入れません、食事も部屋で食べていただきます。なんならトイレもポータブルトイレを使用していただきます。
フロアの廊下は閑散とし、こちらのお願いを聞き入れてもらえない認知症の方のみが歩いているという異様な光景です。
このコロナ対応は陽性反応が一人残らず消えるまで続きます。2月上旬に発生したコロナウイルス感染症は、2/25をめどにようやく終息を迎えてきました。今回は亡くなる方が出なかったのが幸いです。1日に数名ずつの入浴も開始し、いつもの日常に戻りつつあります。
昨日、私は休日だったのですが、施設からLINEが届きました。
「2階のご利用者2名がコロナ陽性になりました」と。
ウソでもなく、話を盛っているわけでもなく、昨日から2階がコロナ対応になりました。また2週間くらい大変な日が続きそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?