【MTG レガシー】 オリジナルデッキ、青単ステイシス“ニヴルヘイム”で100敗してみた <200戦、完了! 前編> 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】
1.少し、困っています。宣言した通り、レガシー上位10のデッキとの20本ずつの模擬戦を終え、謎の実験に空き時間の多くを費やさなくて済むようになり、ほっとしているのですが。
しかし、どうやって記事にしましょうか? 「グリクシス・デルバー」戦で言った通りの形式で、克明に報告していくと、記事の総量が膨大になりすぎます。1つのデッキ相手に5000字を使った場合、合わせれば、戦闘描写だけで50000字ですからね。ぐぇー。
僕自身は書くのも楽しみの内なので、まあ、軽い芸ですが、独りで暴走の末に読者の方たちを置き去りにする確率が高いですな……。
そこで、対戦ごとのデッキの変遷を簡単にまとめるつもり(それでも、1度の記事では長すぎる内容になると思ってる)。
ここまでの内容は全て「X」のほうで中継しており、記事作成の労力を軽減するため、そちらへのリンクを張ることで双方のデッキリスト紹介も兼ねさせてもらいます。
そうと決まれば、さっそく、いくぜ~! 1戦目「グリクシス・デルバー」で1~8敗を記事にし、「青単パーミッション」型から、《サファイアの大メダル》採用で「ステイシス」をより強化したオリジナルデッキ【ニヴルヘイム】へと進化させたところから、物語は再開します。
2戦目「青黒リアニメイト」
今をときめく“環境最強”「青黒リアニメイト+スキャム」! 3月22日時点では、晴れる屋さんのメタゲーム表で使用率が上位15%を占め、2位以下を2倍以上も突き放す、驚異的な流行度のデッキです。
名前からはコンボを連想しますが、実際の動作は「目くらまし+不毛の大地」のテンポデッキに近く、「リアニメイト」の必殺技を持つ「デルバー」の系譜といったほうが感覚が近いかもしれない。
凄くぶっちゃけたことを言えば、こんなデッキが隆盛する状況で「ステイシス」を推すのは、“倫理的にどうなん?”と思わなくもなく、生まれたばかりの【ニヴルヘイム】の上に暗雲が垂れ込めてきます。
実際、メイン戦は2ー8で完敗。構造レベルでの、無理! 初期型の【ニヴルヘイム】は《停滞》を維持しやすい《テフェリーの時間改変》4、《凍りつく霊気》2と、本当に「ステイシス」に軸足を置いた形だったのですが、よりによって、10のデッキの中でもっとも効きにくい相手にぶつけてしまった格好。
「青黒リアニメイト」は《意志の力》+《目くらまし》+《悲嘆》という0マナアクションを“12枚”も搭載。《停滞》下でも1マナさえあれば、墓地に《カザド=ドゥームのトロール》や《偉大なる統一者、アトラクサ》を送り込み、平気で蘇らせてくる始末。
武器が「ステイシス」だけでは、軽量テンポデッキとは互角に戦えん! これが前回の「グリクシス・デルバー」と合わせての、身も蓋もない学習成果。そして、この2戦からスタートしたことが【ニヴルヘイム】の“開発方針”をも定めることになります。
サイド後は、ちと変則。サイドカードの効きを調べるため、「青黒リアニメイト」側、5本は「リアニメイト」モードのまま、5本は《濁浪の執政》などを増量した「スキャム」モードと戦います。
考えがあって、【ニヴルヘイム】側は「ステイシス」パッケージを、あえて全抜き!
結果。驚くことに「リアニメイト」モードに対しては、5ー0。「スキャム」モードに対しても、3ー2です。
幸運の助けも大きかったですが、「青黒リアニメイト」は手札への干渉に長けている反面、そのカラーリングからも、いったん戦場に出た置物の排除が得意ではありません。
特にサイドボーディング後は【ニヴルヘイム】のほうが「青黒リアニメイト」よりも打ち消し呪文の総量で優位。
上の《相殺》などを要害として守りきり、豊富な呪文量を背景に、常に相手よりも巨大な《濁浪の執政》を早い段階から押しつけていけば、メイン戦のような“どうあがいても不利”という有り様にはなりませんでした。
2戦目「青黒リアニメイト」からは、10敗。ここまでの合計は、18敗。現環境で最強のデッキが教えてくれたこと=今後の“開発方針”。
「ステイシス」が効かない相手と対峙したときのため、または4枚しかデッキ内に入っていない《停滞》を引けないときのため、充分にコントロール力を高めておく必要がある……つまりは、「ステイシス」モードと「コントロール」モードを自在に切り替えられるデッキ構造を目指していきます。
そのためには、どちらにとっても有用なカードを選別する必要があり、また「ステイシス」か「コントロール」、どちらが有効かをあらかじめ相手ごとに調べておく必要もあります。
「青黒リアニメイト」とのサイド戦は、「コントロール」モードに徹したときの【ニヴルヘイム】がどれほどのポテンシャルを発揮できるかを調べるのが目的で、相手の強みを封じつつ、カード単体のスケールで上回れば、環境で最強のデッキといえど体勢を崩せることがわかりました。
しかし、それだけでは最初からコントロールデッキを手にすれば済む話なので……こんどは「ステイシス」としてのポテンシャルを調べることにしましょう。次。第三の相手は、このデッキ。
3戦目「ゴブリン」
「X」でも書いた通り、この実験は元々、“最速のアグロであるゴブリンに、《停滞》は通用するのか”という疑問からスタートしています。恐るべきことに「ゴブリン」は、妨害のための呪文や置物、搦め手を持たず、純粋な攻撃力だけで環境に君臨していたデッキ。
その一方、3ターン目に高確率でロック状態に入れる【ニヴルヘイム】は理屈上では最速の「ステイシス」です。この相手に通じるのなら、他の多くのデッキの時間も凍らせることができ……まるで歯が立たないのなら、この環境で握る意味はない。試金石「ゴブリン」と真っ向からの速度勝負です!
結果。メイン戦は6ー4。先手をとったほうが勝つゲームになりやすく、前回に紹介したルールの都合で【ニヴルヘイム】が先手の回数が多くなったぶん、やや数字で上回った形。最適の当てどころを探る目的もあり《もみ消し》4積みのハンデをもらってますけどね。
・上の《マクサス》はもちろん、《ゴブリンの首謀者》に爆発的なアドバンテージを稼がれると次ターンには確実な死が見える。土地ごと封殺する自信がないときは、能力を封じるのが良し
・《ゴブリンの熟練扇動者》は純粋な攻撃力もさることながら、《停滞》下でもチクチク出現し続けるトークンが鬱陶しい。「戦場に出たとき」に悪さをする類のクリーチャーではなく、除去が有効。出来れば、時間凍結より前にバウンス呪文を当てておきたい。
・一方で、悪名高い《舷側砲の砲撃手》は、野放しだと半端ではない火力になるが、攻撃を介さないと能力を使えないぶん、「ステイシス」が有効。凍りっぱなしになる。3マナの単発火力だと考えて、対処を決めること。
・《魂の洞窟》の有無に関わらず、《意志の力》が活きるタイミングはゲーム中に平均で1回以上はある。切りどころだと読んだら、迷わないこと。
・《________ゴブリン》は口語だと何て呼べばいいんだい!?
……などなど、戦術的な注意点は数えきれず、双方を自分が回しているはずなのに、背中に冷や汗を流しながら戦っていました。そのうえで……《停滞》は通じる。現代レガシーで最強最速のアグロデッキに対しても。そのことを肌身で知ることもでき、胸が高鳴った気がします。
素の攻撃力が高すぎるため、常に危険ですが、先手3ターン目の最速パターンか、《もみ消し》や《激しい叱責》で減速を強制しつつ時間停止にかければ、自慢の展開力は形無しです。
何より、いったん「ステイシス」の世界に閉じ込めたら、「ゴブリン」にはそこから逃れる術が無い!
サイド後は7ー3になりましたが、これは「ゴブリン」側の適切なサイドボーディングに迷走した僕の責任。
【ニヴルヘイム】は墓地に落ちたバウンスやブリンク呪文を《神秘の聖域》で再利用することで《停滞》を維持するデッキ。墓地対策や《月》が効くのですが……駄目でしたね。過剰サイドボーディングになり、本来の攻撃速度を削いでしまいました。下手な小細工よりも平押しに戻したほうが遥かに強かった。
「ゴブリン」からは7敗で、ここまでの合計は25敗。体感では、1つの戦術的なミスでどちらも敗れ得る、綱引きで綱渡り。
けっして有利とは言えませんが……この強敵に《停滞》という古えのカードが、はっきりと効き目を示したこと。そのことを確かめられたのが、「ゴブリン」戦での成果。大きな自信をもらうことができました。
しかし、サイドボーディングの不慣れさが勝敗の数に影響したとおり、僕のプレイヤーとしての技量により、相性が覆るケースが他にもありそうですね……ただでさえ、挑戦者の【ニヴルヘイム】が有利になりやすい条件です。
次。4戦目は「ドゥームズデイ」……を予定していましたが、通常のリストではありません。「アーボーグ型ドゥームズデイ」でいきます!
4戦目「アーボーグ型ドゥームズデイ」
レガシーを代表する高速コンボであり、僕が初めて記事にしたデッキでもあります。通常型との違いは、基本土地を多く装備しているため、《不毛の大地》などが効きにくいこと。そのぶん、青マナはともかく、黒マナを揃えにくくて不器用な面があります。
今回のマッチアップで影響がある利点はありませんが、僕はこの「アーボーグ型」をたぶん5000回くらいは練習しており、こと自分が使う場合は、通常型よりも強く使いやすいという謎の現象が起きるようです(認知の歪み)。
自分が手がけた最古の作品と、最新の作品。それらが激突すればどうなるか、興味があったのですよね。それにお互いの狙いや、突かれたくない弱点を、少なくとも他のデッキよりは熟知しています。
デッキパワーとは別の意味で! 今までの相手とは一味違うぜぇ。
事前の予想では【ニヴルヘイム】が有利。「ドゥームズデイ」は、たとえ盤面を抑え込んだとしても、手札からの土地1枚を火種に軽々とコンボを決めてきます。典型的な“「ステイシス」が効かないデッキ”。
しかし、【ニヴルヘイム】が搭載している妨害カード群が、ことごとく《最後の審判》(と《タッサの神託者》)に突き刺さります。
特に《もみ消し》と《激しい叱責》は《ライオンの瞳のダイアモンド》で手札が空になった瞬間を狙えば、絶対に防御できません。つまり【ニヴルヘイム】が「青単パーミッション」として虎視眈々と待ち構えている間、《ダイアモンド》を用いる《渦まく知識》パイルは、ほぼ使用不能。たとえ《魂の洞窟》を介するパイルでも、関係なく能力を打ち消せますから。
結果。メイン戦は5ー5。予想通り、かなり【ニヴルヘイム】寄りの内容。何とか《最後の審判》を撃ち込むところまでは達しても、そこから先が猛烈に難しい! 「ドゥームズデイ」側の練習として“手札が見えている前提で”5枚のライブラリーに、【ニヴルヘイム】の妨害を乗り越えるためのさらなる妨害を積み込み、相応の時間をかけて最適解を考え出した上で、どうにか五分。
実戦なら、僕の技量では厳しい。普通は《最後の審判》を巡る打ち消し呪文の応酬の直後、フルパワー《濁浪の執政》が飛び出して、あっというまにゲームエンドです。
サイド後も5ー5。ただし今度は、かなり「ドゥームズデイ」寄りの内容。たった2枚のカードで、これほど相性が変わるのか、と驚いたのですが、サイドから投入された“スペードのクイーン”が戦場を支配し始めます。《黙示録、シェオルドレッド》。
このカードを引かれるせいで、【ニヴルヘイム】側、メイン戦のような持久戦術を選べなくなります。そもそも《シェオルドレッド》には《意志の力》くらいしか打ち消し呪文が当たらず、《魂の洞窟》を経由されれば、それさえ無効。《相殺》でのロック状態でさえ単騎のパワーでひっくり返されました。マジかい……。
「青単」であり「ステイシス」である【ニヴルヘイム】にとって、もっとも苦手なのは、戦場に出た“常在型能力持ちクリーチャーの処理”です。
攻撃型のクリーチャーは《停滞》でタップ状態の氷漬けにするのが前提で、クリーチャー除去に割けるスロットが少ない……また、スロットを用意できたとしても、青のカードでの選択肢はとても弱い。
今回の《黙示録、シェオルドレッド》は苦手なカードの最たるもので、居座られたら勝ちは限りない薄さに。
この型までの【ニヴルヘイム】は、潤沢な打ち消し呪文によるスペル戦は得意でも、盤面に触る手段が少なすぎました。「ドゥームズデイ」との第4戦の時点では《錬金術師の挽回》2枚しかなく、強化は必須。このままでは後に予定している「黒単ミッドレンジ」戦に、絶対に勝てません!
それでもサイド後に5勝できたのは、【ニヴルヘイム】も《シェオルドレッド》に触りにくいが、「ドゥームズデイ」側も《濁浪の執政》に触れないという当然の事実に、はたと気がついたからです。
やはり、顔面パンチこそが世界の真理か……。全てリソースを使って、最速《濁浪》だけを目指せば、デッキ内に2枚しかない《シェオルドレッド》には、そうそう負けないのでした。
しかしまぁ、陸空ですれ違いの殴り合いをする「ドゥームズデイ」vs「ステイシス」。絶望的にIQが低い。君たち、どういうデッキだっけ……ううう、なにも、おもいだせない。
ともあれ「ドゥームズデイ」からは10敗をもらいます。自分のデッキ同士の戦いは、思いの外、楽しかった。ただの一人回しの練習とはいえ、あらんかぎりの知識を使い、技巧も尽くし、そのうえで互角に戦うことができましたから。
ふぅ。そろそろ紙数が多くなってきました。新しい課題をもらったところで、いったん、筆を置きましょうか。次の相手、5戦目は10のデッキの中で、もっとも重たい相手です。「4c豆の木コントロール」。
いや~。色々な意味で、重い。勝てるのか、本当に? レガシー屈指のパワーカードの集合体に「ステイシス」で?
ここまで、4戦までの合計は35敗。まだまだ、この生まれたばかりのデッキのため、“出来る限り”の果てには、とうてい届いていません。オリジナルデッキ、青単ステイシス【ニヴルヘイム】。探究の旅は、まだ続きます。それでは、また。
3月24日追記。中編はこちらから↓
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