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【MTG レガシー】 オリジナルデッキ、青単ステイシス“ニヴルヘイム”で100敗してみた 1~8敗 対“グリクシス・デルバー” 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.さて。始めますか。オリジナルデッキ「青単ステイシス【ニヴルヘイム】」で、レガシートップ10のデッキと順番に戦う実験。初戦は「グリクシス・デルバー」から。詳しくは前回の記事にて。

3月8日現在、2番目に戦う「UBリアニメイト+スキャム」のほうが2位以下を大きく引き離して環境のトップを独走しているのですが、テストを開始したタイミングでは、頭角を示し始めた直後。そのため、「デルバー」が先です。リストはこう!

うわぁ。見た目がすでに、お強い。軽量クリーチャー+0マナ打ち消し呪文+必殺の《稲妻》

たぶん、世界一
プレイされてきたカードだぞ

「デルバー」を緒戦に持ってきたかった理由はメタゲーム上の順位の話だけではなく、レガシーで戦う以上はこのデッキとの向き合い方を決めなければならないからです。「デルバーに対して、強い構造にするのか」。あるいは「デルバーには弱いが、他に対して、凄く強い構造にするのか」? それとも……。
常に環境を定義してきた「デルバー」にこそ、僕は最初に問いたかったのです。このデッキはどんなふうに、レガシーの世界で生きるべきなのか、と。それが、この実験でやりたかったことの1つ。こちらのリストはこう!

初戦の段階では、《サファイアの大メダル》搭載で《停滞》に特化した【ニヴルヘイム】とは異なる形だったことをご理解ください。打ち消し呪文が主体の「青単パーミッションコントロール」に「ステイシス」パッケージを足し、ときたま、アクセントとして時間を停止するようなデッキでした。
そして「デルバー」はこのデッキにとって必要なことを、まっさきに教えてくれました。「この形では、この先の戦いは厳しいぞ」と。

「敵は“知らなければならない”ことを
教えてくれる」
まさにその通り

2.実験の形式として、まずメイン戦で10本、サイドチェンジをして10本。1つのデッキとは計20本を戦うことになります。10回の実験のあとには、200本のゲームを終えることになりますね。
メイン戦はお互いのデッキを知らない前提で、見える限りの情報で互いの最善手を選び続けます。まあ、僕はそれぞれのデッキの専門家ではないので、ちゃんと最高のプレイが出来るかは、別の問題。サイド戦はある程度、お互いのデッキがわかっている前提で動かします。

精いっぱい、がんばるで~

ただし、環境の最前線で研磨されたトップメタのデッキたちと、仮組みを終えたばかりの「青単ステイシス」とではパワーの差が歴然。いくら僕が、ちょっとおかしなタイプのデッキビルダーでも、あまりに勝てなさすぎるのも練習にならず、モチベーションの維持に直結してくるので……2つのハンデをもらいます。

まず、実験の1本目は「青単ステイシス」から先手でスタート。そのあとは敗れたほうが次の試合で先手を選べる、いわゆる「負け先」式で戦います。とにかく時間が要る実験なので、いちいちダイスを振らないためでもあります。

次に、トップメタ10のデッキはリストが固定ですが、「青単ステイシス」側は試合の合間にデッキの細部を変更できます。あからさまな対策カードを積むようなことはしませんが、実践でのフィードバックを活かした調整作業も兼ねているので、許してもらいたいところ。

そもそもレガシー版「青単コントロール」の設計として、かなり「デルバー」を意識した作りになっています。このデッキの原型は「URデルバー」全盛期に作られており、《軽微なつまづき》4枚採用がわかりやすい例。

「やあ!」
いまの、間違い
《軽微な》のは、こっち

「青単」の宿命としてクリーチャー除去がとても弱く、最序盤の1マナ域の攻守を打ち消し呪文で凌がなければ、自分のフィールドである中盤以降にたどりつくことさえできないからです。時間を稼ぐことに注力し、機を見て《停滞》、まとめて「デルバー」のクリーチャーを凍らせられれば理想なのですが……(すでに雲行きが怪しいと思ってる)。

生ける《師範の占い独楽》
本っ当に、クリーチャーの性能向上が
恐ろしいレベルで

実験開始。対戦、よろしくお願いします(相手も自分)。1本目、さっそく思い知らされたことがあります。予想どおりに《停滞》の効きが悪く、予想よりもずっと、「ステイシス」モードの維持が難しい。
1マナ域のクリーチャーを中心にした「デルバー」に《停滞》が利きにくいのは、自明のことでした。
あとから、ぽんと置いた土地1枚からでも、上記の《ドラゴンの怒りの媒介者》を筆頭とした強クリーチャーを並べられて……いずれは敗れる。そのため、ソフトロックで動きを鈍らせているうちに《濁浪の執政》を用いて、先に殴りきるというのが設計上のプラン。

強固なロックで後続を封じる考え方もあるのですが
その場合は4マナの《凍りつく霊気》などを
設置しなければならず、それも至難
この型では最初から割りきって、外しています
緑を足せるなら
こちらがダントツで軽い
ただ、デッキのタイプが大きく変わってくるので
その型の研究は読者のどなたかに任せましょう

しかし、今回のような呪文型の「ステイシス」の弱点は、対戦相手のターン終了時にブリンク呪文を撃つときに、またはバウンス呪文+《停滞》の出し直し時に、対戦相手には打ち消し呪文を当てるチャンスがあること。特に《目くらまし》によって計算を狂わせられやすいです。

ぐぇー
(自分も使うが)
明滅や出し直しにも
かなりのマナを使うからね……

1本目は《目くらまし》に余計なマナを使わされ、アップキープコストを払えなくなり、《停滞》状態を破られて、敗け。このとき「グリクシス・デルバー」が2マリガンだったので、大変に厳しいスタートです。結果、10本のメイン戦で「青単ステイシス」は5敗。最多の理由は、序盤に軽量クリーチャーを捌ききれず、火力圏内に押し込まれたこと。

いまでも
充分に強いんだぞ!?

ただ、敗けのうち2本は「ステイシス」モードの失敗による自滅が原因で、抜本的な改革が必要だと感じました。
反対に、よく5敗で済んだね!? という感覚でしたが、それは「グリクシス・デルバー」が深刻な土地事故を起こした回があったため。さらに勝った試合は、ほとんどがこの1枚の力です。《濁浪の執政》。

「真 の 主 役」

特にこの初期型=「青単パーミッションコントロール」タイプは、搭載している打ち消し呪文の総量がレガシーデッキの中でも突出しており、序盤の攻防の直後、あっというまに8/8の最大サイズで呼び出せます。
一方の「グリクシス・デルバー」側はメインボードで「濁浪」を処理できるカードが重たいソーサリーの《溶鉄の崩壊》などの数枚しかなく、おまけに主力の《ドラゴンの怒りの媒介者》が強制攻撃で勝手にぶつかってくるから、気持ちがイイ。
相手よりも2倍は分厚い防御札でこの“ブルードラゴン”さえ守りきれば、敗けはなくなるのでした……。

大振りなので、ちゃんと意識しておけば
打ち消しやすい

サイド戦では、さらに話が簡単になります。《濁浪》に加えて、《相殺》を置けるようになるからです。

《渦まく知識》や
「フェッチランド」+《神秘の聖域》
と合わせることで、対戦相手の呪文を封じます
「ステイシス」モードと
「コントロール」モード
どちらも支える柱石
このカードを確実に活かすための
「青単」なのですから

「デルバー」の主力、1マナクリーチャー群に加えて、デッキとして苦手な《紅蓮破》でさえ、高い確率でシャットダウン。

本来なら
当たり判定が超、特大で、苦手なカード
何しろ、40枚くらいな

もちろん「グリクシス・デルバー」側も《相殺》を積むことができますが、元の打ち消し呪文の質と量が異なり、着地時をめぐる攻防では「青単ステイシス」側が大きく有利。仮に着地をゆるしても、こちらの主力呪文には2マナ以上が多く、刺さりの深さが針とナイフほども違います。
そうして消耗を誘ってから、巨大な《濁浪の執政》着地。このプランはメイン戦と同じ図式になり、幸運の助けもあって、サイド戦は7本を獲ることができました。
「グリクシス・デルバー」戦、メインで5敗。サイドで3敗。計8敗を貰います。対戦、ありがとうございました!(自分に向かって)

3.ふぅむ。数字だけなら「メイン戦5/10」「サイド戦7/10」は悪くないスコアなのですが……内容が良くないですね。実験1戦目にして早くも、新オリジナルデッキに挑むとき、多くのデッキビルダーがぶつかる壁と出くわしました。

「これ、本当に《停滞》は必要かい???」

「……」

まぁねえ。「デルバー」などの軽量デッキに《停滞》が効きにくいのは……カードの性質として、しかたがないことです。そういう相手のため、“脇差し”としてサブの勝ち手段を用意しておくこと。これもまた、勝負に臨む上での礼法に近い。この「青単ステイシス」においては《濁浪の執政》をフィニッシャーにした、パーミッションコントロール戦術ですね。

ひさしぶりに
《対抗呪文》をつかえたのは、たのしかった
(小学生)

しかし、肝心の《停滞》を使う戦い方がコントロール戦術よりも遥かに弱くなっていて、このままではノイズでしか無い。
あえて強い言葉を使うなら、この形での「青単ステイシス」は「《停滞》というカードが入っている」だけのコントロールデッキであり、僕個人の基準では、由緒ある「ステイシス」の系譜を名乗ることはできないのです。

“脇差し”は、主である“打刀”の威力があって、活きるもの。何より「デルバー」の攻めを凌ぐのがやっとのコントロール能力では……現代戦で《停滞》を使う理由でもある「本来の仮想敵」に決して勝てません!

???「クスクス……」

そのために「ステイシス」モードの強化は、必須……ここでお話は、前回の準備編の時点に戻ります。この「グリクシス・デルバー」戦は、じつは前日譚。
《サファイアの大メダル》まで搭載し、妨害の無い相手なら3ターンで凍結させられる「青単ステイシス【ニヴルヘイム】」の開発は、「デルバー」から貰った「8敗」を自分なりに受け止めてのもの。やはり「デルバー」は、レガシーのデッキにとって素晴らしい教師です。

ふぅ。“自分のデッキとカードに、真摯に向き合う”か。
よく言われる、このゲームの基本ですが……自分に出来ているかは、わかりません。“高いレベル”でそう出来ているかと問われると、まるで自信がないですね。
「ステイシス」は元々、ずっと昔に友人が使っていたデッキでした。そのときに何度か貸してもらって、遊びで試したことはあったかな。懐かしいですね……まさか自分が後継デッキの開発に挑む日が来るとは。

今の段階でわかることは……まだまだ、全っ然、僕にとっての“出来るかぎり”の限界に程遠く、《停滞》のスペックを活かしきるレベルには達していないこと!

ともあれ、第1戦から紙数を使いすぎました。次回は少し駆け足に、「UBリアニメイト+スキャム」と「ゴブリン」戦を合わせて書く予定。今回の「グリクシス・デルバー」戦は序章にあたり、「青単ステイシス【ニヴルヘイム】」としての戦いは次回からです。

どっちも
キッツイ相手だぜ……(げっそり)

いずれ【ニヴルヘイム】として、改めて「デルバー」と戦ってみたい気がしますが……それは、予定の200戦を終えたあとに考えてみましょう。まだまだ、旅は長いのですから。
最後に、対「グリクシス・デルバー」戦で気づいたことや注意点の簡単なまとめ!

・「ステイシス」を決めても、「デルバー」は土地が窮屈な状態でも動ける上に、0マナで《停滞》の出し入れに干渉する手段も多い。無理に“時間停止”を狙うのは、事故のもと!

・反面、いったん着地した《濁浪の執政》にメイン戦から触る手段は多くない。この“ブルードラゴン”を主軸としてゲームを組み立てること

・サイド後は《相殺》が輝く相手。《濁浪》に触れる《紅蓮破》さえ無効化しやすいため、ぜひ設置を成功させたい
特に相手は、こちらのデッキのサイド内容を知る由がないので(このニッチな記事を読んでない限り)、情報量の差を活かし、心の隙を容赦なく狙うべし

こんなところでしょうか。それでは、また。時を凍らせるデッキを巡る探求の旅は、まだ始まったばかり。

3月22日追記。実験完了! 2戦目「青黒リアニメイト」戦以降はこちら↓

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