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【MTG レガシー】 強化合宿3日目=最終日/お帰りなさい。「レイン・ストーム」/対テゼレッター 【全ての新しい友人へ】

……2日目の戦いのあと。また夜中に目が冴えてしまって。
1日目よりも早く家に帰ったし、寝つきは悪くなかったはずなのに、どうしてだろう。まあ……いい。「アーボーグ型ドゥームズデイ」、サイドボードの編成で少し気になるところがあり、調整したいと思っていたのですよね。

パートナーさまや子供たちが不在で、夜の家には僕ひとりだけ。ダイニングテーブルにプレイマットを広げ、まじまじと自分のデッキを眺めてみます。うーん。連戦を経て、オーバースリーブが汚れてきたな……。

僕は3重スリーブ派。カードの保護という観点でも、2重目のスリーブの保護という観点でも、「ブロッコリー」から発売されている「スリーブプロテクターL エンボス&クリア」をオーバースリーブとして愛用しています。
スリーブの柄にはこれ↓を使うと決めていましてな。

日本画《強迫》スリーブ。発売当時に3セットをまとめ買いしましたが、今はもう、なかなか手に入らなくって……できるだけ長く大事に使いたい。

3重スリーブは安心感が魅力。しかしデッキ全体が分厚くなり、慣れるまで扱いにくいのが難点です。シャッフルのたび、「バラッ」と散らばって冷や汗が出たよなぁ。ピアノの鍵盤と同じで、手のサイズ自体が小さい人にもオススメしづらい形式かも。
……よし。サイドボードまで75枚、全部のオーバースリーブを入れ替えました。全体にくすんでいたデッキに、艶めきと輝きが戻ってきたようです。余は満足じゃ。

このあたりで僕は、やっと気がついたのでした。ああ……そういうことか。それで体がひとりでに覚醒してしまったのか。家族と暮らすようになって、すっかり忘れかけていた感覚です。

夜中に目が覚めたのは、“空腹のせい”。
僕は夕食を摂ることを、“忘れていた”。

1.《むかしむかし》のお話を、少しの間だけお許しください。

そのころ、僕は独りで長く暮らしており……ある世界に飛び込み、1人で生きていこうとしていました。
そのためだけに、文字通りに寝食を忘れて打ち込みました……睡眠も摂食も、自らを維持する機能でしかなかった。それ以外の自分のことは、どうでもよかった。それ以外の他人のことは、ぼやけた背景にすぎなかった。

《暗黒の儀式》で命の全部を焚き上げるような生活が、何年も何年も続きました。食事を……忘れた??? そんなの、いつものことでした。ただ……愉しくって仕方なくて。

そうして僕は、その世界の“城門”をぶち破ることが出来ました。“玄関”に踏み込み、“エントランスホール”で吠え声をあげるまでは、達成。
しかし……僕の足は、そこで突然、止まりました。当然です。息が続くわけがない。手札がない。マナがない。リソースの全てを、燃やし尽くしてしまったんだから。

同じタイミングで信じていた人に、手のひらを返されるように見捨てられたこともあり……僕は絶望に落ちました。人生が台無しになったと思った。もう取り返しがつかない。心の底まで真っ黒で最低な《指輪の幽鬼》のような存在になりかけた。

……そんな僕を、家族が暖かく受け入れてくれました。家族との関係は、悪くなかった。それが僕の幸運でした。傷を癒すために何年も何年もかかって……やがて僕はどうしても自分の家庭が欲しくなり、少しずつ活動を始めました。

たくさん失敗しましたけどね。そうして巡り会えたのが、うちのパートナーさまで。まぎれもなく、人生最大の神ドロー。
「デッキを持って、ショップの大会に行ってみたら?」
そんなふうに背中を押してくれたのは彼女です。まったく気は進まなかったのですが。人と新しく会うのが、怖かったから。

……学生時代に友だちと遊んだ「マジック」は、たしかにずっと好きでした。カード資産も一部は残していて、絶望に沈んでいた頃も、真夜中に1人でデッキを回していました……そうしている間だけ、真っ黒な考えに溺れずに済んだから。

渋る僕に、彼女は静かに続けました。
「また友だちができたらいいね」

僕は、彼女のそういう言葉には、100パーセント無条件で従う。それが自分自身に課した、絶対不可侵の“ルール”です。こうして僕は「初めて組んだレガシーデッキ」を手に、おっかなびっくり大会に乗り込んだのでした……。

(注意! 今日の記事には「アーボーグ型ドゥームズデイ」も「青黒ダークデプス」も直接は出てきません! 以下の「謎のデッキ」しか……。それらの記事を通して知り合った“友人”にも、読んでほしくなったのです。また、かならず別の記事にしますから、お許しを!)

パワーとタフネスが1/1の青の
カエルになりますから……

2.よし。「レイン・ストーム」だ! その日は大雨。長女とパートナーさまの体操教育が終わるのを、眠る赤ちゃんと2人、自動車の中で待ちながら、僕は鼻息荒く決めたのでした。
たしかに「ドゥームズ・デザイア」は“敗北”しました。

それだからといって、《精神の願望》自体を諦める必要はない。他にも活きるデッキはないのか!!? それで、このデッキを思い出したのです。

「レイン・ストーム」とはフル装備した《暗黒の儀式》や《陰謀団の儀式》の加速から「デッキの半分を引く」《深淵への覗き込み》につなぎ、巨大な「ストーム」からの《苦悶の触手》をぶち込むデッキ!!!

1度見たら
無限に夢でうなされそうな気持ち悪さが
とても、イイ

ご覧のとおり、「ふざけてんの!!?」という重さの大呪文なので、追加のマナ加速にこいつ↓を使います。「レイン・ストーム」の名前の元にもなっている……《汚物の雨》!

「コントルール」する……

土地を全部、黒マナに変えられるようにするインスタント。瞬間的には《暗黒の儀式》を上回るタイミングさえあり、墓地が一気に肥えるので《陰謀団の儀式》の「スレッショルド」達成も容易に。

巨大な爆発力とポテンシャルをもつ、良いカードです。土地を全部、一瞬で使い潰すので、退路が完全に無くなることを除けば、な!!!

おそらくは……「レイン・ストーム」のほうが、「ドゥームズデイ」に搭載するよりも《精神の願望》を活かせる。同じ「ストーム」である以上、「ドゥームズ・デザイア」のように専用パーツを積む必要がなく、2つの戦略の間で気を使う必要がないからです。
妨害を担うのは、これら↓。

どのみち、《汚物の雨》を使えば、次のターンの存在なんて意味がないですからね……マナ加速を妨害しにくる打ち消し呪文は、《意志の力》と《否定の契約》で全部潰す!!!
あと、《オークの弓使い》が立っていると、それだけで決して勝たん。メインからの《激しい叱責》フル装備は義務!!!

「レイン・ストーム」とは、そんな“剛のもの”です。
いつもの《梅澤の十手》級、最強の1人回しアプリ「Study Hall of M:TG」内の「MTG Tools」を脊髄反射の速さで立ち上げ、さっそくテストプレイです。寝ている赤ちゃんのとなりで、何度も何度も、繰り返し繰り返し。
よし……「強いか弱いかはよぐわがんねぇ」が、面白いのは間違いなし!!!

今度こそ
撃ったるでぇえええ

さぁて……うちにはすでに《深淵への覗き込み》も《汚物の雨》も揃っているが、前述のとおり、外出のあとです。足りないパーツは買うか……これで僕は、重度のマニアしか必要としない《深淵への覗き込み》の8枚所持者になります。

残った問題は……どうやって「晴れる屋」に向かうか、だな。この日は段取りが特殊で……パートナーさまが実家の車で体操教室の会場へ来ており、僕は自分たちの家から合流、という流れでした。

車を交換して、高松に実家カーを返しに行かないといけない。その代わり、そこから先の足が無い。しかもその日の香川は……嵐。

0回戦目。「晴れる屋」到達戦のスタートです。

2.それぞれの自動車を交換するために、大雨のなかで大急ぎ、荷物の全部を載せ替え。出発前にタオルで髪を拭いていた僕に、
「行くの?」
と、パートナーさまは少しあきれた様子で問いかけてきました。もちろん。そのつもり。
記事を通して告知もしたことだし、ショップに誰か来ていないか、せめて様子を見に行きたい。かつて彼女に勧められたとおり、だれかと「友だちになれる」かもしれないから。

パートナーさまは肩をすくめました。それでもけっして、僕を止めはしなかった。いつもありがとう。それでは……いってきます!

しかし彼女の実家に自動車を返したあとは、動きが止まってしまう。タクシーか公共交通機関を使えば済む話ですが……雨の日にデッキを抱えた状態では、ちょいとリスキーだ。

そこで僕は、電話をしました。「“エスパーブレード”さん! 昼飯おごるから……助けてくんないかな??? 晴れる屋まで乗せてってくれると嬉しい」

「ドラえも~ん」

……んで。
パートナーさまの実家で待っていたのですが、約束したタイミングから1時間、来ないんでゴザルが!!? おれ、そのあいだにパートナー実家の納屋の整理しちゃったよ、義理父さんといっしょに。

「エスパーブレード」さんに電話したら「先に家で蕎麦食べてた」だって。あと、いまさら「こんな台風の日に晴れる屋行くなんて、どうなん?」だってさ。おい!!!
そりゃ、何でもかんでも頼りきる僕も悪い。いつも申し訳ないと思ってるし、感謝しているゾ、本当に。しかし……「何でもかんでも自分の中だけで判断を完結させて、行動を勝手に変えるんじゃねぇえええ」!!!
せめて気が変わったなら「やっぱり、おれは行かないよ」とでも一声かけてくれれば、さっさとタクシーを呼んだだけなのに。

高松=「カラデシュ」説

と、いろいろありつつ。予定よりずいぶん遅くはなったが、無事、晴れる屋にたどり着けました(けっきょく「エスパーブレード」さんも。何だかんだで、優しいのだ)。

そこで待っていてくれたのが、この方だったのです。

晴れる屋 高松店=「領事府」説

3.以前の記事にも登場した「テゼレッター」さん。僕と同じように、「レガシー」初心者。その方が大会に出て、「初めに当たった相手=復帰したばかりの僕」という奇縁もあり、それ以来、仲良くさせていただいています。

初心者といっても、モダンでの経験も豊富で、基本がしっかり出来ているタイプ。周囲の環境にも恵まれており、普段はエアプ勢な著者より、はるかにポテンシャルが高い……。
悪天候なのに、この方がいてくれて……ほっとしました。最終日は“誰とも会えず、なにも無し”なんて記事はあまりに寂しかったから。ありがとう!

……ここまでは、本当に濃密すぎる2日間でした。「ひたすら強くなるために!」なんてスタンスは、正直なところ肩に力が入りすぎて、くたびれていたところ。

僕はおそらく……本質的には、さして強くなりたいワケではないのでしょう。“強さ”とは僕にとって、誰かと対等であるための手段というだけ。
そういうわけで、3日目は……「テゼレッター」さんのデッキ調整に付き合いつつ、夕方の雨上がりを待つあいだ、まったりと遊ぶことに。

じゃ、場所代として、狂気の不気味カード4枚を買ってきまっす!!!

おお……もう……

初戦や2戦目は、先制攻撃に成功。マナ加速から一気に《深淵への覗き込み》を撃ち込むことが出来ました。さぁ……いっくぜぇえええ!!!
(例によって、細かな記憶は曖昧です。雰囲気重点な!)

この《深淵への覗き込み》を迅速に使うには、コツがあります。まず、手札と戦場と墓地と追放領域のカード枚数を合計すること。
たとえば……「12枚」? オッケー。それなら元のライブラリー「60枚」から「12枚」を引けば? 「48枚」。
「48枚」÷「2」=「24枚」。これが《深淵への覗き込み》=略称《アビス》の効果で引ける枚数です。
これが……世界で何人が実存なのかは不明の「レイン・ストーム」使いにだけ必須の計算術「アビス算」ッッッ!

あとは……引け引け引け~ぃ! 「24枚」の中に《水蓮の花びら》《暗黒の儀式》などのマナソースはある? 何より《苦悶の触手》はちゃんと存在する???

よし、勝った。優勝だぁあああ!!? 数えるのが面倒なほどの巨大ストームから《苦悶の触手》。

「おつかれさまでした。」

うわ、めっちゃ懐かしいムーヴ……それに決まるもんだな。久々でも。
ちゃんとこの日は《精神の願望》も撃ちましたよ? 《暗黒の儀式》を狙ってきた《意志の力》をこちらも打ち消しで応じ……「ストーム+2」、合算して「ストーム6」=《精神の願望》!

めくれたのは、土地、土地、《意志の力》、土地、《苦悶の触手》……《精神の願望》おかわり!!! 空振り、危な……めちゃくちゃして、勝ちぃ!!!

頭、パーンだ!!!

しかし、「レイン・ストーム」がカッコよかったのは、この2本くらいまで。すぐにメッキが剥がれてきます。
3本目、僕が単純な計算ミスで《暗黒の儀式》を空撃ちしてしまったのを皮切りに、「テゼレッター」の反撃が始まりました。
たとえば、《虚空の杯》X=1。

杯から溢れんばかりの吐血ッッッ!? たとえば、《力を欲する者、スタースクリーム》。

突然のライフ・チュッチュ・トランスフォームッッッ!? たとえば、《狼狽の嵐》。

きゃぁ、「ストーム」殺しッッッ!?
そうなんですよね~、「テゼレッター」はこういうデッキに対して弱くない……むしろ、多彩な手段で逆に責め立てることができ、コンボを狩るのは得意な部類ではないかと思います。

そろそろ種明かしをしましょう……「レイン・ストーム」は、致命的な弱点を抱えたデッキです。《オークの弓使い》との相性が最悪中の最低を下回るだけではなく。

《深淵への覗き込み》に合わせて
ピシピシピシピシ……×24
し……死んでる!

遅いのです。コンボなのに。
不退転の切り札《汚物の雨》からしても、《暗黒の儀式》の効率に並ぶのは“土地3枚を生け贄にしたら”の話ですからね……爆発力はともかく、けっして速い呪文ではありません。
しかけられるのは、現実的に3ターン目以降で、充分に迎え撃つ体勢を整えられてしまいます。
「テゼレッター」さんが対処に慣れてくるにつれ、「レイン・ストーム」の勝率はみるみる下がっていきましたね。

ただ……対「コンボ」の練習用、スパーリングパートナーには悪くないデッキだと思うのです。速度もほどほどで、適切な迎撃の方法も学べるので。

けっきょく「エスパーブレード」さんも居残って、「テゼレッター」さんのための“通訳”を務めてくれます。自分のペースで帰ってよねと何度も言ってんのに、人が良いんだから……。たとえば、
「今の《水蓮の花びら》は、“このターン、ストーム・コンボに走るかもしれませんよ。初動を見逃しても良いのですか?”という問いかけだよ」などと。

ふふ、良い感じです。おかげで、ちゃんと「対話」が出来ている。
ゲーム内だけでなく、普通の意味での「会話」もたくさん交わしました。「カードゲームうさぎ」の名シーン名ゼリフの話とか、お互いの仕事の話とか……。

「テゼレッター」さんは構築に悩んでいる様子でした。以前は《スコーペク・ロード》を主力としたアグロなタイプを使っており、今は《湖に潜む者、エムリー》を活かしたカードアドバンテージ重視のタイプを試していて。

対照的よね

「テゼレッター」はできることの幅が広く、歯車の入れ換えどころが多いぶん、構築も調整も難しそうですよね……。
もちろん、専門家でない僕に具体的なアドバイスはできないのですが、1つ。デッキを見せてもらいながら、こんな話をさせてもらった気がします。

僕の理解では、デッキとは1冊の「本」です。それぞれに「物語」があり、適切な「ページ」でふさわしい「登場人物」が現れる構造になっている……。

たとえば、「テゼレッター」の理想的な1ページ目の「登場人物」は……《古えの墳墓》からの《虚空の杯》? もしくは《教議会の座席》+0マナアーティファクト+《湖に潜む者、エムリー》? あるいは、開幕《ウルザの物語》かな?

“物語”
(ナンセンスギャグの域)

そうして登場人物をページの順番に並べていくと……終盤、“物語”のクライマックスに現れて、戦場の色を単騎で塗り替えられる切り札が……具体的には“4マナ域”のカードが、一般的なリストと比べても少ないようです。候補は3枚目の《ボーラスの工作員、テゼレット》か……その方が自分で選んだのは、このカード。

うむ。この道の素人ながら、“美しい”リストに近づいてきたように見受けられます。実際に対戦相手の視点からだと、《湖に潜む者、エムリー》たちが稼いだカード枚数を、中~終盤の決定力に変換する手段が増え、ずっとやりにくくなりました。
専用呪文《金属の叱責》も厄介でありつつ、オシャレな選択。

3日間の長きにわたった強化合宿。最後のデッキ「レイン・ストーム」による最終戦は、“現時点”でのベストを尽くした「テゼレッター」改との再対決です。

もっともそれは……「テゼレッター」の使い手の急速な成長も相まって、最初のデモンストレーションとは比べられないほど厳しい戦いでした。相性は、明確に不利……です。

4.まずは最速《ウルザの物語》と、早期に定着した《湖に潜む者、エムリー》が、別方向からの同時攻撃をしかけてきます。
地味に辛いのが《ミシュラのガラクタ》を使い回されてライブラリートップを検閲され続け、仕掛けの間合いを把握されること。

コンボパーツが揃っても、打ち消し呪文に睨まれて……このままでは走れない。《ウルザの物語》の構築物トークンを《激しい叱責》で消し飛ばしつつ、出し抜く隙を伺います。
そうするうちに、《虚空の杯》X=1の着地です。3種12枚のキャントリップ群と《暗黒の儀式》がここで機能停止。痛撃です。しかし、致命とまではいえません。

お相手、考えた末に《虚空の杯》X=2でも設置。自分の2マナ呪文も使えなくなる選択ですが……間違いなく、正着。対戦相手のほうが明らかに被害が大きくなるのだから、躊躇の必要はありません。
実際……先ほどのX=1よりも厳しい。一瞬のマナブーストから絶命撃を放てるチャンスがぐっと少なくなりました。手札にずっと守っていた、2枚の《陰謀団の儀式》が死にましたからね。

しかし、まだまだ! 打ち消し呪文を釣りだしつつ、《意志の力》でこの隠し札を貫き通し、返す刀で勝ちます! 起死回生の《濾過》。

ところが《濾過》には《狼狽の嵐》。よりによってか……。さらにターンは進み、《虚空の杯》X=0も着地。《水蓮の花びら》も封殺。《深淵への覗き込み》の7マナ素撃ちプランが遠ざかり……浮きマナを用意できなくなるので、撃っても意味が無くなります。

もう1枚の《濾過》にも《意志の力》を合わせられ……。
あとは《黙示録、シェオルドレッド》を着地させ、単騎で戦線を支えるか……《杯》で打ち消されることを承知しつつ軽量呪文を連打、ぎりぎりの間合いで《苦悶の触手》を直に撃ち込むか。

または、土地と先置きしておいた《水蓮の花びら》から6マナを捻出、《精神の願望》から上記の何かを……どのみち、3つもの《杯》に両手両足を縛られたままでは、動きの自由度はほとんど無いのですが……。

そのとき、ついに。「テゼレッター」の象徴で切り札、名実を兼ね備えたフラッグシップ・カードが着地します。
《機械仕掛けの男》=《ボーラスの工作員、テゼレット》。

多元宇宙でもっとも危険な《機械仕掛けの男》が+1能力で、1ターンの“溜め”を作ります。極大の警戒警報。次いで、奥義へ。-4能力で対象のプレイヤーは“アーティファクトの個数の2倍”のライフロス。抵抗のすべは……ありません。お見事でした。グッドゲーム!

5.ぷぅぇええ、くーやしー!!! 奇声こそ上げていますが、スリリングで楽しい戦いでした。しかし、お前さんは相変わらず動き出しが遅いなぁ、「レイン・ストーム」……。

え、知り合い???

お察しの通り、僕がこのデッキを使うのは、この日が初めてではありません。
上の“むかし話”で書いた「初めて組んだレガシーデッキ」。それがこの“再録禁止カード”を使わない「レイン・ストーム」でした。
当時の基準でも、コンボなのに遅かった……“後の先”の駆け引きが必要で、初心者が扱って強いデッキでは無かったですね。まー、負けた負けた、よく負けたこと。
久しぶりの再会です。いや、「お帰りなさい」かな。「レイン・ストーム」。

ちなみに
こいつを入れた超強化版「レイン・ストーム」も
存在します
短所を全く改善せず
長所だけを伸ばしていくスタイル
好き

雨があがって、帰り道。「エスパーブレード」さんに叱られる著者(年上)。
「あんたね~、3日間も遊んでたけど、もっと家族を大事にしなよ。時間もきっちり決めて。俺がいなかったら、帰りの手段をどーするつもりだったの。奥さん怒ってるでしょ。家庭の平和のために、もう協力しないよ」(大訳)

はっは。すまんすまん。私電とバスの組み合わせで、それこそ、どうにかするつもりだったんだけどね。

彼は、渋る僕をショップへ送り出したのが、パートナーさまだったことを知らないのです。「友人を作りなさい」といって。
僕は彼女の言葉に、100パーセント無条件で従う。それは僕が自らに課した絶対の“ルール”で……別の言い方をすれば、無二の“信頼”です。

たしかに話が弾みすぎた。つぎは気をつけます。3日も自由をくれたのだから、いずれ同じほど、パートナーさまにも自分の時間を作れるよう工夫をしましょう。
家に帰ると、案の定、彼女は「遅いよ」と僕を叱ります。「エスパーブレード」さんの言うとおりで、返す言葉もない。子どもたちの食事が終わったあとだったのは残念でした。食卓で武勇伝を話したかったのに。

ただし、そのあとのやりとりのことを、彼は知らない。彼女は、何かに熱中しすぎると食事も忘れる、愚かな僕を許してくれて、こうした“旅”を終えたあとの、いつもの決まり文句をくれます。

「お帰りなさい。友だちはできた?」と。

レガシーで始めて出来た“友人”からの
第二子誕生のお祝いが
このカードでして
……ぶっきらぼうで不器用なのに
洒落たことをする男です

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