【MTG レガシー】 強化合宿1日目/「ドゥームズ・デザイア」の敗北 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】
1.少し、書き出しに困っています。たくさんの「出来事」が起こりすぎた3日間だったので、何から話し始めれば良いものか……。
パートナーさまと子供たちが実家に泊まるあいだ、許可をとって3日間「晴れる屋 高松店」さんに通いつめ、レガシーの練習をすることに。
《ライオンの瞳のダイアモンド》を手に入れたからです。このカードの習熟訓練が目的の1つ。
それに、解禁されたばかりの新カード《精神の願望》。これを活かした最新型「ドゥームズ・デザイア」の試験飛行をするために。
1日目の「出来事」はどうやら、このデッキの「敗北」から話を切り出さないといけないようです。
2.「ドゥームズデイ」の新しい武器として大いに期待された《精神の願望》。誘発型能力の「ストーム」は打ち消し呪文に極度に強く、既存のあらゆる妨害を貫ける、強力なパイルを組むことができます。
しかし、世界中で研究が進むにつれ、話はそう簡単ではないと知れ渡ってきました。
ぼくも自分なりに工夫をし、新しい試みとして、開発の経過をTwitterでも公開させてもらったのですが……「黒黒黒」+αで即時決着を狙える構造になっている「ドゥームズデイ」に「青青4」というコストは激烈に重く、とにかく動き出しが遅いです。
《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《水蓮の花びら》を4枚ずつフル投入しても、なお。
3ターン目に《島》《島》《沼》+《暗黒の儀式》+《陰謀団の儀式》をそろえ、やっと撃てる大呪文……? いやいやいや。
その上、単に既存の「ドゥームズデイ」に《精神の願望》を付け足しただけでは、“空振り”が怖い。
要するに《精神の願望》は凄まじい《予想外の結果》でしかなく、ループさせて連発できる「ハイタイド」のようなデッキでも無ければ、どこまでも行ってもギャンブル性が付きまといます。6マナ払って、「土地3枚、《思案》《意志の力》」なんてのもザラでね……。
そのため、デッキ内に一定以上の”当たり”が必要になり、一般的には《闇の誓願》、自分なりの工夫として《ボーラスの城塞》を搭載したのですが……
練習会1日目。はじめは4人でスタート。なんと、岡山から「エスパーブレード」さんのお友だちが来てくれて、この日最大に嬉しかったのは間違いなく、その方を見つけた瞬間でした。
一連の記事でも何度か対戦している方で……とてつもなく、上手い。
しかし、それだけではない方です。
しっかりと「話を聴く」という、最高に稀有な能力を備えた“人間性”が尊敬できるプレイヤー。
僕のようなエアプ勢に毛が生えた、初心者で復帰勢のトンデモ発言も途中で遮らず、面白がって最後まで言葉を待ってくれるような。「青黒ダークデプス」開発時にも相談に乗ってもらいました……。
今回「エスパーブレード」さんが「友だちにも声をかけてみるよ」と言ってくれて、もっとも期待していたのが、実はこの方の参戦でして。
「エスパーブレード」さん自身も来てくれると思ってなかったらしく、「忙しいかと思って、確認しなかった」だってさ。おいおいおい。
話をもどします。その方には、もう1人の参加者の方と自己紹介を兼ねて対戦してもらい、僕自身は慣れ親しんだ「エスパーブレード」戦からスタート。
しかし、「ドゥームズ・デザイア」の初手を見て……鈍痛が肌を走ったような直感がありました。このデッキは……勝てない、と。家では数百回単位の1人回しをしてきましたが、対戦相手と向かい合うと、また違う理解を得られるものです。
言い換えましょう。
妨害手段が少なすぎる。
《精神の願望》自体と、それを支えるためのマナ加速カード、“当たり”の水増し用の《ボーラスの城塞》や《闇の誓願》。
これらを搭載するための犠牲は……2枚目の《タッサの神託者》や「サイクリング」カード。そして、対戦相手に干渉するためのカードたち。打ち消し呪文や手札破壊や……。
初手にいつもの「ドゥームズデイ」らしいキレを感じません。モサッとしている。特に《精神の願望》が重なったときなんて、死に札だらけで泣きたいレベル。
僕は「青」と「黒」。軽快な呪文の撃ち合いが好きで「ドゥームズデイ」を握っている人間です。それなのに、”パーツが省スペースで、大量の打ち消し呪文や手札破壊で武装した高速コンボ”という長所が殺されて、鈍重なデッキになっています。
家族の事情でいったん離席するまで、3戦。勝ったゲームは全て、通常通りの《最後の審判》を撃てたとき。《精神の願望》のほうは、撃つ場面にたどり着くことさえ叶いませんでした。
象徴的だったのが、岡山から来てくれた方との対戦で。
先手! 《水蓮の花びら》×3+《暗黒の儀式》+《陰謀団の儀式》+《精神の願望》!!?
1ターンキルコース!!? 行くっきゃねぇえええ!!!
《花びら》3枚を展開し、そのあとの《暗黒の儀式》に無慈悲な《意志の力》。あああぁぁぁ。
「ストーム」を持つ《精神の願望》は打ち消し呪文に強い、と言うのはおとぎ話の空論に近く、けっきょくのところ、そのための加速を邪魔されたら、絶対に撃てはしないのです。「青青4」だから。
3.自己紹介代わりのフリプのあとは、1つの対戦の周りを囲んで、相談したり茶々を入れたりしながら試合を進める、という検討会の真似ごとをしてみることに。いつも1人回しばかりなので、ぜひ試してみたかった形式なのですよね。
ただ、これは課題が残りましたね。参加者の実力や性格的な意味合いでの言葉数にも差がありすぎるので、少数の人が自説を述べる場面が続いてしまいました。
僕やあとから来た初心者さんは、ほへー、と驚き役をするしかなく、質問も挟みにくいし、実際に試してみて「え、それはない」的な返しをされたあとは、上手く言葉を続けられませんでした。気弱。
少なくとも、発言量が平等になるように促せる“司会進行役”を設けないと難しい形式だと感じました。そんなふうに、場の空気と人の様子まで読める実力者、そうそう見つからんとは思うが……。
しかし、勉強になったし、最高に楽しかったのも事実。
僕にとっての「ドゥームズ・デザイア」の絶頂期は、みんなに囲まれて、ショップが誇る変態デッキビルダーさんの「続唱ティボルトの計略・デザイア」(で、合ってるよね?)との「デザイア」対決を繰り広げたときでしょうか。
《最後の審判》で最高のパイルを組んだ……次のターンには、おれの勝ちだぜ! → うわああああ、《エターリ》が出てきたぁ!!? 1枚きりの《タッサの神託者》が追放されて盗られちゃぅぅう!!?
けっきょく、僕が「ドゥームズ・デザイア」で《精神の願望》を撃てたのは、半日戦って、この試合での1度きり。しかも《最後の審判》のあと、パイルに組み込んだだけ。
手札に《ライオンの瞳のダイアモンド》があったのですよね。あと《水蓮の花びら》だったかな。そこで、こんなふうにパイルを組むことに。
《秋の際》→《精神の願望》→《意志の力》→《否定の力》→《タッサの神託者》
まず、0マナの《ライオンの瞳のダイアモンド》や《水蓮の花びら》を置きます。《秋の際》サイクリングに対応して、《ライオンの瞳のダイアモンド》起動。青3マナを追加しつつ、《精神の願望》をストーム2で。
これで、残りライブラリーの《否定の力》《意志の力》《タッサの神託者》を無料で唱えられる算段。自分だけでは気づかなかった道筋です。「エスパーブレード」さん、賢い。さすがは、お師匠。
僕にとっての「ドゥームズ・デザイア」を巡る探求は、ここがクライマックスで、同時に1つのピリオドが付きました。
自分なりにがんばってはみたのですが……残念ながらデッキビルダーの良識に則り、“敗北”と認めざるを得ません。
4.夜。家族との約束で、ふたたび離席。一応は発起者なのに、離席してばっかりだな、おい。
赤ちゃんのお風呂を手伝って、近くの海まで花火を見せに行って……やっと、ショップに帰ったとき、多くの人が帰ったあと。
特に岡山から来たプレイヤーさんとは滅多に会えないし、ゆっくり話をしたかったので、挨拶ができなかったのが心残りでなりません。
しかし「テゼレッター」さんと、以前も戦った「ジェスカイ・コントロール」使いさん、それに晴れる屋の店員さんが私服に着替えて残っており、ちょうど模擬戦をしていました。
もう夜の9時近く。いつもと違って、お店は静か。
対戦の様子を環境音楽代わりに聴きながら、僕は同じ長テーブルで「ドゥームズ・デザイア」のパーツを抜き、通常の「アーボーグ型ドゥームズデイ」に戻すという作業を始めました。
付箋に《精神の願望》と書いたプロキシを抜いて、土地基盤をもとに戻して……。
細かな妨害の枚数や選択などは手持ちの関係でベストとは言えませんが、一応は元通りの形の「アーボーグ型」に。さらさらと手回しして、何度か初手の感触を確かめます。
うん、やっぱりいい。生まれたばかりの「ドゥームズ・デザイア」を活かせなかったのは申し訳ないけれど……こちらのほうが、しっくり来る。安心して、ほっと息をした瞬間をよく覚えています。
顔だけは知っていた店員さんと自己紹介をし直し、自分たち以外のお客がいない夜のショップで、まだ復帰勢の「ドゥームズデイ」と、まだ初心者の「テゼレッター」さんとの模擬戦。
1本目、2ターン目には《最後の審判》を撃つことができました。戦場には《島》と《沼》。《渦まく知識》は手札にはありましたが、《島》が寝ており、ターンを返すパイルを組みます。
「テゼレッター」さん、どうすれば良いか困っていたので、店員さんが《最後の審判》後の追放されたカードから、どんなパイルを組んであり、どんな対処がベストかを探る方法を教えます。
これが、「ドゥームズデイ」を使う側からしても本当に勉強になった!
できるだけ、ご紹介します。
まず丁寧に僕の許可を得てから、追放領域に公開されたカードを淀みなく並べていきます。
それから《最後の審判》や《暗黒の儀式》などのパイルと無関係なカードを除き、通常は4枚採用されているはずのカードを数え始めました。たとえば……《渦まく知識》が3枚しか見えていない。合理的な理由なく、これしか採用されていないと考えるのは不自然です。手札かパイル内にあると予想できます。
一方で《通りの悪霊》2枚など、「サイクリング」カードは複数が見えていますね。
また、「ドゥームズデイ」で一般的に採用される打ち消し呪文や手札破壊の枚数から、さらなる妨害を仕込んでいないかを読み取っていきます。
《意志の力》は4枚見えているかどうか? 他にも……追放領域の中には手札破壊がやや少ないようです。
さて。本来のライブラリーから消えている「5枚」のカードとは何でしょうか?
冷や汗が出ました。推理小説で、探偵に理詰めで追い込まれる犯人はこんな気分でしょうね。
僕が用意したパイルはこうだったからです。
《思考囲い》→《ライオンの瞳のダイアモンド》→《秋の際》→《考慮》→《タッサの神託者》
手札からの「《渦まく知識》」パイルを基本とし、《ライオンの瞳のダイアモンド》で手札が空になる無防備な瞬間を補うため、先に通常ドローで引いた《思考囲い》を撃ち込む、というのが僕のプラン。
ほぼ完全に正解でした。……お見事。
対処できるかは別問題だけどね、と付け加え、実際にそのゲームは僕が勝ったのですが……説明の巧みさもあって、すっかり聞き入ってしまいました。もの柔らかなのに、強者の凄みを感じて。
今度お店で出会ったときは、もっと敬意を込めて接しなければな。
僕もサイドボードのインアウトについて相談に乗ってもらい、自分だけで考えたより整った形にできたので、とても満足。《黙示録、シェオルドレッド》を《上天の呪文爆弾》で返されて最後は負けちゃったけど!!!
そのあとは4人で牛丼屋にいき、構築論から《ブラッシュワグ》《イシュトバーンおじ》の種族名ネタなどの「マジック」話で笑い合い。
牛丼屋に入ったの……何年ぶりのことだろう。10年ぶりに近いかもしれない。
それにみんな、若いのですよね。世代や生き方が違う人たちと同じテーブルで、同じ好きな趣味の話をしている。
それが不思議でたまらず、以前なら夢にも思わず、その夜の僕は……トッピング無しの並盛りしか食べられなかった。
このあとに「統率者戦」をやる日があるくらいです! というんだから、本当に若ぇなぁ。
その夜、家族が不在の1人の家で、僕はなかなか眠れませんでした。
疲れきっていたし、明日もあるのだから、少しでも寝たほうがいいとわかっていたのに。興奮しきった頭から熱が引いてくれず、反対に目が冴えてしまって。
けっきょく短い眠りをとることができたのは……何百回の寝返りを繰り返したあとか、数えることもできませんでした。
こうしてレガシー強化合宿、1日目は終わります。それでは、また。合宿2日目に続きます。
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