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行動する度に理想が遠のいていく現状をどう変えていくか、という話(文学フリマ東京38作品紹介)

2024.5.19(sun)
文学フリマ東京38 に出店します。
これは「自らが文学と思うもの」を出品する同人誌イベントです。
私、久納一湖のteam hattariは当日 第二会場【くー38】 にいます。
この記事では作品紹介をしていきます。ぜひ読んでみてね。
今回は『スティース・ライフ短編集』の紹介です。
web(カクヨム)にあがっている本編前後の出来事で、キャラクターにフォーカスさせた短編集になっていますので本編を知らなくても楽しめます。


1.作者の思い

きっかけは単純です。アジアのアクションスターに憧れているので、アクションが書きたかったのです。何度もボツってようやくこじつけたのがスティール・ライフでした。

ティーンエイジャーが爽快に悪党をなぎ倒す熱血物語も良かったですが、周囲の大人たちを見ていて「アラサーの話でも面白そうだな」と思い、大人主人公にしました。

大人になると、あきらめる選択肢が増える気がします。
特に組織内にいると「そういう方針だから仕方ない」とか「上司の指示だから」っていうしがらみだらけで、「本当はこうしたいのに」が言いにくい感じがしませんか。

全体に受け入れられる意見、大衆向けの無難なメニューしか考えられなっていく。もちろんすべての組織がそうではないと思いますが、現代の閉鎖的な思考と言うか、いい意味で安全策でいく、みたいな保守的な動きが日常に溢れているように感じます。
そこに置かれている大人たちはどうやって人生過ごしているのかな」と考えているうちに、キャラクターが生まれていきました。

子供の時は勢いでなんとかなるものが、なんともならなくなってくるのが30代という印象で「この状況を振りほどきたい!」と現状打破しようとしているのが主人公です。しかし、全くうまくいっていないうえに、どこかあきらめが入ってます。

普通の人間とちょっと違う生い立ちの主人公は、街で同世代を見かけると心の内で羨ましく思い、普通側に行くにはどうすればいいかと、理想と現実のギャップを酒で埋める日々を過ごします。そして現状打破のために戦うほど、理想の”普通”とかけ離れていく矛盾に彼は悩みますが、それでも動きます。
彼が今後どうやって理想を掴んでいくのか、みなさんのライフスタイルや考え方と比べて読んでみても面白いかもしれません。

2.あらすじ

舞台は近未来。メトロシティではオートマタ開発がすすみ、人々の生活に欠かせないものになっていた。一方で粗悪に改造された違法機がたびたび製造され、街を脅かしていた。
オートマタを監視する機関:事務局にいる主人公は、目付け役である琴平と共に、各地を転々としながら違法機を破壊する日々を送っていた。しかし彼は普通の人間でなく、オートマタ製造に利用すべく生み出された生体素材であった。自分が”破壊される立場”になり兼ねない中で、理想とする”普通の日常”を手にすべく、主人公は今日も戦う。

3.みどころ

4話収録の短編集ですが、おすすめは書き下ろし『ハードボイルドセレナーデ』です。web本編より4年くらい前の出来事です。
出会ったばかりの相棒や死神のような目付け役(監視者)との関係性に変化が生まれるターニングポイント的なお話です。
ここで主人公は、自分がいかに”人間的でないか”現状を突きつけられてしまいますが、最終的に自身に「まだやれるか?」と問いかけます。こんな目にあってもまだ理想のために戦うのか、戦えるのかと。
もう止めるか、まだ進むか。彼の答えはぜひ本誌でお確かめくださいませ。

4.さいごに

ドライな人間関係が繰り広げられつつも会話がコミカルなので、読みごたえは軽快です。
参考までに過去にいただいた感想を少し紹介すると「ハードボイルド、サイバーパンク、洋画みたい」でした。ありがとうございました。
そして想像力を掻き立てる最高のイラストはハルサカ様に依頼しました。主人公くんです。応援よろしく。

本の詳細

『スティール・ライフ短編集』
収録
・ファーストコンタクト
・ハードボイルドセレナーデ(書き下ろし)
・フクロウは迫りくる黄昏に飛び立つ
・余談ですが、彼について私はこう思う

SFアクション
文庫164ページ
2022/11 発行


ブース情報

team hattari
第二会場【くー38】

こんな感じで紹介させてもらいました。
ではでは。
会場でお待ちしております。当作品以外も用意しますよ。

文学フリマの詳細は以下より。

※今年から入場料¥1000がかかります。前もってのチケット購入をおすすめします!
https://bunfree.net/event/tokyo38/


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