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手付かずの本たちにも愛着を

2023 9/3

たしか中学生の時。背伸びして三島由紀夫の小説「金閣寺」を読んだことがある。金色の表紙をめくってペラペラと読んでいたら、中学生のぼくには何を言っているのかわからなくて、面白くないとベッドの上に放り投げてしまった記憶がある。

そして今日、あの時の金閣寺が本棚の隅に置かれているのを見つけた。手にとってみると、中学生の時に読んでいたのと本当に同じ本なのかと思うほど面白かった。

あの日金閣寺を放り投げてから10年の間に、ぼくは家を離れ、引越しを2回し、新しい友達もできた。中学生の時から何も変わってないなと思っていたけれど、どうやらそうでもなかったらしい。

小説も音楽も映画も、見る人の時々によって変わってしまうのだろう。今日面白くなくても、明日見れば面白いかも知れない。だからこそ、今面白いと思えたこと、それはとても貴重な体験なのだと思う。名作だからと勧められた作品が自分に刺さらなくても心配することはない。死ぬまでに面白いと思えたなら十分だ。そう思えば買ったものの読まずに本棚の隅に追いやられてた本達も愛しく思えてきた。

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