記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 全体感想&考察、振り返りなど ① ※ネタバレ注意

この記事には現在上映中の機動戦士ガンダムSEED FREEDOMのネタバレが含まれます。ご注意ください。
※内容はあくまで筆者の個人的な感想、考察です。
※あまりにも長くなったので分割しています。


2024年1月26日。
世間的にはなんてことはない日かもしれないが、一部の人間にとっては極めて重要な日であったことは想像に難くない。
約18年の年月を掛けた作品である機動戦士ガンダムSEED FREEDOMが上映された日である。
当時のファンはもちろん、後からファンになった人も、とりあえず見ておこうと予習した人も、或いは完全初見の方も、皆一様に熱狂に包まれたに違いない。
ちなみに筆者は、機動戦士ガンダムSEEDの第一話の放映当時から見ていた、いわゆるリアタイ世代である。
加えて言うなら、自分にとって最高のガンダムはSEEDだ! と言い切ってしまえるほどのSEEDファンである。その続編のDESTINYも当時から大好きだし、ASTRAYもSTARGAZERも好きである。
もちろん他のガンダムも好きだ。だから、どれが劣っているとかそういう話をするつもりはない。
あまりにも感想が書きたくて書きたくて、誰にも読んでもらえなくてもいいからとりあえずネットの海に放出しておこう、ぐらいのノリである。
そのことを踏まえて、読んで頂けるとありがたい。


さて、まずは全体の感想から始めよう。
この映画を見終わった感想は、

最高!

この一言に尽きる。
だってめっちゃ面白かったもん。
最初から最後まで最高すぎた。
迫力ある戦闘シーン。めっちゃ激しく動くモビルスーツ。
西川兄貴のFREEDOMで始まる開幕から、懐かしくも新しいBGM、途中で挟まる中島美嘉さんの望郷。追い打ちとばかりに流れるミーティアで、最後はSee-Sawの去り際のロマンティクスという完璧すぎた音楽面。
アベンジャーズかよと言いたくなるレベルのメイン&サブキャラを網羅したオールスターメンバー。
大量に散りばめられたSEED、DESTINY、そしてガンダム作品のオマージュ。
デスティニープランへの回答。
そして、これまでのシリーズを踏まえた新しいキラたちの物語。
ゲームでしか実現していなかった、キラ、アスラン、シンの共闘。
これが最高じゃないわけがない。
しかもこれが18年待った後に出されたワケである。
感動するし興奮するのも致し方ないことだ。
あまりの面白さに、おかわりを超えて三回目まで一日で見ちゃったのは、たぶん筆者だけではないだろう。
ちなみに、筆者は六回視聴済みだ。特典や4DXの関係でもっと増えるに違いない。


早速、どう最高だったかを場面を振り返りながら書いていこう。
思い出しながら書いているため、間違っていたり、シーンの前後が逆になっていたりするところもあるだろうが、大目に見て頂きたい。
個人的なチョイスのため、触れていないシーンがあることも留意して欲しい。

映画は、まずデュランダル議長のセリフと金髪の男が映るところから始まる。意味深なセリフだが、この時点では具体的に何を意味しているのかははっきりとしない。
そして次に戦闘シーンへと切り替わる。
ミサイルが撃たれて、モビルスーツが発進する。
馴染みのウィンダム。そして、105ダガー。
そう、105ダガーである。
初出はSEEDMSV、つまりは外伝の登場がメインの機体である。SEED本編には登場しなかったが、DESTINYだと基地防衛に駆り出されているシーンが存在する。
ただし、本編で名前が呼ばれることはない。
105ダガーの存在を知りたければ、自発的に調べないと無理である。
この機体のチョイスが嬉しいのだ。

そんなちょっとレアかつ型落ちの機体を駆り出して、ブルーコスモス残党がザフトの地区に攻め入る。ザフト側も迎撃する。
ジン、ザウート、ディン。
どれも旧式である。特にジンに関しては、DESTINYでも完全にお役御免といった様子だったが、ここではメイン戦力のように展開されている。

そして場面がミレニアムへと切り替わる。
既にこの時点で筆者のテンションは爆上がりである。
まず説明文。
スーパーミネルバ級強襲揚陸艦ミレニアム。
そう、ミネルバの改良艦だ。
アークエンジェルとインフィニットジャスティスの連携攻撃で、無念の敗北を喫したあのミネルバである。
水中に潜れなかったり、上方への攻撃オプションは薄かったりと弱点はあっったが、アークエンジェルに匹敵するほどの多大な戦果を挙げたあの戦艦をモチーフとした新造艦の中で、シン、ルナマリア、アグネス、ヒルダ、キラが登場する。

が、待って欲しい。既にここまででおかしい。
注目するべきは整備班だ。
ちらほらと作業に当たるメンバーはかつてミネルバに乗艦していた顔ぶれが混ざっている。
シンとフレンドリーに会話していたヴィーノとその上司であろうマッドだ。髪の毛が特徴的なヴィーノと比較して、あまり活躍のないマッドを覚えてない人は多いかもしれない。
筆者もちょっと忘れてた。ごめんね、マッドさん。
それと、最初に艦内アナウンスをしていたのも恐らくアーサーだ。
などと、前作のサブキャラが出てきた後で、発進シーンが始まる。

アグネスのギャンシュトローム、ルナマリアのゲルググメナース。
イモータルジャスティスのシン、ライジングフリーダムのキラ。
上映前に予想はできていたが、実際に目にするとやはり驚く。
シンがジャスティスに乗っている。
あのアスランの機体にである。本編でのやり取りはもちろん、二人は相性が悪い、とDESTINY終了後のドラマCDではっきりとしていたのに、シンは不満を漏らす様子もなく出撃する。
そして最後に出撃するライジングフリーダム。

バックで流れ始める西川兄貴のFREEDOM。そしてタイトルがバーンと出る。
テンションが上がらないわけがない。
何より、ずっと見たかったのにゲームでしか見れなかった、キラとシンの共闘がようやく見れるのである。
大気圏へと突入し、戦闘へ介入。
世界平和維持機構コンパス、とキラが名乗りを入れ停戦を呼び掛ける。

コンパスはさながらロンド・ベルである。
SEEDがファースト、DESTINYがZをモチーフとしているので、劇場版であるFREEDOMに逆襲のシャアの要素が加えられることは予想できていたことだった。
本格的にコンパスが戦闘行動を開始すると、映画のPVでぶいぶい言わせていた奴が登場する。
デストロイだ。ステラがベルリンを焼いただけでは飽き足らず、冗談みたいに量産しまくったサイコガンダムがモチーフの凶悪な機体である。

当たり前だが、現地のザフト戦力では太刀打ちできない。
DESTINY時代の機体でも並みのパイロットでは蹂躙されるだけなのに、実弾武装がメインのジンでは勝ち目なんてあるわけがない。
その凶悪な機体をライジングフリーダムが攻撃する。
DESTINYにおけるベルリンの時のようだが、パイロットはステラではなく、あの時逆上して攻撃してきたシンは味方だ。
キラは着実にデストロイを処理する。この時点で戦闘シーンは満点のできである。

その間、シンは出る幕ないじゃん、と愚痴ながらも、敵機の急所を避けながら攻撃する。まるでキラの真似のようだ。
実際、パンフレットではキラのような不殺戦法で戦っているとされている。しかし、どこか動きがぎこちない。
対して、アグネスは手柄に飢えているかのように、105ダガーにトドメを差す。
デストロイが沈黙し、形成が逆転した。
ブルーコスモス残党は撤退していく。

すると、ザフト側が反転攻勢に出始めた。
コンパスの目的は平和を維持することだ。ザフトといっしょになってブルーコスモス残党を殲滅するのは任務外だろう。
この戦闘の主犯格であるミケール大佐がいるとザフトは主張するが、キラはいないと説得する。しかしザフトは聞く耳持たない。
市民の避難も完了していないのに、そんなの知らんと進軍するザフトに対しキラは攻撃。
その姿はかつてのフリーダムのようだ。戦闘を止めるため、両軍に攻撃を加える。
ここのレールガン射撃と斬撃シーンは圧巻である。
フリーダムが敵機に睨みを聞かせながら、戦闘は終了する。
筆者は最後に盾が戻ってくる演出が大好きだ。

次に登場するのはアークエンジェルだ。
ムラサメ改が現地の救助する作業の後、キラたちが乗艦許可をマリューたちに求める。SEEDの序盤でムウが誰か乗艦許可くれよ、と困り果ててた時とは違い、スムーズに許可が取れる。

ちなみにムウさんは筆者がシリーズでも一、二を争うくらい大好きなキャラなので、無茶苦茶テンションが上がっている。

この時のセリフで、前回のザフト軍は、危うく軍事境界線を越えるところだったということがわかる。ただでさえ仲が良くないザフトと連合が争ってしまう火種になっていた可能性があるのだ、と。
つまりあそこで進軍していたらブルーコスモスが喜んでいただけだったのだ。
ムルタ・アズラエルのやったー!のシーンがなんとなく脳裏をよぎる。

その後はアークエンジェルがローエングリンを発射して、MS部隊が宇宙に上がるシーンが挟まる。
SEEDの、オーブでアークエンジェルとクサナギが宇宙に上がる時にやったアレだ。
久しぶりのローエングリンを見れてウキウキした後、舞台はプラントのアプリリウスに移る。

次は、メインヒロインであるラクスの登場だ。しかしキレるおじさんの主張を聞くという可哀想な役回り。
福田監督曰く、この時のラクスは夕飯のことを考えてやり過ごしていたらしい。しょうがないよね。

会議が終わった後、エヴィデンス01……ファーストコーディネイター、ジョージ・グレンが持ち帰った宇宙クジラのレプリカを素通りし、ブルーというトリ型ロボットとじゃれ合いながら、ラクスはキラについて議長と会話する。
不思議な男と語る議長と、いつか壊れてしまいそうだと心配するラクス。

元々、ラクスはキラが戦うことを好ましく思っていない。SEEDの時は力が必要だからとフリーダムを授けたが、DESTINYではキラが戦わなければならない時に、泣いて拒否していたほどだ。そんなキラに、ラクスは自分もいっしょに戦うと浜辺で宣言するシーンが挟まる。
いや、この後だったかな。ここら辺のシーン転換はちょっと自信がない。

次はラクスとカガリの会話シーンだ。カガリの声優は何らかの事情により変更されてしまったが、思いのほか違和感なく受け入れられた。ミケールの所在やファウンデーションショックという話と共に、さりげなく会話にぶち込まれるフリーダム強奪事件というパワーワード。

どうにも本来はOVAとして用意していた話が実現できなかったらしい。しかし売り上げ次第では何らかの形で出る可能性が高いということなので期待しておこう。

シンがルナマリアと会話している。回想でスペシャルエディションとHDリマスターで追加された和解シーンが当時の映像のまま挟まる。
シンはキラに驚くほど懐いている。かつては殺し合いこそしたし、ステラのことで頭がいっぱいだったシンだが、彼は本質的には優しい子だ。
自分がやったことにきちんと責任を感じていただろうし、恨まれていてもしょうがないと考えていただろう。しかしキラはいっしょに戦おうと言ってくれた。そのことに深く感銘を受けているようだ。
そこへアグネスがやってきて、フリーダムキラーという単語が出てくる。

エンデュミオンの鷹のような異名だ。自軍のプロパガンダ用の意味合いが強いため、ムウは自身の異名を気に入っていなかったが、それはシンも同じだろう。
そんなシンに対し、月光のワルキューレという異名を気に入っているアグネスがシンは所詮、デュランダルのコマだと煽る。キラはあんたを信用していないからジャスティスを寄越せ、と言う。シンはショックを受ける。
しかしキラが、そんな理由で信用しない、ということはあるだろうか。
そんなこと言い出したら、アスランなんて全く信用できなくなるし。

その後、キラとラクスの邸宅に移る。ノリノリで揚げ物を作るラクス。作り過ぎじゃない? とはみんな思っただろう。監督曰く、これは自分に構ってくれないキラへのちょっとした嫌がらせだとか。かわいい。

ここでピンクハロも初登場する。懐かしい。連絡が来てノリノリのラクスは、今日は残業というキラの報告を受ける。
場面はキラ側へ。キラはなんかすごい秘密兵器のような物の元へ移動する。ここも胸熱シーンだ。
劇場版のお家芸である新型機のチラ見せシーンである。
しかし今まで……というか逆シャアや劇場版00と明確に違うのは、ガンダムではない、という点だ。
なんだこれは、と筆者がドキドキしている間に新キャラが登場する。

アルバート・ハインライン。めちゃくちゃ早口の技術者で、こいつはできる奴と観客に印象を与える。それもそのはず、ノベライズで明らかになったが、この男は初代フリーダムの設計者である。そんなイラつくハインライン大尉に協力を申し出る。

またラクスへと場面が戻る。が、これまたサービスシーンが挟まる。
夢の中で、ラクスが遠くへ行ってしまうキラに怯え、突如と湧いて出るオルフェに困惑するのだが、キラが来ている制服がザフトの白服である。
DESTINYのスペシャルエディションが初出の白服キラだ。劇場版の情報が出るまでは、ザフトに所属するキラの話だと思っていたものだ。
こういう部分がこの映画には散りばめられていて、それがものすごく嬉しい。
レアな格好のキラが退場した後、現在のキラが帰宅する。

懐かしいのと新しい写真が入り混じった作業机へ座り、チェックするのはデスティニープラン。かつてのキラは、その有効性を認めながらも、変わらない世界は嫌だとしてデスティニープランを否定した。しかし平和がなかなか訪れない現実に苦悩している。
議長の回想が挟まる。
そんなラクスを心配するキラ。

美味しそうな料理と共にピクニックをするキラとラクス。しかしするのは仕事の話。悲しすぎる。ちなみに筆者は二回目に見た時、木のクオリティの高さにたまげている。めっちゃすごいよこの木。ラクスはキラにファウンデーションの件を相談するが、キラは焦った様子だ。

場面はミレニアムへと戻りシンとルナマリアが会話している。
またファウンデーションの話へ。
ハーケン隊のマーズとヘルベルトがやってきて二人に絡む。
その後やってきたヒルダがルナマリアに抱き着き、セクハラだと言われる。ヒルダは放映当時は珍しかった同性愛者という設定がある。対象はラクスであり、スペシャルエディションでキラとラクスが抱き合った時は、驚く周囲の中で一人だけ顔をしかめていた。そんな彼女も吹っ切れたのか、ルナマリアにセクハラしている。
もっとも、セクハラは良くないし、ルナマリアはシンと恋仲なのだが、まぁみんな仲良しなので問題はなさそうだ。

唐突に挟まるブラックナイトスコードに、ストライクフリーダムが叩き斬られるシーン。
えっ、と筆者は初見の時声を漏らしかけたし、周囲からもちらほら聞こえた。

アークエンジェルとミレニアムがファウンデーションの街中を通る。街のスクリーンでラクスの映像が流れるのだが、筆者の見間違えじゃなければミーアも映っているのだ。
ここで少し違和感を覚える。
DESTINYの時点で、ミーアは偽者だと世界中に看破されている。無論ミーアの歌とダンスもファンを獲得するに相応しいクオリティだと思うが、だからと言ってラクスの映像と並べるのは良くないことではなかろうか?
デスティニープランと関係がありますよ、とも思える演出だ。

地上ではファウンデーションの面々に迎えられる。今回の新キャラ祭りだ。こいつらが敵なんだろうな、と思いながらラクスがオルフェと握手すると、謎のキラキラシーンに突入。注目すべきは二人の瞳で、まるでSEED発動状態のようになっているのである。
これまでSEED覚醒が使われていたのは戦闘状態だけだ。
日常の状態でSEEDの瞳が見れるのは新鮮である。
二人だけの世界は、キラの声掛けで終了する。何事もなかったように。

その後、邪魔者扱いする思念が、いわゆるニュータイプ音……SEED的には空間認識能力の描写と共に入る。
この音が嫌いなガンダムファンはいないだろう。日常生活でたまに脳内で鳴っちゃうのは筆者だけではないはずだ。
さらっとアスランも登場する。表の栄華とは裏腹に寂れた街並みの中で市民が銃撃される。その様子を見てアスランがどこかへ行く。
アレックス・ディノ時代のサングラスを掛けて。気に入ってるのだろうか。

ファウンデーションの謁見では、目立ったのはシンだろう。てっきり気に入らないから頭を下げなかったと思われていたシーンは、単にシンが遅れただけだった。上げ遅れるのもなかなか可愛いシーンである。ここでの説明でパルチザンとか言っているが、要はレジスタンスの意味だ。時代錯誤な言い回しをするアウラとの謁見が終わると、剣戟のシーンへ移行する。

ここで注目したいのは、シンには申し訳ないが剣術の方ではない。
まずキラは剣が使えないのは、軍事訓練をしていないせいだ。これはドラマCDでも言及されていた。
キラは正規の軍人ではないので、MSとせいぜいが拳銃による銃撃ぐらいしかできないのである。生身での戦闘はそのほとんどが物を投げたりするくらいだ。それでも素人よりは強いだろうが、まともな戦闘訓練を積んだ相手と、正々堂々の試合は分が悪い。
シンが怒ってシュラと戦う。止めようとするキラにムウがやらせてみろ、と促す。
そして負けてしまう。

その後、ムウは拳銃へと手を伸ばす。
SEEDのアフリカで明けの砂漠と対峙した時、ムウがキラに近づくカガリを撃とうした時と同じようにである。無論、あの時は本気で撃つつもりはなかっただろうが、今回は違う。
それだけシンのことを大切に思っているのだろう。
シュラがキラと問答をし、アグネスを褒めて場面が移行する。

楽しげなパーティが始まり、オルフェがラクスと踊り出す。シンはバカみたいに料理を盛って満喫している。しかしムウは警戒しているかのように、一人で酒を飲んでいる。SEEDでアルテミスに入港した時、先んじてストライクのシステムをロックしていた時のようなムーブメントだ。
キラにちょっかい掛けようとして失敗するアグネス。
ここで彼女は令和のクェス・パラヤなのでは、と思い始める。

庭園でラクスと会話するオルフェを目撃してしまうキラ。まるでSEEDの擦れ違いタイムのようだ。あの時は最悪な伝言ゲームにより最終的にフレイが闇堕ちしてしまった。
しかしここは固い絆で結ばれている二人。
ショックを受けるキラに気付いたラクスは、キラを追いかけるようにオルフェから去り、ミレニアム内での作業シーンになる。
嫌なことを忘れるように仕事に没頭するキラ。ここはSEEDの時からまるで変っていない。そこに懲りずにやってくるアグネス。

この時のアグネスの手を擦り合わせ、吐息を漏らすシーンの色気は凄まじいと思う。なんであんなに魅力的に見えるのか。映像と演技が素晴らしい。
アグネスはキラに迫るが、キラは振り払う。この時、アグネスはラクスがいることに気付いているが、キラは気付けない。

この、キラが振り払おうとする場面での表情の切り替わりが筆者はとても好きだ。
一度目の表情では不快感を示し、二度目は半分怒っている。そして、最後にガチ切れ。

しかし、外に出てキラの表情は反転する。ラクスが聞いていたことに気付いたからだ。
キラの中では、アグネスへの怒りよりもラクスの方が優先なのだ。
DESTINYでミーアの映像を見ていた時、一人だけ鋭い視線を向けていただけのことはある。
慌ててラクスを追いかけるキラ。そこへオルフェが邪魔をする。
そして、お前はラクスに相応しくないとキラに言う。ここでもキラはショックを受ける。ここでスッとオルフェがどういう人物なのかがわかる。

ついでに1ニコル。

キラはラクスを探し続けるが、オルフェに先を越されてしまう。まるで自分は彼女を全て理解しているとばかりに。そこで、コロニーメンデルのようなシーンが流れる。これまで不明だったラクスの母親のような人物がいるし、なんか情報量が多すぎるシーンだ。
キラがラクスと向き合っていたカットがオルフェに差し代わってもいるしで、混乱する。
微笑むオルフェをラクスはうっとりと見つめる。
それまで強さの象徴であったSEED覚醒状態の瞳が、まるで洗脳状態であるかのような印象を覚える。三度ショックを受けるキラ。

なぜか外にいるシンと部屋で薄着のルナマリア。具体的な言及はないが、まぁ何があったのかは大体想像がつく。なんならやり取りすら目に浮かぶ。
アグネスに言われた当てつけ的な流れだろうが、絶対シンはムードを大事にするタイプなので、それはダメだよルナマリア。

翌日、作戦会議へ。これまでの説明のおかげですんなり内容が入ってくる。

アークエンジェルの出撃シーン。ずっと見たかった奴!
ただ、ちょっと寂しいのはムウの出撃シーンがなかったことだ。まぁ尺の都合上仕方がない。
ヤマト隊とアークエンジェル隊が合流して、それぞれの役割を果たす。ちゃんと指揮官をしているムウが見れて感無量である。ネオの時の指揮はムウらしさとはかけ離れていたので、今回は自然な形で戦えて、心なしか活き活きしているように聞こえる。
恩着せがましく拾ってやったの俺だぞするパワハラ上司もいないし。

無双するライジングフリーダムに再びデストロイが襲ってくる。
しかし、明らかにジャンクな状態だ。とりあえず出せ感がすごい機体だが、一般市民への被害は凄まじい。そこへ追い打ちとばかり人間爆弾がさく裂。
これまでなかったタイプのテロ行為が起きて、キラとシン、ライジングフリーダムとイモータルジャスティスが共闘してデストロイを落とす。

これがずっと見たかった。ゲームでしか見れなかった、キラとシンの連携攻撃だ。
それを、二人が本格的に殺し合うきっかけとなったデストロイに向けて行うのである。感激しないわけがない。
もう二人はデストロイの件を完全に乗り越えて、仲間になっている。
そう感じさせる演出だ。

順調に進んだ作戦だが、ファウンデーションの介入が決まる。
にやりと笑うオルフェ。
と、急に妖気と微笑みのアレンジバージョンが流れ出す。
そして、上映前に話題になっていた闇に落ちろキラ・ヤマト!というセリフ。
すると、キラに異変が起こる。目は赤くなり、急にたくさんのラウ・ル・クルーゼの回想カットが挟まる。
そして、キラの視界の光景が変わる。見えるはずのないミケール大佐に気付くキラ。

シンやムウはキラの様子を不思議に思うが、キラは動き出してしまう。
それを見て嬉しそうに笑うグリフィン。腹立つ顔である。
声優はいわゆるゲスト枠の森崎ウィンさんで、違和感のない演技が素晴らしい。
これだけうまい演技ができるのに、ゲーム作品だと参加できない可能性があるのは残念である。

ユーラシアの軍事境界線へと近づくキラ。みんなが止めようとする。だが、制止は届かない。
それどころか、攻撃まで加えてしまう。
話し合いの結果、ラクスはキラを止めることに了承してしまう。
待ってましたとばかりに、攻撃を開始するファウンデーション。
タイミングが良すぎるジャミング。
そしてジャミングの分析を聞いて即座にルナマリアを発進させるコノエ艦長の有能さが光る。

正気に戻ったキラが愕然とする。脳内で煽ってくるブラックナイツたち。あのキラの技量をもってしても劣勢に追い込まれる。
上映前の予想では、主人公たちに誰も勝てないだろうと言われていた。
キラとアスラン、シン、ムウ、ルナマリアがいるチームに勝てる相手なんていないだろうと。
しかし、最新鋭機のライジングフリーダムを、ブラックナイツが追い詰めていく。

途中、シンが空間認識能力を発動する。対して、近くにいたムウは気付かない。
ニュータイプと空間認識能力には差異がある。
ニュータイプは時として不可思議な力を使うが、空間認識能力は相手の位置や思考、攻撃を読み取るのがせいぜいだ。加えて、オンオフが可能という点もある。ムウとラウぐらいに結びつきが強い相手でもない限り能力は自然と発動しないのだ。
対象も、自分自身か、意識して注意を向けている相手に限定される。

つまり、シンはずっとキラのことを心配していたのだ。あの場にいた誰よりも。だからピンチに気付けたんじゃないかと筆者は思う。
ムウも心配していただろうが、彼の指揮下にあるムラサメ隊も現場の混乱のせいか被害が出ている。ずっと背中を預けてきた信頼のあるキラよりも、ムラサメ隊への援護が優先してしまうのは仕方ないことだ。

だが、そんなシンをブラックナイトスコードが阻む。シンは間髪入れず射撃。キラが襲われているとわかっているので、躊躇いはない。
だが、ビームが効かない。
フェムテク装甲、という未知なる装甲だ。フェイズシフトのビーム版、と言ったところだろうか。
シンとヒルダがミサイルにやられる。二人ともエースパイロットなのにだ。
ムウとマリューが罠だと気付く。この時やっぱりかと言っているムウは流石だ。SEEDの時から持ち前の観察眼と優れた空間認識能力の恩恵で、いつも最悪の事態を予期していた。
そして発射される核ミサイル。
それを目撃したアークエンジェルが襲われる。
SEEDの時からずっとアークエンジェルを守ってきた、キラとムウがいない状態で、である。次々と武装が壊される。ノイマンの操舵とアークエンジェルの迎撃システムを用いても防げない。
全員が追い詰められていく。

途中、ルナマリアが核ミサイルを撃ち落とすシーンが始まる。射撃苦手なのよね、と言っていたルナマリアの狙撃シーンだ。
かつてルナマリアはオーブでの戦闘の折、ジブリールの乗るシャトルを撃てなかった。
しかし今回は違う。
見事狙撃に成功して、沸き立つ艦内。
だが二発目の軌道が変わってしまう。いつぞやのように、ええーっと驚くアーサー。
ルナマリアは奮闘するが、どうしようもない。
ミレニアムは水中に潜行して核攻撃を回避する。
そう、潜ったのだ。
ミネルバの弱点の一つを、ミレニアムは克服していた。
地上でアークエンジェルに敗北したのは潜れなかったせいなのが大きい。
核攻撃のインパクトで薄れてしまうが、進化を感じさせるシーンなのだ。

そして、DESTINYでジェットストリームアタックを行い、無双していたマーズとヘルベルトの撃墜をもって、観客の肝を冷やす展開が始まる。
エースパイロットの二人があえなくやられて、今度はアークエンジェルが不時着する。
総員退避ー!と叫ぶマードックさん。ストライクブースターを使った時と同じセリフと動きをして、クルーが逃げていく。
その後、ブリッジでノイマンやチャンドラが退避。
最後まで残ったマリューさんが逃げようとした時、ブラックナイトスコードがブリッジに狙いをつける。

シリーズで一番印象深いと言ってよい、舞い降りる剣のオマージュシーンだ。
しかしあの時とは違い、キラは交戦中だ。他ならぬフリーダムの発展機で、追い詰められている。
不可能を可能にしてきたムウも、最前線にいる。
後方のアークエンジェルが襲われることは想定していない。
急行こそしているが、間に合わない。

ビームがブリッジを貫く――刹那、マリューは脱出システムを起動させて緊急退避する。
そして、見たくなかったシーンが始まった。
二度の大戦をも生き延びたアークエンジェルの艦橋が吹き飛ばされ、大量のミサイルが降り注ぐ。

そこへ、お前らあああ!と叫ぶムウがビームを撃ちながら突撃。
このセリフの観客とのシンクロ率は相当に高かったと思われる。
アークエンジェルに思い入れがある人も多かったはずだ。筆者も、ジージェネなどのゲームでメインの母艦とするのはいつもアークエンジェルである。
しかしブラックナイトスコードにビームは効かない。加えて、分身と残像を伴う超高速移動もできる。さらには、ムラサメ改はただの量産機だ。
流石のムウの腕前であっても、太刀打ちできなかった。
あっさり右腕を切断される。くそーっと叫ぶムウ。PVのシーンだ。

えっ、死ぬの、と筆者はハラハラした。
だが、PVとは違う部分があった。
空間認識能力が発動していた。
追撃してきたブラックナイトスコードをバルカンで迎撃するが、どうしようもない。あっさり頭部を破壊されて、コクピットが斬られる――瞬間、ミサイルもしくはグレネード的な武装で迎撃する。
ここはキラやシンたちとはまた別ベクトルの神業だと筆者は考えているが、語ると長くなるので今回は割愛する。
もうこのシーンだけでムラサメ改が欲しくなるくらいだ。
落下していくムラサメ改。
ムウが墜落するのはネオ時代も含めてこれで五度目だ。
不思議と安心感がある。

同タイミングでシンがブラックナイトスコードにやられてしまう。
このシーンを、筆者はDESTINYの悪夢のオマージュだと考えている。
かつてのフリーダム撃墜回では、キラがやられるより先にアークエンジェルがミネルバに撃たれている。
キラが気を取られた瞬間に、シンがエクスカリバーで突っ込んできたのだ。
まさにあの時と同じように、シンがアークエンジェルの爆発に気を取られた瞬間、グリフィンにイモータルジャスティスが切断されてしまう。
まさに悪夢だ。シンは危うく死にかけたが、ヒルダに助けられる。

その間、ライジングフリーダムは、シヴァにぼこぼこにされている。結構しのいではいた。だが、一番有効な射撃武装であるレールガンを切断され、羽も破壊されているので機動力も低下している。
そして、ダメ押しとばかりに隠し武器であるニードルガン。
まだ詳細は明かされていないが、これはフェイズシフト装甲殺しの武器だろう。ライフリが核動力かどうかは不明だが、エネルギーの使い過ぎで一時的にフェイズシフトダウンが起こるのは昔からある設定だ。フェイズシフトダウンが起きて、コクピットを襲うニードル。
キラは反射で避けるが、アグネスが追い討ちする。

脱出したキラが、自分に刃を向けるアグネスに驚く。
逆シャアで、クェスに拳銃を向けられたアムロのように。
トドメを刺されそうになった瞬間、爆発が起こる。
察しの良いファンなら誰が来たのかはすぐわかったはずだ。
ただ、問題は機体だ。
筆者はコアスプレンダーのミサイルが飛来したのかと思っていた。
事前公開されていた機体の中で、彼が乗るならインパルスだと思っていたのだ。
だが違った。

「ま、間違いない、奴だ、奴が来たんだ……!」

「間違いない……! あれは――アスランだ!」

まさかのズゴックである。

しかもどこかで聞いたことあるような、でも新規のBGMを引っ提げてきた。
背中にごちゃごちゃついているが、正面の図はまんまズゴックである。
それにゆったり立ち上がりモーションまで完備。
シリアスなシーンなのに笑わせに来ている。

その間に、ムウがマリューを回収する。これも結構熱いシーンだ。
いつも帰りを待っていたマリューを、今回はムウが迎えに行っている。
加えて、ムラサメ改の機動性能の高さにも驚く。
頭部と右腕部を失っても、変形能力に支障がないのはすごい。
ますますフィギュアが欲しくなる。早く出してくれバンダイさん。

アスランはシュラと交戦するが、彼をしてもシュラは倒せない。
というかこのズゴック強すぎない?俺の知るズゴックじゃない。
と、意表を突かれていると、シュラが撤退を始める。
アグネスを連れて行く。逆シャアの時のシャアのように。
いや、シャアが二人いるのかこれは? 一体どうなんだ?
筆者を置き去りにして、アスランたちも撤退を開始する。

SEEDのアラスカ基地のサイクロプスのような爆発と共に撤退シーンへ。
核爆発にアークエンジェルが巻き込まれ、最期の時を迎える。
キラが舞い降りなかったこうなっていたのだろうな、と思いつつマリューにヘルメットを被せて必死で退避するムウと。
悲壮感に溢れながらも、ヒルダにラッキースケベするシンが映る。
ん……? となる。
ラッキースケベという単語が生み出されたきっかけは他ならぬシンだ。
DESTINYの一話でステラとぶつかり、ちょうど胸を支える形となったシンを、ヨウランがバカにしたセリフがラッキースケベだったのだ。

小ネタが満載過ぎて、楽しすぎる。
ガンダムSEEDとDESTINYが好きでよかった、とこの時点で思えているが、この映画の本番はここからだ。


②へ続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?