テレビ局の炎上動画を見て思ったこと
ご訪問ありがとうございます。
今回は、最近炎上したフジテレビアナウンサー陣の動画を見て感じたことを書いてみたいと思います。
動画の内容と感想
ご覧になった方も多いかと思いますが、内容的には新人アナウンサーの容姿を先輩アナウンサーたちがイジるというもの。
公式Youtubeの制作側としては、和気あいあいとした雰囲気をアップしたつもりが、それを見た視聴者からは「イジメではないか」と大炎上しています。
私もこの動画を見ましたが、イジリを超えて不快に感じました。話している内容だけではなく、身振り手振り、3対1の構図、表情や仕草も含めて、直感的にそう感じました。
内側の視点に立って想像してみると
テレビ局勤務の方の話を聞いたことがあるのですが、話を聞く限りかなり特殊な職場環境と言えます。
まず一番は、勤務時間が不規則であること。一番というか、全てはそこに端を発しているように思います。
朝のニュースは夜中に出勤して未明から準備、夕方のニュースも一般職で言う「定時を過ぎてから」が始まりです。当然帰宅時間も遅くなります。
放送時間は数秒のズレも許されないため、スタジオには緊張感が漂い、怒号が飛び交うこともあるそうです。
台風や地震などの災害時には夜中でも緊急招集が掛かります。27時間テレビなんて、体内時計/脳内ホルモンは狂いまくりでしょう。
このような環境で長年一緒にアドレナリンを出しながら苦楽を共有していけば、自然と何でも言い合える、何でも言ってしまう関係性が形成されていくのでしょう。体育会系の部活なども同じような感覚でしょうか。
他人がどう感じているかなんて分からない
しかしたとえ普段からそう言った関係性であっても、あの場面でイジられた上垣アナがどう感じているかなんて誰にも分かりません。自分がイヤだと言えば場の空気や関係性を壊してしまうということにもなりかねませんから。
それと人は集団になると、より残酷になると言う事。「みんなイジってるし多分大丈夫だろう」という安易な思い込みが、容易に人を傷つけてしまいます。1対1で話していたら、あそこまでのやり取りには至らなかったでしょう。
それに百歩譲って本人が嫌がっていなかったとしても、それを見た視聴者の中には自身の(不快と感じた過去の)体験と重ねてしまう方がいます(私にもそういった経験があります)。
私は普段精神科医をしているのですが、「人の痛みがいつか本当にわかる日は来るのだろうか」と、いつも思っています。
自分が経験してきた痛みや辛さであれば何となく想像できるのですが、うつやパニック、PTSDや貧困、大切な人を亡くした人の気持ち、そう言った自分が経験していないこころの痛みや辛さは本当の意味では理解できていないと思っています。
今回の動画を見て「何が問題なのかわからない」という人たちは、実際に自分がそういったことをされた経験がない人たちなのかもしれません。
おわりに
ほんの数年前であれば話題にすら上がらなかったであろう今回の動画。
一つ個人的に救われたと思ったことが、今のこの時代ではああいったやり取りは許されない、という意見が大多数であったことです(時代が違えば世間も一緒になって笑って過ぎていた事かもしれない)。
それだけ、目に見えない人のこころの痛みに配慮しよう、という世間の風潮が感じられます。実は同じようなことで傷ついている方が、SNSなどを通じて声を上げやすい時代になったのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。