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ストーカーは精神科医療で治せるのか

ストーカー対策の現状

ここ最近、私の勤務する病院に、ストーカーで措置入院となったケースが複数あった。

措置入院とは精神科における入院形態の一つで、精神障害により自傷他害の恐れがあると(警察等が)通報し、県知事の命令で入院となる強制入院だ。

ストーカーは精神科医療で治せるものなのか、警察や司法の範疇なのか、ケースバイケースと言えるが、年々医療心理カウンセリング側に寄ってきている印象はある。

ストーカー行為の8割は警察の警告等で収まる、と言われている。逆に言うと残りの2割、警察が介入しても止まないケース、

介入したことで加害者の感情をより逆撫でしてしまうケースなどがある。言い換えれば、警察への通報だけではストーカー心理に対する根本的な解決には至っていないとも言える。

ストーカーのタイプと分類

「ストーカー病」の著者・福井氏によると、ストーカーのタイプは4つに分類される。

元交際相手や配偶者に対する「執着型」、親密な関係性が壊れた際にストーカー化するタイプで、逗子ストーカー殺人事件などがこれに当たる。破恋型という呼び方をしている専門家もいる。

2つ目は、芸能人や社会的地位の高い方など、ほとんど知らない相手に対して接触を図ろうとする「一方型」

3つ目は、執着型ほど親密な関係性にはなかったものの、一方型ほど赤の他人とも言えない人に付きまとう「求愛型」

つい先日の新宿タワマン前で女性が刺殺された事件がそうだろうか。(ただこのケースは単純なストーカー事件というよりは、頂き女子と貢いだ(搾取された)男性、という別の側面もありそうだ。)

4つ目は、「破壊型」、反社会性パーソナリティ障害を基盤とした、自己の欲求を満たすためにストーカー行為を行うタイプだ。池田小事件の加害者がそうであったと言われている。

精神科に入院になるストーカーは、先述のように警察官等の通報をきっかけに強制入院(措置入院)となるパターンがほとんどだ。

本人から自主的に、あるいは家族が連れてきて、「ストーカーを治してほしい」というパターンは私は聞いたことがない

当院に措置入院となったストーカー患者さんは、今はまだ妄想性障害や統合失調症といった方が多く、あえて先ほど述べたタイプに分類すると「一方型」に属する。

一見して言動が病的であるため、事件化する前に問題が表面化しやすく、病院につながりやすいタイプだ。

危険なストーカーのタイプと対応法

対して、中々医療につながるキッカケがなく、警察の介入も効果なく、最終的に事件にまで至ってしまう危険性が高いのが、執着型と求愛型だ。

執着型は恨みを募らせやすい。というのも交際・結婚というのは、双方の同意で始められるものだが、

振られる際は一方が関係性を終わらせたいと思った時で、相手側は屈辱感不条理な感情を抱き安いからだ。積年の恨みを募らせ、傷害行為に及ぶこともある。

もうすでに脅迫行為や付きまとい行為にまで発展してしまっているストーカーに、被害者自らが接触し、なだめようとするのは大変危険だ。

警察に通報するのはもちろんだが、初動に時間がかかることもあるし、通報することで加害者の感情を逆撫でする危険性もある。

個人的にオススメなのが専門のカウンセリング機関に相談することだ。当事者間を仲介し、加害者・被害者の双方に連絡をとってくれるところもある。

警察介入に比べて、専門機関がストーカーと接触し話を聞いてあげることで「ガス抜き」になるし、

ストーカーの根本ともいえるその歪んだ認知に対して専門家が直接介入することができる。場合によってはそこから医療機関につなげることもできる。

その時々の時代背景や個々のケースによって多少の違いはありそうだが、根本的にはいつの時代も以前から、断続的にストーカー事件は発生している。

少しずつ医療カウンセリングが関わる機会が増えてきているように感じているし、また介入する余地(事態を改善する余地)もあるように思う。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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