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発達障害は不器用なのか〜疲れやすさとの関連も

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※3分で読めます。

発達障害の方で、字が上手く書けなかったり車の運転が苦手だったり、あるいは家事や料理が要領よく出来なかったり、姿勢保持がうまくいかない、といった方が少なくないかと思います。

発達障害(神経発達症)といえば、ASD、ADHD、LD(学習障害)の3つがもはや定番ですが、

先日、DCDという精神科医の間でもあまり馴染みのない神経発達症について、第一人者でもある中井先生(小児科医)の講演を聞く機会がありました。

今回はこのDCDを基に「発達障害は不器用なのか」というテーマについて考えていきたいと思います。

DCD:Developmental Coordination Disorder、発達性協調運動障害、いわゆる「ぶきっちょ」のことで、早くて5歳、主に小学生の頃に診断します。

ケンケンが出来なかったり、縄跳びや球技など体育が苦手だったり、文房具が上手く使えなかったり(消しゴムを使うと紙を破く、コンパスが使えない)、字が極端に汚かったり枠からはみ出したり(筆圧が強すぎたり弱すぎたり)、体の複数部分を協調させて動かすことが苦手な子たちを言います。

5歳より前の段階では、あくまで成長段階に個人差があると捉え、DCDの診断はしません

DCDは5-11歳の子供の、5-6%に見られます(DSM-5より)。5-6%というとASDよりも多く、ADHDと同じくらいいることになります(40人クラスに2.3人)

このDCD、ASDやADHDとの合併が多いことでも知られています(合併というよりも、神経発達症という病態/脳の機能として重複している部分が多いのかもしれません)。

・ASDの約40%(研究間によって30-80%)
・ADHDの約50%

DCDが合併していると言われています(ASDの約4分の3に姿勢制御などの軽微な運動障害あり、とのデータもあります)。

練習や慣れで解決する問題ではなく、小学生の頃にDCDの兆候があると、大人になっても50-70%は持ち越すと言われており、冒頭で述べた家事や書字、運転が苦手だったりします。仕事に関しても手先の器用さを求められるような仕事には向かないでしょう。

「発達障害は不器用なのか?」

この問いに答えるとしたら、発達障害(ASD /ADHD)にDCDが併存する可能性は子供の場合およそ2人に1人、大人の場合は(おそらく成長に伴う神経ネットワークの構築により)さらにその半分程度と言えるかと思います。

またDCDとまで言えなくとも、発達障害の方で字が汚かったり、手先が不器用だったり、あるいは姿勢保持が困難で疲れやすい、といった方が潜在的にはもっといるものと思われます。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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