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高知のお米事情

私は田舎の出身である。そして、その田舎は盆地にある。従って私の青春は田んぼのまんなかで繰り広げられていた。

いや、別に田んぼの中に入っていったわけじゃないけど。

小学生のときは見渡す限り田んぼの中、長い一本道を歩き、中学生のときはさらに田んぼの中の長い長い一本道を自転車で駆け抜け、高校生のときはもっと遠い駅まで田んぼの中の一本道を車で送ってもらっていた。集落と集落は一本道で繋がれている。どこにでかけるにもいずれかの田んぼの中の道を進む。つまり、稲の成長を毎日毎日見ながら生活する。

高知に来て驚いたのは田植えの早さ。地元では3月にもなるとそろそろ田植えに備えて田起こしかなーって時期にもう高知では田植えをしている。

地元で田植えをしたばかりで、まだまだ細い苗が田で揺れているとき、高知の苗はけっこうニョキニョキ育っている。

夏休みは、学校のプール開放のためにひさびさに田んぼの中の一本道を歩いて、しばらく見ない間に育ってきたとしみじみする時期だった。高知では早ければ7月下旬には新米が出回る。

体感的には、1.5ヶ月くらい高知の方が早い。高知では二期作が広く行われていたことや、新米を早くに流通させて販路拡大を狙うことから、早稲の栽培が盛んなのだそうだ。それに、台風の直撃も多いから、早めに収穫できるに越したことはないんだろう。暖かい気候を生かした生存戦略。さすが農業と観光が優秀な県。

関西圏でもかなり雪が降る地方出身としては、いつまでも暑いのはしんどい。田んぼを見ると季節感覚がずれる。でもそんな違いも、遠くから引っ越してきた人間の楽しみの1つだと思いたい。

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