投球中の肩の筋肉の活動

投球時の肩関節筋活動の比較電気生理学的解析 : プロ野球投手とアマチュア投手の比較

**抄訳**

本研究は、投球動作中の肩関節筋活動について、プロ野球投手とアマチュア投手の比較を行うものです。

**方法**

13名の被験者 (プロ野球投手7名、アマチュア投手6名) を対象に、投球動作時の肩関節周囲の12種類の筋肉の筋電図 (EMG) を測定しました。   被験者は全員、速球を投球しました。
投球動作は、450コマ/秒の高速度カメラで撮影し、EMG 信号と同期して記録しました。

**結果**

解析の結果、筋活動は大きく2つのグループに分類されました。

*  第1グループ (僧帽筋、上腕二頭筋、棘下筋、上腕骨三角筋、 Serratus anterior) : 主に投球動作の初期と終期に活動し、投球フォームの保持や肘関節の屈曲・伸展に寄与する。

*  第2グループ (小胸筋、広背筋、肩胛下筋、腹直筋) : 主に投球動作の中期 (投球動作の推進期) に活動し、投球時の腕の振り出しやボールの加速に寄与する。

プロ野球投手は、第1グループの筋活動を最小限に抑えつつ、第2グループの筋活動をより強く発揮することができました。 一方、アマチュア投手は、投球動作の全行程を通じて第1グループの筋活動を継続的に発揮していました。

**考察**

本研究の結果は、プロ野球投手は投球動作中に効率的に筋活動を使い分けることで、より速い球速を達成していることを示唆しています。

アマチュア投手が投球動作の全行程で第1グループの筋活動を継続的に発揮していることは、投球フォームの保持に過剰な筋活動が必要となっており、投球効率が低下している可能性が考えられます。

**結論**

本研究は、投球時の肩関節筋活動において、プロ野球投手とアマチュア投手間に違いがあることを明らかにしました。
プロ野球投手は、投球動作中に効率的に筋活動を制御することで、より速い球速を達成することができることが示唆されました

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