骨盤・体幹の球速への影響

この研究は、野球の投球において、投球速度 (PV) が重要であり、骨盤と胴体の動きが投球成績に影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、以下のことを目的としています。

* プロ野球投手における投球速度の違いと、骨盤と胴体の運動力学 (Kinetics) と運動学的 (Kinematics) 特性の違いを調べること。

* 投球動作の各段階における、骨盤と胴体の運動力学・運動学的特性と投球速度との関係を調べる事。


研究では、高速で投げる投手 (HVPs, 投球速度40.2 m/s 以上、71名) と低速で投げる投手 (投球速度39.8 m/s 未満、78名) を比較しました。

比較項目は以下を含みます。

* 投球速度
* 骨盤と胴体の最大角速度
* 運動エネルギーとトルク
* 肘と肩への負荷
* 投球動作の7段階における、胴体と骨盤の回転、屈曲、回旋

また、運動力学・運動学的変数と投球速度との関係も調べました。

研究の結果、高速で投げる投手は、以下の点で有利であることが示されました。

* ハンドセパレーション時の上半身の回転量が大きい (平均+7.2°、p < .001)
* 肘の伸展が大きい (平均+5.81°、p = .002)
* 上半身の最大角速度が大きい (平均+36.6 m/s、p = .01)

さらに、

・胴体角速度 (r = .29)、ハンドセパレーション時 (r = .18) と接地時 (r = .17) の上半身の回転は、投球速度と弱い相関関係を示しました。

この研究により、高速で投げる投手は投球動作の初期段階で上半身をより大きく回転させることで、結果として胴体角速度を高め、投球速度を向上させていることが示唆されました。

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