見出し画像

富山県 高志の国文学館 川端康成展へ行って来ました

 先週までの大雪が嘘のように晴れ渡る中、ドライブで富山県へ。立山連峰が美しい。
 富山県富山市にある高志の国文学館へ行ってきました。
貴重な原稿や書簡が見れる文学者の展示を見に行くのが好きな私はわくわく。

 川端康成の筆跡は、読めませんでした。すごくごにょごにょと丸めの癖の、強い筆跡で、それも細かく書かれているので、時折読める部分がある程度。
 最初に驚かされたのは、「十六歳の日記」の数ページ。小さめの、当時の日記帳にごにょごにょ文字でぎっしりと。これを解読される文学者や史学研究の方、編集者の方には脱帽です。14歳で孤児となり、頼る相手もあまりいなかったことが伺われます。その分、日記で自分の精神世界を作り上げて行ったのだな、と想像いたしました。
 川端の初期の文学は、横光利一などでおなじみの、新感覚派。『伊豆の踊り子』などが有名。だが、それ以降の後年の作品にも伺える、川端の美的デカダンスの傾向は最初から存在していたのだな、とふとそんなことを考えていました。
 新感覚派として名を共にしていた横光の手紙。2022年春に発見されたものだそうで、2人の仲については、詳しくは分かりません。

創刊を目前に控えた「文芸時代」について、菊池寛が気を悪くしていたが「もうすつかり癒つた」ことを伝えています。

高志の国文学館 没後50周年記念企画展 企画展示案内パンフレットより

 それから、太宰治が川端康成に宛てて書いたことで有名な芥川賞授与を懇願する手紙を見れたのは嬉しかったです。想像よりかなり大きめな巻物に大きく書かれています。太宰の大胆さも感じつつ、酒の勢いで書いたのでは???と邪推してしまうような書きっぷりが印象的でした。以前、青森の斜陽館でみた、兄にお金を無心する際の手紙も同じように大きめの巻物に似たような調子で書かれていたことを思い出し、太宰についてあまり明るくないので、もっと知りたいな、という気分にもなりました。
 あとは、川端が三島由紀夫に宛てた手紙も。「唯一無二の師友」という表現には弟子のような存在でありつつ、尊敬しても仕切れない、戦友への呼びかけに感じましたね、胸が痛みました。
 本当はもう少し、川端の精神世界を垣間見るだけの力があればよかったのですが、その点が少し悔やまれます。それでも、太宰と三島の書簡をそれぞれ見れたのは貴重な体験でした。
 それから、お土産コーナーで、講談社文芸文庫を2冊。おいおい読んでいきたいと思います。

 隣接するカフェでのフレンチのランチも良かったです。お立ち寄りの際は、ぜひそちらもどうぞ。

仁見

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?