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判定日付近のこころの動き【高度不妊治療#2】

前回の受診で思わぬ陽性判定を拝命した私。
その日の帰り道は、予定していた海鮮丼は怖い女医の指示どおりとりあえず変更して、オムライスを食べながら、少し冷静になった。やばい…全然実感がない。
本当に自分のお腹に…?いのちが?マジで言うてる?
とりあえず、夫に報告…いや…ちょ待てよ(キムタク)、昨日の夜中、「散々身体も時間も心も消耗して、陰性の判決聞きに行くワシの気持ちが貴様にわかるまい。」、「こんなダメ両親のところに、子どもが来てくれるわけあるまい。」と傷付け目的で壮大なフリをしたところなんだった。赤子よ、その節はスマン。オカン知らんかったんや。
ちなみに夫は、温厚&超ポジティブ野郎かつ私も基本的には自分で自分の機嫌を取るセルフごきげん女なので、普段は滅多にけんかしません。判定日前日、夫がオンラインゲームで夜中1時半まで騒いでて寝られなかったことを契機に、私の心の中の潜在的オータニさんの登板が急遽決まり、電気の消えた寝室にアホ面引っ下げてやってきた夫。そして暗闇の中165kmストレートの感情をぶつけられた夫は、、「ぐぬぬぬ…(これは雰囲気だがまじで聞こえた)…ごめんなさい…」と消え入るような声で呟き、3分後にイビキをかきはじめた。ええねんけど。別にええねんけどな。なんやねん。なんでやねん。やばない。サイコパスやん。
そんなわけなので、夫にテヘペロで報告するのは何か気に食わない。まずは、親愛なるバリキャリ親友(独身女子)に報告することにした。できすぎかつ愛に溢れる親友は、喜びとともに私に対する労いの言葉を盛大にかけてくれ、私の自己肯定感は昨今のマンション価格の如く爆上がり。我がバカ夫に対するフォローも忘れず、以降、毎日体調確認してくれてる。好き。付き合ってください。
そんなこんなで溜飲が横隔膜ぐらいまでグググと下がった私は、手土産を両手に、もともと約束していた実家へ。私には、鈴木雅之と同じ髪型の歳の離れた元ヤンキー兄がおり、アニ夫婦はヤンキーよろしく結婚は早かったが子どもはいない。かたや長女である私は出産適齢期にまさかの離婚、再婚はしたものの40歳目前。両親は、ワレラニマゴヲ!と量産型祖父母AIにはならなかったものの、心配していたと思う。元来世話焼きな両親は、適切な焼き先が見付からず、行き場のない祖父母魂を、この地域の繋がりの希薄化が叫ばれる昨今、ことあるごとに近所の家庭に食料品や料理をおすそ分けしまくるという半ば迷惑行為スレスレの所業で発散しているのを私は知っていた。帰るたびに近所の家に持って行かされるので。
私は高齢だし、妊娠出産は何があるかわからないので、安定期までは親にも報告しない人も多いと思うが、四十路前の出来の悪い娘と嫁に先立たれた一人暮らしの近所のおっちゃんにせっせと天ぷらをあげる両親を見ていると、何とも言えない感情が込み上げ、思わず報告してしまった。
父親はしみじみよかったなぁ〜と言い、母親はやったー!ばんざーい!と無邪気に喜んでいた。
なんかもう、これだけで。
これから先、妊娠が継続できるか、ぶじに産まれてきてくれるかわからないし、大変なこともいっぱいあると思うけど。じゅうぶん。ありがとう。
自分の中の静かな感動とともに、気付けば夫への怒りも排出されていた。そうこうしてるうちに、夫から帰ると連絡があったため、実家の最寄り駅で拾い、自宅まで一緒に帰ることに。夫は、実家に帰った私が、元ヤンキー兄を連れてきてボコられると思っていたようだ。ざまみろ。
ガン無視キメこんでた朝と異なる私の様子を察知した夫から、申し訳なさそうに「一応聞くけど、診察どうやった?」と聞かれ、「陽性やったわ。」と言うと、所さんばりに目をテンにしていた。続けて、「昨日は私の心の中のオータニさんがカチ込んだけど、まだ一緒に頑張ってもらわないとあかんくなった。よろぴく。」と言うと、夫は静かに頷いて、やれ最近は仕事が大変で態度に出てしまっていて申し訳なかっただの、でも仕事と家庭は別モンで大事にするだの言っていたが、おそらく反省の効力はこれまでの経過から6か月。モデルナか。でも何度でも言います。それも愛。たぶん愛。

明日で一応4週と計算するみたいだが、体調の変化はほぼない。ちゃんと生息してくれてるのだろうか…心配にはなるけど、次の診察まで気にし過ぎず、いつもどおり過ごす。
陰性マインドで予約しちゃってたので、髪の毛はブリーチして不良オバさん爆誕。2回目20年ぶり。しまってこー!


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