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【マンション売却♯1】

私達が交際を開始した当時、世の同世代が働き盛りを迎える中、夫はなんと無職だった。しかも、なんか超堂々としていた。でも、求職活動中は口臭やばかったから、彼なりにストレス抱えてたんだとは思ふ。
しばらくして、入りたい会社が見付かり、普通に面接を受けて未経験からの途中入社後、およそ4年で会社を引継ぐことになった夫。友人らには玄関開けたら2分で社長、4コマで描ける世界最短のサクセスストーリーと愛を込めて揶揄されている夫の昇進だが、四十路前のリアリスト女としては、それなりに不安も諸課題も山盛りなのである。
未来の生活は、私がまぁまぁ安定した職に就いていることもあり、今後も私が働き続けることでほとんどのリスクは吸収できそう。休職中やけど。不妊治療中やけど。
仮に夫の会社が傾いたら、サイアク離婚すればいいや、社長夫人からのバツ2とか、パンチライン効きすぎてる、憧れの夏木マリ先輩ぽい!私の反対で夫が人生でやりたいことできないなら結婚した意味ねーしぐらいファンキーに考えている。問題は、現在抱えている財産、つまり負債の処分をどうするか。

結婚1年目にコロナ禍に見舞われ、どこもかしこも閉店、旅行にも行けず暇を持て余した我々は、来場者全員にクオカード2000円プレゼントという大脳辺縁系直結の報酬にひかれて、新築マンションの見学へ行くことにした。
ろくずっぽ検討も比較もしないまま、気付いたら契約していた。当時は結婚したばかり、夫も就職して半年も経っておらずで夫婦共有の貯金もなく、頭金無しの35年フルローンで何とか審査に通った。諸費用は私の貯金で支払った(後に折半した額を返してもらった)。あっぶね。
私達夫婦は、特に金銭面で危機感がなく、楽観的な価値観がわりと共通している。宵越しの銭は持たねえよとばかり、欲しい物があればすぐに買う。周りに高感度な人が多いからか、良いものの情報がよく入るため、家具や家電も必要最低限を考えずに無駄にいい物を揃えてしまった。家具も、突板は嫌、などと言って無垢材にこだわった結果、全ての家具は全員がヘビー級、結婚適齢期の女子との交際ぐらいゲキオモである。我が家は横綱がひしめく相撲部屋の様相で、私が引越し屋なら、この家は絶対に断る。
話は逸れるが、キャンプ道具もその最たるものである。一式を購入して2年、通算3回しかキャンプインしてない。
それだけではなく、キャンプへ行くため自家用車も買ってしまった。見るだけ見るだけ情報収集という呪文を唱えながら行ったのに、ディーラーで「オデ、今日くるま買う気する。」「あたいもだよアンタぁ。」となり、その日に買う超チョロ客dejavu。

夫の会社は都市部にあり、都市部は何でも物価が高い。家賃も駐車場も現住居の3倍である。
新たな場所で健康で文化的な生活を維持するには、購入したマンションの処分、車の処分(いずれもローンがバチバチに残ってます)が必須なのである。

困り果てた我々は、まずは購入したマンションデベロッパーの系列会社へ、売却について相談してみることにした。
〜つづく〜

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