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22. 認知症ファッション!?

認知症患者さんに、たまに服の着方を間違える人がいます。

私的には、肌着のシャツが裏返しであっても、まあいいかと思うんです。
ぱっと見では見えないし分からない。シャツの縫い目やタグが肌に当たらない方が、逆に着心地が良いのかも知れない。

しかしながら、ズボンの足を入れる穴に腕を通して上着のように着てしまう方がたまにいらっしゃいます。
そして、上の服をズボンのように履く人も。
本人も頑張って着たのでしょうが、やはりそこは直していただきたい。
他の患者さんの面会に来られているご家族の目にもふれますし、上の服をズボンのように履いて歩いているのは転倒の危険もありますからね。

今回は、こんなたまに見かけるファッションモンスター・キヨさん(仮名)のお話しです。

とあるお昼過ぎ。キヨさんが上下ともに斬新な(?)着こなしで歩いているのを発見。
スタッフが危ないからと、なだめすかしながら脱がせようとしていましたが、本人は嫌だと拒否。キヨさん、だんだんと声を荒げられて、不穏な空気になっていました。

ならばと私が「わぁ!キヨさん、今日はいつもと違って斬新な着こなしですね。やっぱりここのファッションリーダーはキヨさんで決まりですね!!」
とヨイショ!
そしてこの流れで
「お部屋でキヨさんの他のお洋服見せてもらいたいわー。キヨさんのセンスを私に勉強させてください。」
キヨさんはそんなことないわよ~と謙遜しつつも「いいわよー」と笑顔
二人でお部屋まで行って、「この服いいですね。ちょっと今の服を脱いで、コレ着てみてくださいよ」「このズボンもおしゃれ―履いてみて~」
「やっぱキヨさん似合うわ~!」2人でキャッキャ!ウフフと言いながら
なんとか気持ちよく、キヨさんの着替えが成功

キヨさんはきっと、自分の服装がおかしいと指摘されたのが腹ただしかったのかも知れません。キヨさんの中では、自分がちゃんとした服装であり、おかしい訳が無いという認識なのですから仕方のない事です。
認知症の方でもプライドはあります
相手のプライドを保てるような関わり方って大事だなって思った出来事でした。

おしまい。

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