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Mondnacht (月夜) リーダークライス op.39-5 / R.シューマン

Mondnacht (月夜) という曲は、夜の生命の神秘や自然との交わりに魅了されたロマンチックな詩人や音楽家にとって、大切なテーマを呼び起こします。ピアノと声が交互に親密なメロディーを歌います。16 分音符を永続させることにより、écritureの継続性が確保され、柔らかさと静けさがもたらされます。

リーダークライス op. 39-5

※ Écriture = エクリチュール
作曲に用いられる和声や対位法、 管弦楽法、楽式などの書法上の技術をまとめて呼ぶ音楽用語。作曲家の書法。

※ Heirat ; Ehe  = 結婚(ドイツ語)の意味
10小節目ピアノ左手
ドイツ音名:E(ミ) H(シ) E(ミ)

ピアニストを目指していたシューマンは、歌のみならずピアノにも雄弁に語らせています。曲中には EHE の響きが重なりながら下行する音型が何度も登場します。1840年にシューマンとクララが結婚、文学と音楽が結びついたように「天空が大地にそっとくちづけ…」するような場面が、暗号のごとく隠されています。

https://imslp.org/wiki/Liederkreis,_Op.39_(Schumann,_Robert)


Liederkreis(リーダークライス)作品39

ドイツの作曲家R.シューマンが1840年に作曲した連作歌曲集。ドイツ・ロマン派の詩人R.A.アイヒェンドルフの詩による全12曲から構成されています。

1  異郷にて In der Fremde
2  間奏曲 Intermezzo
3  森の対話 Waldesgespräch
4  静けさ Die Stille
5  月の夜 Mondnacht ☆
6  美しき異郷 Schöne Fremde
7  古城にて Auf einer Burg
8  異郷にて In der Fremde
9  悲しみ Wehmut
10 たそがれ Zweilicht
11 森の中で Im Walde
12 春の夜 Frühlingsnacht


作曲:Robert Alexander Schumann(1810-56)

ロベルト・アレクサンダー・シューマン
1810(0歳)
 プロイセン王国ツヴィッカウで誕生。
 実家は書籍販売・出版業
1816(6歳)
 私立の初等予備学校で学ぶ
1820(10歳)
 ツヴィッカウのギグナジウムに入学
1825(15歳)
 「文学サークル」でリーダー的存在に
1828(18歳)
 ライプツィヒ大学法科に進学する
 音楽に傾倒する日々
1830(20歳)
 ピアニストのヴィーク宅に住み込みレッスン
1834(24歳)
「新音楽時報」創刊、新たなコンセプトを出す
1835(25歳)
 クララとの交際が始まる
1839(29歳)
 交際に反対する父ヴィークを訴訟する
1840(30歳)
 結婚許可の判決が下され、結婚式をあげる

1840年 歌曲の年
1841年 交響曲の年
1842年 室内楽曲の年 
:
:
1854(44歳)
 ライン川に投身自殺を図る その後は療養所に
1856(46歳)
 死去  
 最後の言葉
「meine,…ich kenne… (私は知っている…)」


作詞:J. von Eichendorff(1788-1857)

ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ
1788(0歳)
 現ポーランド領のルボヴィッツ城で誕生
 爵位は男爵
1801(13歳)
 ギグナジウム入学
1805(17歳)
 ハレ大学で法学を学ぶ
1807(19歳)
 ハイデルベルク大学で哲学を専攻
1808(20歳)
 卒業後は遊学の旅へ
1813(25歳)
 ナポレオン戦争下で軍役に
 長編『予感と現在』を執筆発表

Mondnacht
Es war als hätt' der Himmel
Die Erde still geküßt,
Daß sie im Blütenschimmer
Von ihm nur träumen müßt.

Die Luft ging durch die Felder
Die Ähren wogten sacht,
Es rauschten leis die Wälder,
So sternklar war die Nacht.

Und meine Seele spannte
Weit ihre Flügel aus,
Flog durch die stillen Lande,
Als flöge sie nach Haus.

(Joseph von Eichendorff)

月夜
それは 天空が大地に
そっとくちづけしたかのようだった・・・
大地が 花の放つ微光のなか 
ただ天空を夢見ているさまは

そよ風が 畑をわたり
麦の穂を しずかに波打たせ
森が かすかにざわめく
そんな 星の澄む夜だった

そして私の魂は
翼をいっぱいに拡げ
静寂の国を飛んでいった
まるで故郷に帰るように

(ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、対訳:山枡信明)

山枡信明の世界 歌詞対訳 シューマン「月夜」Op.39-5 (coocan.jp)



●      Ritard. Ritardando = 
   en retardant le tempo(リタルダンド)
●      Un mordant (モルデント)
●      Un accord de 4 sons (4音和音)
●      Un appoggiature (装飾音符)
●      La tonalité de Ré Majeur (ニ長調)

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