弊社独自の「疑似・株主質疑会」というゲームが、人材育成としてめちゃワークしている。
こんにちは!
普段は「新規事業」にまつわるトピックで投稿をしているのですが、今回は番外編。
「疑似・株主質疑会」という弊社独自のオリジナルゲームが、人材育成としてめちゃワークしているという話を投稿したいと思います。
「疑似・株主質疑会」をなぜ始めたか
疑似・株主質疑会を、弊社では四半期に一度行っています。
これは、初めは事業部長の育成として行っていたのですが、実際に行ってみると、事業部長の育成以外にも様々なメリットがありました。(その様々なメリットについては、後述します。)
まず、始めた背景なのですが、僕が「新規事業」に専念したいという意図がありました。そして、僕が事業部長に居座り続けてしまうと、メンバーが事業部長に挑戦する機会を奪ってしまうということに気づきました。
とは言えど「じゃ!あとは任せた!」とテキトーな感じで任せて、結果的に事業の成長が止まってしまったら、事業部長の自尊心や評判を奪ってしまうし、会社全体の売上的観点としてもよくありません。
そこで、しっかりと事業部長を育成するために考案したのが、この疑似・株主質疑会でした。
そもそも事業部長に必要な要素って?
疑似・株主質疑会の詳細に入る前に、事業部長に必要な要素とはいったいなんでしょうか。
僕は「①説明責任を果たす力」「②事業内外の情報を正確かつ細かく把握する力」がまず重要だと思っています。これがないと、どんなに事業がうまくいっていても、結構危険です。
①の説明責任についてなのですが、会社は組織が大きくなっていくと、どんどんと「見えない」化が加速します。
たとえば、会社の役員が「事業っていまどうなっているの?」と状況が分からなくなったり、別事業のメンバーが「あの事業って何しているの?」となったり、とにかく情報の非対称性が加速してきます。
すると、特に上層部はめちゃ不安になります。あの事業部大丈夫かな・・・このまま任せていいのかな・・・実は事故ったりしていないかな・・・。
その後に起こるのは上層部の過剰な介入です。しかし、上層部はその事業部について決して詳しい訳ではなかったりするので、とんちんかんなアドバイスをしだしたり、それに事業部が振り回されたり、どんどんと「軋み」が生じていきます。
僕は、事業がうまくいっている・うまくいっていないよりも、クリアに現状を説明できる力が重要だと思っています。
クリアに説明ができれば、うまくいっている時は安心して任せてもらえますし、うまくいってなければ適切なサポートを得られます。
そして、説明責任を果たすには、②事業内外の情報を正確かつ細かく把握する力がセットになります。②がないと、説明の説得力がまったく生まれないですよね。
また、事業内外の情報を正確かつ細かく把握するの中でも、自分の事業の数字を把握するのは、もはや事業部長としては義務だと思っています。
これは「健康診断」と同様で、リアルタイムに数字を正確に把握していれば「異変」にいち早く気づけますし、そして客観性や納得性のある意思判断を行えます。
普通に定例会で報告させればよくない?
ここで「普通に定例会で報告させればよくない?」と思いますが、定例会にはデメリットがあるなと、個人的には感じていました。
①定められたフォーマット、定められた出席メンバー、マンネリ化する。
②定例会は完全にPLベースで、数字上のみの議論になりやすい。
③あげあしばかりとられて、事業部長が「詰められる」会になりやすい。
僕は大きな会社に所属していた際に、定例会というものがすごく嫌いでした(笑)
ハードに詰められる、そんなことわかっとるわ!みたいなアドバイスが多い、報告する相手があまり事業に理解や興味がない、同じような報告を何度もさせられる・・・などなど。
気づいたら、精神状態がつらくなっていく・・・周りを見渡してみると、定例会で心をやられてしまい、休職する人が少なからずいました。
しかし、FBする側に悪気はないんですよね。これ、僕がFBする側の立場に立って初めて気づいたのですが、自分がFBする立場である以上は「何かをいわなくちゃいけない」という観念にとりつかれるんです。
だから、スコープが小さくても、とにかくいろいろ揚げ足をとってしまう。結果的に、そのスコープの小さい指摘に事業部長を振り回させてしまう。
ただ、この定例会によって、僕は大きく成長できたと後から分かりました。当時は憎しみしかなかったのですが、「揚げ足とられたくねえ!」みたいな感情だったからこそ、数字の把握を緻密に行う癖がつきました。
そこで生まれたのが疑似・株主質疑会
さて、ここは生々しい話をするのですが、僕の代わりの事業部長は「あまり数字把握・説明とかをやってこなかった」メンバーでした。
でも、僕としては彼が絶対的に事業部長に向いていると感じていました。成長速度・誠実さ・コミュニケーション能力、事業への思い、SaaSの理解、特殊スキル、どの面をとっても、僕以上に適切だと感じていました。
そこで、まず手始めに事業計画書を数字で作らせてみたのですが「あれ、だいぶ非現実的な計画だぞ・・・?」。
その時に、彼は事業計画の数字に対して「違和感」を感じるための「情報量」がそもそもないのかもと思いました。(後述しますが、今では事業部長は僕以上に数字への意識が強くなり、とても素晴らしい事業判断を行えるようになりました)
ちなみに、情報量は以下の三つから主に構成されていると思っています。
①競合の動向(予想売上、予想契約者数、予想成長率、差別化要因など)
②SaaS業界全体の動向(ユニットエコノミクス、CAC、解約率の平均など)
③自分の事業の細かい数値(KGI、KPIなど)
彼は③の自分の事業の細かい数値は把握していたのですが、自分の数値を比較するための情報が皆無でした。
だからこそ、自分の事業計画書に対して、それが現実的なのかどうかが判断できていなかったのです。
しかし、②と③をやってきて!みたいな宿題形式にするのは、個人的には嫌でした。というのも、全ての情報は「その情報を取得する意味」を血肉で理解していないと、「心」で覚えることができません。
よく、新入社員に「これが、競合との差別化をまとめたシート!覚えておいて」とやるケースがあるのですが、僕はめちゃナンセンスだなって思ってます。
自分でちゃんと競合のソフトウェアを触ってみた人と、ただ単に競合比較表を覚えただけの人では、まったく情報の質が異なります。
そこで、疑似・株主質疑会を開催することにしました。
疑似・株主質疑会のルール
ここでは、実際に疑似・株主質疑会のルールを始める前に、いつも使用しているスライドを載せます。
ちなみに、プレゼン内容は「四半期のまとめ」を、実際の株主総会のように、マーケ・CS・SALES・PRODUCT・全体と各パート毎に数字ベースでそれぞれのリーダーにしてもらっています。
そして、株主側は2名で、基本は役員陣が務めるのですが、毎回メンバーを変えています。
疑似・株主質疑会を行ってよかったこと
疑似・株主質疑会は、今のところめちゃワークしています。以下は疑似・株主質疑会のメリットの箇条書きです。
・株価は主に「期待」で動くので、PLの結果以外にも評価できる軸が生まれる。売り上げが伸びていても「この人たち危ないな」と思われたら下がるし、逆に売り上げが伸びていなくても「これは期待できるぞ」と思われたら上がる。
・事業部長だけじゃなく、事業メンバー全体が圧倒的に自分事として数字や情報を取得するようになる。
・株主という、その時々の仮想敵を作ることによって、事業部が一致団結する。
・事業部長一人 VS 役員三人みたいな、事業部長一人だけが精神負担がかかるような状況にならない。
・株主側はゲームとして質問や指摘を行うので、辛辣な雰囲気になりにくいし、株主側も嫌な風に見られづらい。
・株主側は「詰める」ではなく、「核心性のある質問」が求められる。
・毎回プレゼン相手が変わるので、角度が異なった質問が来て、事業部側は建設的なヒントを得られる。
・役員陣の中の情報非対称性が少なくなる。
このゲームを行ってから、回数を重ねるごとに事業部のプレゼンクオリティがあがっていってます。特に事業部長の成長は本当にすごくて、どんな質問が来るかを完全に先回りできるようになるぐらい、今では情報量があります。
また、プレゼンだけでなく、しっかりと実行して、実績にもつながっていて、僕が事業部長を務めていた時よりも、事業の成長度が加速しています。
ちなみにですが、弊社では「定例会」も同時に行っています!定例会ではあくまでもPLの数字だけを報告してもらって、上層部が現状を把握したり、事業部長からの相談を受ける会という位置づけです。
そして、疑似・株主総会はお祭りごとのような扱いにしています。
さて、本日はこの辺にします!よかったら、ぜひフォローをお願いいたします。そして、A(エース)では、新規事業開発・SNSマーケティング・SaaS・D2C開発と、全方位的に人材を募集しています。もしご興味がございましたら、気軽にDMしてください!
A(エース)
https://acetokyo.com/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?