見出し画像

『きみの膵臓をたべたい』感想Part64

こんばんは。

今日も読書ノート書いていきます。

・こんな些細なことで安心してしまった僕はやはり人間経験というのがたりなかったのだろ。
人間経験とは特に人間が感覚や内省を通じて得るもの。という意味らしい。

・僕は明確な理由がないまま病室の角を見た。
ここで過ごしてきた人々の色んな病気の欠片が付着して溜まっているから黒ずんでいるのかなと僕は思った。
昔から立て替えなどしていない病院はそういう黒ずんでいるのは目立つような気がする。

彼女が『夏休みの予定は?』と僕に訊いてきた。
僕は『ここに来るのと家で読書と宿題も』と僕が答えると『そんだけ? なんかしなよー、私の代わりにキョウコとキョウコと旅行してくる?』と彼女は僕に訊いてきた。
『ライオンの檻の中に入るような資格は持ってないんだ。君はキョウコと旅行には行かないの?』と僕が訊くと『ちょっと無理かなぁ。入院期間が延びちゃったしキョウコは部活忙しいから』と彼女は寂しそうに僕に笑いかけながら言った。

『もう一度旅行したかったなぁ』彼女は思うようにならなくて切なくて辛そうな言葉が僕の呼吸を一瞬止めた。
突然病室の空気の色まで変化し黒ずんで見えた。
同時に僕の心の奥で眠っていた何か嫌なものが喉までせりあがってくるのを感じた。
彼女との旅行で現れた怪物ではないかと私は思い出していた。

・頭の中で彼女の台詞を何度も繰り返し思い出していた。
探偵になって謎を解くみたいに僕が難しい顔をしていたからだろう。
彼女は消えそうな笑顔引っ込めて首を傾げた。
不思議に思ったのは僕だった。
思ったと同時に言葉に出ていた。
『どうして、もう2度旅行には行けないみたいな言い方をするの?』と僕は訊いた。
『そんな言い方した?』と彼女は突然のことで驚いたような顔をした。
『したよ』と彼女に言うとそっか、私もこう見えて恋するところがあるのかもなー』と彼女は言った。
私は彼女は僕に恋にしたのか?と誰に?と私は思った。まさか僕に?と私は驚いた。

・前回見舞いに来た時から心の奥隠し持っていた不安の浪が押し寄せてきた。必死に押さえようとしたが間に合わなかった。

『死なないよね?』と彼女に訊くと彼女は『え? 死ぬよぉ。そりゃ死ぬよ、私も君も』と言った。
『そうじゃなくて』と僕は言った。『膵臓がやられてってことだったら、それもまあ死ぬよ』と彼女は言った。
『そうじゃなくて!』と今度は強い口調で言った。
僕は彼女に旅行に行く希望を持って欲しいと思ったのでは?と思った。
僕はベッドの端を叩きながら思わず立ち上がっていた。
椅子と床がこすれて金属のギィーという嫌な音が病室に響く。彼女も僕もお互い驚いた顔をしていた。

今日も読んでいただきありがとうございました。
このブログを応援していただけると嬉しいです。
次回はまた明日アップします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?